第8話『エイルの反抗期?』
本日は晴天なり、どうもエイルです。
毎朝の日課となっている乾布摩擦もすっかり慣れたもので、朝日の中下着姿で外に居ても羞恥心を感じなくなり、今では上下、下着姿でも大丈夫になりました、
大切な何かを失っている気もしないではないですが
元気です。
そんなみっともない姿で日課をこなしている所に来客です。
「やぁ、エイル稽古は順調かな?ってなんて格好だい!何かの罰ゲームかなぁ?」
「あっ、アチナ久しぶり!」
突然の来客は俺の母?で世界の管理者で女神を一応やっているアチナだ。
白金の髪が美しい絶世の美女。知的な雰囲気だが、中身は結構残念な女神だ。
そもそも女神らしい事しているのを見た事がない。
自由に異世界を行き来出来るらしく、最近は秋葉原で家電を買うのが趣味らしい。
ある意味アーティファクト集めみたいな感覚だろう。
アチナは一目散に家の中に入り、
「うちの子になんて格好させてるのかな?これでは痴女じゃないか!」
「エイル!乾布摩擦が終わったら次は天突き体操だ。私が良いと言うまでだ」
「はい。分かりました
素直に言う通り、一心不乱で天突き体操を始める
天突き体操とは、両手をスクワットに合わせて天へとバンザイする様な運動である。これが結構キツい。
この天突き体操をして気付いた事が一つ。
最近、胸が微妙に揺れるようになった。
体も成長していると言う事だ。身長も少しだが、伸びた気がする。
「うむ。良い揺れになったな。エイル休め!」
「一体君達は何の修行してるんだ?……」
なんでこのしょうも無い師匠の言う事を素直に聞いているかと言うと……。
今日はいよいよ、
ここ数日は魔力感知を使用した受けの稽古を集中していた。その甲斐もあってスキル未使用の
スキル使用での受け。即ち、剣聖のスキルを頂けると言う事だ。
つまりその為のご機嫌取りだったりする。
「エイル……ではいよいよ、我がスキルをものまねする事を許す。が、スキルを得たからと言ってもまだ修行は続く。それを忘れるな」
「はい!」
「では構えろ」
正眼に構える。
集中……相手は最強の剣聖だ。
魔力感知でしっかり捉えて防ぐ。
その刹那、目の前から
すると、正面に居た筈の
そして刀を鞘に納めた。
「くっ!」
よろよろと膝を付きエイルは意識を失った。
目が覚めると、アチナの膝枕だった。
「うん?気が付いたみたいだね」
「……う、あー防げなかったぁ」
「エイル。初太刀はしっかり防げていたぞ。そんなに悲観するな」
その初太刀をギリギリ防げた記憶はある。
だが、そこから二ノ太刀、参ノ太刀は間に合わずだ。
流石剣聖だ。まだまだ頂は遠い。
だが、収穫はかなりあった。
獲得スキル
剣聖 神速 身体強化 思考加速 一刀流剣術
そりゃ強い筈です。
だけど、スキルの思考加速ってなんだろう?
頭良くなるわけでは無さそうだけど……?
「
俺は正座して我が師匠に感謝と、あと必ずあるだろう奥義に期待で目をキラキラさせていた。
「奥義?そんなのないぞ?」
衝撃の一言。
え?ないの?
俺が動揺して頭に?マークを出していると。
「……我が一刀流は殺人剣だ。その一刀が全て必殺。我が師リョーマから皆伝を頂戴した対人用の剣に奥義とか言うふざけたものは無い。それともアレか?お前は殺し合いの最中に秘剣何某とか連呼しながら戦う恥ずかしい創作物の剣客にでもなるつもりか?そんなものは実戦に置いては無用だ。お遊戯会の演し物だ」
「……う」
確かに。考えて見ると、
漫画とかでは天翔龍〇とか〇突とか、あるけど、あれってただの居合と突きだったりする訳で……
かめは〇波も、いちいち叫ぶ必要は無い。
ただのエネルギー弾だったりする。
そんな事言ってる前に撃てって話だ。なんか急にゲームから現実に戻された感だ。
「それとなエイル。私が伝授したのは心·技·体の内、技にしか過ぎない。より一刀流を昇華させるには、心と体がまだ弱いお前には必要だ」
「はい!」
剣の頂はまだ遠い。
今日の稽古は終わりの様だ。
日も暮れてしまっていたので三人で夕食と晩酌の席となった。
「エイル。薪を持って来てくれ」
「はーい」
俺は薪を外に取りに出た。すると西の方角が何やら明るく見えた。
なんだろう?
「あれは死の大地の方角だな」
「今、多分魔族と帝国軍が戦争してるんだよ。ミカエルが遂に動いたんだ」
「え?ミカさん帝国軍と戦ってるの?そんな事、この前来た時言って無かったけど大丈夫かなぁ?」
ミカさんが帝国軍と戦っている。
正直、今のミカさんなら大丈夫な気がする。
だが……もしもミカさんに何かあったらと思うと、落ち着かなくなってきた。
「あの……」
ミカさんの所に行って良いか聞きかけたその時。
「ダメだよ。エイルは行ってはダメだ」
アチナに止められた。珍しく真顔だ。こちらの考えている事などお見通しですか。
「な、なんでだよ!ミカさん大変かもしれないだろ?力になりたい!」
「自分の立場を良く考えてくれないかな?魔族と人族の戦争に使徒が介入する理由には行かないよ?我々は中立的な位置から見定めなければならない。個人的にミカエルと仲良くしているのは前世の事もあるから仕方ない。キャッキャウフフな事したいのも分かる。でも私だってフレオニールとキャッキャウフフしたいのを我慢しているんだよ。だからダメだよ」
「ん?何でフレオニールの名前が出て来るの?フレオニールとどういう関係なの?ねぇ?」
「うん?あ、えーと……それはーその……」
「なんだよ!人にはダメだとか言って、自分はフレオニールとイチャイチャしてんの?アチナの馬鹿ー!」
翼を広げとりあえず西の戦場に俺は飛び立った。
アチナとフレオニールの関係も気になるが、今はミカさんの事で頭がいっぱいだ。
「あ、エイル!待つんだ!」
行ってしまった。
「え、エイルが馬鹿って言った……グスッ。まさか反抗期ってやつかな?フレオニールがお父さんになるのが嫌なのかな?以外とエイルは繊細なんだな」
「……アチナ殿〜詳しく聞かせて貰おうか。フレオニールとの事。ノア様も呼ぶか?」
ジト目で椿がアチナを見、肩に手をかけた。
「……はい」
逃げれない。
因みにフレオニールとアチナは特に男女の関係にはなってはいない。アチナの片思いが暴走気味なだけであった。今の所は。
◇
「きーーーーん」
とりあえず両手を前に突き出して飛べば速くなる様な気がしたけど、腕が疲れるだけみたい。
慌てて出て来たのでコートも着てないから凄く寒い。
空間収納にあったのは前にマリーが作った灰色の長袖のワンピか……無いよりましか。
しばらく飛んでいると、北の方から巨大な物体が近付いて来た。凄い魔力を感じる。これは……ヤバい!
すると、その物体がこちらに気付き目の前で停止した。
月明かりに照らされ、輝く鱗。鋭い眼光は紅く俺を見つめる。
金色のドラゴンだ。
最早、お約束的な遭遇率と言っても良いくらいにドラゴンに縁があるみたいだ。
前回の黒い竜はミカさんが通りすがりに倒したが。
この金竜(仮)は倍以上の大きさで、今まで出会ったドラゴンより格上なのは明白だ。
殺れるか?とりあえず戦ってみて無理なら逃げるしかないが……。
そうっと、雷電丸を掴もうとした手が、空を泳ぐ。
あれ?
ない?
もしかして……刀忘れて来た……かも?
慌てて飛び出したもんだから、刀、忘れちゃいました!
てへぺろ♡
って、事態は深刻だ。丸腰です。
「あ、あのー見逃して貰えません……か?」
ここは仕方ない。女の子の武器を使う。
小首を傾げ、手を前でお願いのポーズ、更にうるうると涙目で美少女が懇願すれば大抵の男は落ちる!
但し、人間ならな!
すると、金竜さん?が、フンっとため息をついた気がした。通じたか?
「……お前、何者だ……なの。我は魔王ミカエル様が四天の一柱にして最強。邪竜バース……なの」
なの?
語尾が変だが、四天?ミカさんの部下って事かな?
これは説明次第で戦闘回避出来そうだ。
「あ、あの私、天族のエイルって言います。ミカさん、えっとミカエルさんとは、お友達で……」
「えっ!そうなの?早く言ってくれなの!うっかり塵にしてたらミカエル様に怒られるなの!怖いなの!」
あっ、怖いんだ。
「あの、バースさんでしたっけ?私、ミカエルさんの所に行きたいので、行っていいですか?」
こんな所で時間潰している場合ではない。
戦闘回避出来たので先を急ぎたいのだが……
「はっ!そうだ我も行かねばなの!行き先同じなら背中に乗ってなの!一緒に行けば色々誤魔化せるかもしれないなの!」
一体何を誤魔化すのか分からないけど、乗っけてくれるならありがたい。
「よろしくお願いします!」
ドラゴンに乗るの初めてで、ワクワクするな。
ファンタジーって感じですね。
「では死の大地へ行くなの!」
すると巨大な翼を広げ、邪竜バースとエイルはミカエルの元へと向かった。
だが、その時、突如轟音と大気の波動が死の大地から訪れた。発生源は見るからに死の大地だ。
巨大な白い噴煙が空高くまでキノコ雲の様に上がっていた。
「「なっ!!」」
魔法?いや、そんな魔力の集結した感じはしなかったが、辺り一帯を吹き飛ばす様な破壊力は一体……。
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