その6 4精霊合体にゃ!
銃弾が弾かれたのに笑うポムに苛立つ本郷がベルトのボタンを叩き必殺技スタンバイモードにはいる。
『必殺 ヴェールキック』
必殺技の飛び蹴りを放つ本郷に再び銃口を向けるポムが空いている左手で空中に触れるような仕草を見せた後引き金を引く。
『必殺 インパクトカノン』
『スキル発動』
1、機械生命体 ダメージ1.2倍
2、物理貫通力UP
3、ステータス攻撃力0.45倍
4、クリティカルUP
5、弾丸コーティングMAX
1発の弾丸が本郷の左肩の付け根を貫通し必殺技を崩され本郷が地面に転がる。
「があぁっ、なんだ!? なぜ攻撃が通る」
左肩を押さえながらもがく本郷を横目にポムは自分にしか見えていないスキルパットを見ている。
(初期のスキル以外初めて発動させるけどすげえな。しかも光っている項目なら好きなのを選べると。
だが1度に5スキル使用すると5分は使えない。ただし1スキルなら1分か)
『04:39』
スキルパットの右下にタイマーがカウントしているのが見える。
「余所見をするなあああ!」
本郷が動かない左腕以外を使い連続攻撃を仕掛けてくる。
ポムは避けながらも銃を撃つが弾かれて火花が散る。
(やっぱスキル無しだと通らないか。この辺が他のメンバーと違ってあたいの弱いとこだよな)
なりふり構わぬ本郷の攻撃を何度かもらいダメージを受けていくポムが横目で見るスキルパットのタイマーが『00:00』を示す。
(お前らいくぜ! まずは1スキルでこれだ!)
『スキル発動』
1、合体技(旧名:友達想い)
スキルパットの項目をタッチして選ぶとそのまま両手に拳銃を持ち本郷に向かって撃ちつつ、5発の弾丸をエリーの近くに来たヘリ型ロボの足元に撃ち地面に白い魔方陣を描く。
イフリートとシルフィードの合体技を見ながらスキルパットの表示が『00:00』を示すのを待つため本郷との攻防を繰り広げる。
『スキル発動』
1、合体技
2、各属性クリティカルUP
3、斬撃強化
4、打撃強化
5、機械生命体 ダメージ1.2倍
ポムが選ぶスキルで4人の精霊が連続で必殺技を繰り出しヘリ型ロボを撃破する。
(あたいは弱い、その代わりあいつらがいてくれるから戦える。ウンディーネ、フェンリル戻れ)
ポムが2人を呼び戻したことでエリーの前から姿を消す2人。残ったイフリートとシルフィードがエリーとの戦闘を再開する。
ポムが攻撃を避けながら銃のマガジンを差し替え本郷へ放つ。
「効かぬと言っているだろう! わたしがお前らが送り込んだ怪人をどれだけ倒してきたと思っている。今さら悪の幹部が来ようと負ける気はないぞ!」
「ん? あたいらが送り込んだ怪人? なんだそれ?」
丁度その時シシャモからの通信が入る。
「……はぁ? まじでそんな事してんのか。戦った結果なら別に良いんだけどな。まあ、こいつらは知らないんだろうけどな」
哀れむような目で本郷を見ながら左右に銃弾を放つ。
本郷の左右の手をそれぞれ女性の手が握ると魔方陣から姿を現すウンディーネとフェンリルが本郷の体を捻るように前後に回り込み本郷の体ごと回転を始める。
足元はいつの間にか水が満ちていてウンディーネは水面を滑り、フェンリルが通る時だけ凍り滑る。2人がスケートのように滑りながら高速で回り始める。
「両手に花……」
「目が回る~」
呑気な発言とは裏腹に本郷に水が纏わり付き体が凍り始め遂には鋭く尖った山のような氷柱の中に本郷を閉じ込める。
その前に2人が立つと長く鋭い水と氷の刃を同時に振るう。
『合体技 御神渡り』
水面を凍らせ水飛沫を上げ氷柱ごと切り裂く。氷が砕け肩から腰までスーツが裂かれた本郷が立ち上がろうとして体を震わせている。
「タフだなあ。おい、おっさん聞きたいことがある。お前らの仲間になんかこう魔王みたいな奴いるか?」
「魔王?……お前たち悪人がにとっては俺たちが悪に見えるか……くっくっくっく」
「あっそ、じゃあな。あたいはあと1人を止めてくるわ」
エリーの方へ向かうポムに本郷が叫びながら立ち上がる。
「くそお! なんの為に悪人どもを取り入れてきてまでレベルを150まで上げてきたというのだ。わたしはここで負ける訳にはいかないのだ!!」
本郷の言葉にポムが立ち止まる。
「あん? 今のはどういう意味だぁ?」
「言葉の通りだ。我々は悪人を溶かし取り入れることでマックスレベルを120から150まで上げたのだ。
更に上限突破するためにはお前らを倒し取り入れれば200はいくはずなのだ!!」
ポムが銃を両手に持つと周囲に赤い稲妻を走らせ始める。
「悪人? 溶かす? 取り入れる? お前何をやってその強さを手に入れたか知ってるクチか? だとすれば正義、正義うるさいお前のやってることの意味が分かんねえんだけど、お前の悪人てのはなんだ?」
本郷がボロボロの体ながら自信満々に答える。
「わたしが悪と認めた者達だ!!」
「そうかよ!! んじゃあ、お前はあたいにとって悪ってことで良いな! 戻れお前ら!」
ポムの声で4人の精霊がそれぞれ赤、緑、青、白の玉になりポムの周囲に集まると回りながらポムにぶつかると赤い稲妻が周囲に吹き荒れる。
『超必殺技 4精霊ブレンディング』
赤い稲妻が飛び散ると燃える赤い髪に白い氷の鎧、淡い水色のサイドスリットのロングスカート、手足には水色の手袋とレースアップサンダル。背中に緑の羽をはやし、両肩から少し離れたところに白い氷の盾が2枚浮いている。
体の周囲には赤い稲妻が激しく走る。
「覚悟しろよ」
赤い稲妻の残像を残しながら高速で飛び移動しながら次々と銃弾を放つその様子はまるで残像が攻撃しているかの様に見える。
放たれ舞う弾丸は1発1発が炎で燃え、風が舞い、水が流れ、氷を纏う。その弾丸はスーツの強度を無視し全て貫通していく。
文字通り蜂の巣になった本郷の変身が解け静かに倒れていく、その横を赤い残像を残しながら走り去るとそのままエリーの元へ向かい銃弾を放つ。
「まずい、まずいよ、死ぬ……」
両手に持った盾に隠れながら迫りくる死の恐怖に震えながらも耐えるエリー。
「ちっ、3分が限界か、なら」
ポムが急上昇しエリーの周囲に上空から弾丸をばらまく。地上に落ちた弾丸がエリーを囲うように4種の魔方陣を描く。
『合体技 水火風氷(斬)』
4人の精霊が両手を掲げると大きな水、火、風、氷の剣が現れ同時に振り下ろす。エリーがいた場所を中心に大爆発が起きる。
粉塵が落ち着き視界が晴れると地面は4つに割れ大きな窪みができていた。
「ふう~終わったか。お前らごくろうさん、助かったぜ」
拳を上げるイフリート、両手を頭の後ろにまわし宙を浮いて笑うシルフィード、お辞儀をするウンディーネ、Vサインをするフェンリルが魔方陣を足元に展開し消えていく。
「さてさて他のやつらはどうかな」
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