第24話 犯人は誰か
人生で初めて脅迫文を貰って、授業中はずっと上の空だった。
この脅迫文を書いた犯人は、いったい誰かということだ。
情報が少なすぎて推測も何もないが、恐らく犯人は和泉と
この脅迫状を書いた犯人は、少なくとも、和泉と切通の関係を知っている。
考えてみれば、和泉が切通と話をするようになったのは最近だし、これを知っている人物は限られている。なぜなら、和泉は今まで切通と教室では接点を持っていなかったし、会話をしたのは視聴覚室だったり夜の学校だったりで、和泉と切通の他には誰もいなかったからだ。
だから、和泉と切通の関係を知っている人物が犯人だと考えると――和泉が直接話した、
前の席に座る貝塚と、左前に座る五十嵐の後ろ姿をちらりと見やる。
貝塚は言わずもがなだが、五十嵐にだって、こんな脅迫状を書く動機がないように思えた。あの二人が他の人に和泉と切通の関係を漏らしている可能性もなくはないが、そんなことを広めるような人間だと思っていたら、最初から二人に切通のことを話していない。
和泉はそこまで考えて、自分になくても切通には心当たりがあるかも知れないと思った。
切通の背中を見つめて考える。
切通は優等生だ。
いつもつまらなそうに一人でいるが、その姿は高根の花って言葉が相応しくて、傍から見ていれば、その容姿も相まって魅力的だ。
やはり、この脅迫状を出した犯人は、切通のストーカーではないかと和泉は結論付けた。
切通の熱狂的なファンで、切通のことをつけていて、その結果、切通が和泉と通じていることを犯人は知ったのだろう。
しかし、それなら切通は監視されていることになるし、危ない状況だとも思う。
そして、和泉は切通に危険が迫っているのなら、力になってやりたかった。
なぜなら、今の和泉は――切通が外見よりも中身の方が魅力的なことを知っているからだ。
切通の表情があれほど豊かで、一人で大きなものを抱えて悩んでしまっている奴だってことを知っているのは、この教室でも自分だけだろう。
すでに問題が山積みなのに、さらに切通が虐げられる姿を見過ごすことはできない。
和泉は切通に、脅迫状について話そうと決めた。
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