その5 ジガンテスカ侵略戦争開戦にゃ!
こじんまりとしたカフェで紅葉とシンツィアはお茶を飲みながら向かい合って話をしている。ちなみにフェンリルは町の日陰に身を潜めているのでこの場にはいない。
「大体の事は分かりました。シンツィアさんはこれからどうするんです?」
「私は……まだなにも決めていない。いく宛は一応あるのだがそれだけだ」
紅葉に問われ口ごもるシンツィア。
「そ、それよりお前ら魔物はこれからどうするつもりなんだ。なんでお前がここにいる?」
「ん? どうって攻め込んで王様を討つもりですけど。シンツィアさんは王様にそう伝えたんですよね?」
「いや確かにそうなんだが、そのいつとか……色々あるだろう」
シンツィアの質問に紅葉はちょっと困った表情を見せるが覚悟を決めた目で睨む。
「ボクたちの目的は王ただ1人。でもその王を倒すために今からボクたちはあなたたち人間を巻き込んで戦争をしかけます。
それが正しいやり方なのかと言えば違うと思います。それでもこのボクたちの旅に1つの終わり、結末を迎える為にもやります」
紅葉が立ち上がるとシンツィアに告げる。
「開戦は明日。ボクたち魔王シシャモ軍は全力で攻め込みます。シンツィアさんはどうしますか? 戦いますか? それとも逃げますか?」
「なにっ、明日!?」
驚くシンツィアの横に立つとボソッと呟く。
「ボクは全力で逃げることをお勧めします。シンツィアさんなら分かりますよね。ボクたちの強さが。住民を1人でも避難させて逃げてください」
それだけ言うと店を出ていく。1人残されたシンツィアは頭を抱え悩む。
***
紅葉が店を出てすぐに上からフェンリルが降りてくる。
「紅葉様。あいつ始末しなくて良かった?……」
「いいんだよ。あの人は多分この戦いが終わったときに必要になるかもしれない人な感じがするし。それに人間を全滅させてもい良いことにはならないと思うんだ」
「紅葉様の考え難しい……流石です……」
紅葉を見ながら尊敬の眼差しをフェンリルは送る。恥ずかしそうにする紅葉。
「さあ行こうか。もうそろそろでこの大陸の地図が完成するから明日までにやっちゃわないと。バトに借りたドローンの回収に向かおう」
「了解……」
モミジーマップ制作中の紅葉は明日の準備を急ぐ。
***
ルイとビアシンケン、グラープは今から乗り込む船を見て驚き言葉も出ない。
「姉上! この大きな塊は船で合っているのか?」
ルイは興奮気味にシシャモに訪ねる。
「そうにゃ、戦艦とかいうやつにゃ。大砲もとんでもない威力があるらしいにゃ」
シシャモに説明され3人が戦艦の主砲を見ると同時にため息をつく。
大砲くらいしか知らないルイたちにとってこの主砲の威力は想像もつかないがその大きさに驚倒していた。
***
ジガンテス大陸の海上に浮かぶ軍の船が遠くに浮かぶ黒い物体を発見する。
それがなんなのか知ることもなく赤い光が海面を割りながら飛んできて一瞬で軍の船は消えてしまう。
「威力凄いね。流石にこの大きさは装備出来んき憧れるな」
バトがちょっと残念そうな声で遠くで沈む船を見て呟く。その横でポムが興奮気味にはしゃいでいる。
「ポム、フェンリルと話せるかにゃ?」
「おう、出来るぜ」
「じゃあ作戦開始にゃ!」
ポムがフェンリルに作戦開始を伝える。その日人間たちは魔界大陸に住む魔物を討伐する為に軍が攻めたことに対し後悔することになる。
上空から大きな壁や建物が降ってくると町を分断するように並んで逃げ場を制限していく。
一瞬で各ブロックに分けられたジガンテスカ大陸の港に周囲の船や港を破壊し戦艦が突っ込む。
逃げまとう人々と船に集まるジガンテスカ軍の兵士たちの目の前で戦艦の車両甲板のゲートが開き大量の魔物達現れ攻めてくる。
大混戦となる町中で他の魔物より明らかにレベルの違う3人とその軍。
「作戦通りここから3方向に別れるのだ。紅葉様の情報通りならこの国の強い奴らがまっているはずなのだ」
「それじゃ俺は西に向う」
「俺は東に行こう」
ルイ、グラープ、ビアシンケンの軍はそれぞれ3方向に別れ進軍を開始する。
そんな中大陸を分断する壁の上に落雷が6つ落ちると空に大きな映像が映し出され6人の魔物の姿をジガンテスカ全土に知らしめる。
「あたしは魔王シシャモにゃ! お前たち人間はあたしたちの領土を犯し仲間たちを殺し、捕らえ屈辱してきたにゃ!
再々の警告にも関わらず攻めてくるお前たち人間をその王を許さないにゃ!」
シシャモが指を差し宣言する。
「今からあたし魔王シシャモ軍はお前たち人間に戦争を仕掛けるにゃ! 覚悟あるものは向かってくるといいにゃ。覚悟のないものは全力で逃げろにゃ!」
シシャモが変身すると『変身上限限界突破』のスキルを発動させた一撃を放つ。
巨大な燃え盛る炎の渦は町を破壊しながら一瞬で消し炭に変えながら城の城壁まで到達すると城の1/3を破壊する。
その凄まじい力を目にした人々は民や兵士関係なく逃げ出す人が続出する。
「あたしの力はこんなものじゃないにゃ!! 民を守る気があるなら出てくるにゃ、人間の王、ブラス王!!」
ベットの上でシシャモの声を耳にして爪を噛みながら甘美な表情をして喜びに震えるブラス王は勢いよく立ち上がるとクローゼットから服を選び始める。
「可愛い魔王シシャモが来てくれたんだからおめかししないと失礼だよね。これとか気に入ってくれるかな?」
洋服を手に嬉しそうにするブラス王の表情は喜びで満ち溢れていた。
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