第26話 紹介話に食いつく
一夜明けて今日は土曜日、残念ながら普通に出勤だ。
「おいしかったよね〜」「やっぱりその場でアツアツ食べたかったよね〜」「昨日の分払うね」
私は
するとそこへ、
「昨日はごめんなさいっっっ!!」
両手を高く合わせた
「こちらこそごめんなさいね、どーにも私、ムカムカしてきちゃって」
「いや、アレはないわ。同性のオレも聞いてて不愉快だったし…まさかアイツあそこまでヤベー奴とは思わなかった、マジですまん」
類友だったらやだなと思っていたけど、どうやら違う様子。
もし
「あ、これ返すわ」
「いいわよ、あの後店長さんが私達の分包んでくれて美味しく頂いちゃったし、途中で帰って場を悪くしちゃったし」
「いや…あんなクソ紹介したの悪いからさ、受け取ってよ!ヤツからも金せしめてるし」
金額ばかり気にしていた
それは
「え、あの人からお金もらえたなんて驚きね」
そう言って
「さっきからなんだか面白そうな話してんじゃん」
ここで話に割って入ってきたのは、
なんという痛手!
「あっ、
「
追いうちをかけるかのように、
ううう…これは私にとって大きなダメージ、
その場にいた人全員に婚活しているのを知られてしまったなんて!
顔から火が出そうだった。
恥ずかしくてどうにかなりそうな私の意思とは関係なくいつものように朝礼は始まり、仕事を開始する。
今日は土曜日だったのもあり、お客様からのお問い合わせメールを確認するのに忙しかった。
おかげで午前中はあっという間に時間がすぎたように感じ、すんなりお昼休憩が取れた。
いつものように食堂へ向かい空いている席についてお弁当を広げる。
今日は朝買ってきたコンビニ弁当だ。
昨日お持ち帰りしたイタリアンは帰宅後たいらげ、その後で今日のお弁当を作る気になれず寝てしまったのだ。
朝早く起きてお弁当を作るということもできなくて、職場近くのコンビニへ久々に行ったのだった。
フタを開けたところでいきなり隣に誰かが座った、
「おつかれ〜!」
「お疲れ様です」
ああ、これはもう、昨日のこと色々訊かれちゃうんだろうな…。
彼女のお弁当はいつも美味しそうだ。
チラと横目で見ると、俵型のおにぎりがきれいに並び、野菜の肉巻きに卵焼きや煮物など、渋めながらも食欲をそそるような彩りだった。
「もしかして、
そらきた、やっぱり…。
「はい」
誤魔化しようがないので、観念する。
「今朝の会話の様子だと、うまくいかなかったみたいね」
隠してもしょうがないので、昨夜のことを軽く伝えた。
紹介され数分も経たないうちに失言だらけで女性蔑視的、メイクや服装にまでケチつけられたことをまんま伝えた。
「うわー、それないわー!」
「ウチのダンナの友達でね、独身いるけど会ってみる?ただし、ビジュアルは期待しないほうがいいけど」
きた!
今までの私だったら人見知りするため断ってきたけど、結婚したくて出会いがないなら食いつくしかない。
「お願いします、私見た目気にしないんで」
実際面食いではない、自分だってこけしに似てると言われるようなビジュアルなので、贅沢は言えない。
「じゃあ、話進めるわね」
自分的には大躍進だと思う、人からの紹介話を受けるだけでなく、ここのところ『私って男運悪いのかな?』と思ってしまうようなことばかり、これまでだったらへこんで引きこもってしまうところを前へ進もうとしているのだから…。
——あっ、着てく服どうしようかな?また
このときはまだ、希望に満ちあふれていた気がする…。
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