その5 ポムと精霊の戦いにゃ!

 水浸しの道路の上を滑るように移動しながら流れるような攻撃を仕掛けてくるウンディーネにエリーは苦戦する。


 道路の水を吹き飛ばす為にミサイルを放つが接触する前に水の方がミサイルを包み込み飲み込んでしまう。

 足を水につけていると攻撃を受ける頻度が高くなるのでイーグルモードで中に浮いて戦っているエリーの元にシルフィードが風車のように回転し横に竜巻を作りながら突っ込んでくる。


「戻ってきた!?」


 驚きながら盾で受け止めるが途中耐えきれなくなって火花を散らして斬られてしまう。


 空中から落ちるエリーの下で無数の尖った槍のような水が上空へ向かって放たれる。

 落下しながらも剣を振り水の槍を振り払っていく。


 転がりながら着地し体制を立て直すとフロッピーディスクを差し込む。


「ロボットは後これだけ……」



 ***



 ウンディーネとシルフィードの攻撃に苦戦してるエリーの横でイフリートと殴り合う本郷。

 その隙間を狙って弾丸が次々と放たれていき本郷を囲うようになった瞬間にイフリートが拳を振りかぶると腰を入れた突きを繰り出す。


 左腕でガードする本郷だが周囲の弾丸が一斉に爆発する。全方向からの爆発にたまらず下がる本郷。


『必殺 エクリクシススフェラ』


 爆発が起きた後、ポムから放たれる弾丸がイフリートの攻撃に合わせて爆発していく。


「なんと卑劣な攻撃だ。だが、私のこの技を食らうがいい!」


 ベルトのボタンを連打しながら走ると左の拳が光輝く。


『必殺 エレファントインパクト』


 機械の腕から放たれるパンチを受けイフリートが吹き飛ばされ地面を削りながら転がっていく。

 周囲を走りながら銃弾を放ってくるポムに向かって銃弾を弾きながら突っ込み足を掴むと地面を引きずる様に回し投げ飛ばす。

 ポムが地面に手をついて1回転して体制を立て直すと本郷がショルダータックルで追い討ちをかけてきて、飛ばされ地面を転がるポム。


「だあ~!? いてえ! 流石レベル150ってとこかよ」


 空中から蹴りを放つ本郷をバク転で避け銃弾を放つが全てスーツの前に弾かれる。


「効かねえか、あっちの世界ではとりあえず効く攻撃が弾かれる。まあこの武器がこっちの世界のだから仕方ねえんだろうけど」


 それでも銃口を向けるポムを本郷が笑う。


「なんだ、観念したのではないのか。往生際が悪いのは流石悪人といったところだな」


 ポムが放つ銃弾が本郷の体で弾かれてしまう。


「なるほどね、了解」


 そう呟くポムがほくそ笑む。



 ***



 エリーは水と風の斬撃をよけつつ攻撃を繰り出す。


「やるねえーおねえちゃん!」


 シルフィードが体を捻り技を出そうとしたとき上空からヘリが現れガトリングガンから銃弾を放つ。

 シルフィードが慌てて風の障壁を張り銃弾を防ぎにかかる。


「あいてててて!!」


 防ぎきれない銃弾に当たりダメージを受けるシルフィードの上空でヘリが変形しロボット形態になり降り立つ。


 下にいたウンディーネが水の刃を飛ばすが鉄の体の前に弾かれる。


「あらら~」


 ヘリ型ロボが放つガトリングガンを滑りながら避けるウンディーネをエリーが飛び込んできて蹴りを放つ。腕でガードするが吹き飛ばされてしまう。


「いたあ~い」


 水面の水で自身の衝撃を弱め立ち上がるウンディーネの頭上にヘリ型ロボの拳が迫る。

 ガシャーーン!! と金属がぶつかる音がしてヘリ型ロボが後ろによろける。


「ナイスタイミングです~」


 そこにはウンディーネを庇いながらタックルをするイフリートがいた。

 イフリートが口に溜めたエネルギーを放つとヘリ型ロボの腹部にヒットする。後ろにずらされながらも受け止めるヘリ型ロボを憎たらしそうに見るシルフィードの表情が突然明るくなる。


「やったね! 解禁! 解禁!」


 嬉しそうに飛ぶシルフィードがイフリートの放つ熱線に近付くと、くるくる回り始める。


「いくぜえ!」


『合体技 インフェルノトルネード』


 熱線が炎の渦になりヘリ型ロボを炎の渦に巻き込んで動けなくする。


 燃えながらも動くヘリ型ロボの近くでウンディーネが水の刃を両手に持つと水の上を滑り始める。


「みんな~ いくよ~」


『合体技 水火風氷すいかふうひょう


 ウンディーネの力ない掛け声から始まる水面を踊るように滑り切り刻んでいく水の斬撃。さっきは弾かれた水の刃が今回は鉄の装甲にダメージを与えている。

 その攻撃がやむ間もなくイフリートが飛び込んでくると拳で殴り連撃を加え装甲をへこませていく。

 打撃が終わるタイミングに合わせ上空から竜巻が降りてくるとヘリ型ロボを風の刃が切り刻みヘリ型ロボを包み込む。

 やがて風がやみヘリ型ロボの姿が現れたときには胸に大きな氷の剣が刺さっていてその柄に立つフェンリルがいた。


「やっと……出番……」


 狼の耳をたて大きな尻尾を振るフェンリルが抦の上で軽く飛んで柄を踏むと剣がヘリ型ロボの上半身を縦半分に割る。

 そのまま地面に降り立つフェンリルに合わせヘリ型ロボが崩れ落ちる。


「ブイ……」


 無表情でVサインを決める。


「なによ! また増えた!」


 4人に囲まれ構えるエリーに緊張の色は隠せない。ヘリ型ロボがあそこまで簡単にやられるとは思っていなかった。

 それに耐熱、耐寒等を備えたヘリ型ロボ(名前:ヘリトロン)に攻撃が途中から効き始めた事がエリーの警戒心をより一層高めさせていた。


(あれ? 女の人2人がいない? いつの間に)


 エリーがウンディーネとフェンリルがいなくなっていることに気付くと嫌な予感を感じ本郷の方を見るエリーの目に映るのはギザギザの歯を見せながら楽しそうに笑う悪魔の姿だった。

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