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7月20日 AM9:58
下呂行きの列車は、迷う事なくプラットホームを後にした。
「間に合ったァ……」
「はいどうぞ、お茶」
愛水がついさっき買った、ペットボトルのお茶を差し出す。
「お、サンキュ」
充も相当喉の渇きを苦に思っていたのか、一度で半分以上飲み干した。
「あぁ、そうだ。これ、何だか怪しい奴に渡されてさ」
そう言い、ポケットからクシャクシャになった紙切れを俺等に見せた。
『贄は3人』と、血を思わせる紅の文字。所々インクが滲んでいる。
「もしかして、今日からの合宿に来た脅迫状や悪戯に関係あるのではないかと思うんですが……」
「だが、何故俺等なんだ? 合宿には参加するが、合宿自体を辞めさせたいのならば、愛好会の人間に渡せばいい話だろ?」
まだ手掛かりが少ない。少なすぎるんだ。
解決策が見つからない中唸っても仕方がないので、俺等は別の事を考えるようにした。
俺と充と愛水の間に、重い空気と沈黙が流れる。
……気不味い雰囲気だ。
=====
そして時は刻々と流れ、目的地の下呂に着いた。
俺等はもう、引き返せない。
籠の殺人 朝陽うさぎ @NAKAHARATYUYA
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