その4 仮面の戦士達との戦い開始にゃ!

「異常な電気エネルギーを感知しました。例の異世界人だと思われます」


 オペレーターの女性が伝えると男は不敵に笑う。


「諸君決着の時がきたぞ! 今日までの訓練の成果見せてやろうではないか!!」


 ラル、欣怡シンイー、エリー、本郷、悠斗が男の前で静かに頷く。



 ***



 車が行き交う道路を刀を持った少女が走っているという通報が自警隊に大量に入る。

 通報を受けて駆けつける自警隊が見たものはホイールごと切られた車が綺麗に整列して立ち往生する光景だった。


 その原因である燕は道路を走りながら手当たり次第斬っていく。一応怪我人がいないように配慮しながら行う破壊活動。


 そんな様子は弟子屈てしかがカンパニーにいる面々にも伝わっていた。モニターには道路に設置されているカメラから燕が様々な物を切り刻む様子が映されている。


「誘ってやがるな……兄貴俺は行くぜ」


 悠斗がそう言って出ていくと他のメンバーも同じ意見らしくついていく。その背中を見送った男が不適に笑う。


「さてレベル150でどこまで通用するか楽しみですね」



 ***



〈あの刀やろうのとこまで後どれくらいだ?〉


 バイクで先行する悠斗から大型の4駆に乗る4人に通信が入る。


「悠斗さん先行し過ぎですって。相手はあの悪魔どもですよ。みんなで向かいましょうよ」


 運転してるエリーが通信に答えるが悠斗はだんまりで答えない。


「もー勝手な人です。後1時間はかかりますよ」


〈ありがとよ〉


 悠斗の通信に呆れた顔のエリーの横に本郷が座っている。以前失った左腕には銀色に光るたくましい腕が存在感を放っている。

 後ろには外をぼんやり眺める欣怡と寝ているラルの姿が見える。

 ミラーでそんな様子を確認するエリーはため息をつく。


(あいつらを倒すため力つけてきて負ける気はしないけど、私たちに油断があるとすればチームワークの無さだよね)


 前を見ると車の流れが悪くなってきたように感じる。


(あの刀女のせいなのかな? これじゃ予定より遅くなってしまうなあ。悠斗さんだけバイクなんで先に行ってしまいます。

 いくら強くても1人じゃ敵わないのになぁ)


 渋滞気味の道路にうんざり顔のエリーの瞳が渋滞する車の天井の上をジグザグに跳びながらこっちに向かって来る影を映す。


「みなさん! 敵です!! 変身の用意をしてください!!」


 エリーの鋭い声に3人がベルトを腰に巻くのと同時だった。


 ***


 車の上を跳び天井をへこませながら進んできたシシャモは拳を大きく振りかざすとエリー達の乗る車に拳を叩き込む。


 車の中心からまるで紙を潰すかの様にひしゃげていく車体から4つの影が飛び出る。


「ペンネ! やるにゃ!」


 シシャモの声に合わせ欣怡とラルの足元に白い魔方陣が描かれると光を放ち2人を飲み込むと姿が消える。

 それを確認したシシャモが大きくジャンプして後ろに下がると車の天井を蹴って去っていく。


「ああ! 待て!」


 残されたエリーが叫び、本郷が周囲を警戒していると上から銃弾が降り注ぐ。


「慌てんなよ! あたいがあんたらの相手してやるからよ! とくにそっちのおっさんはあたいと殺りあいたいだろ」


 上空から降ってくるポムにエリーと本郷が構える。


「わたし達相手に1人で向かうの? 舐められたもんだね」

「貴様か悪魔め! 俺が倒してくれる」


 2人がフロッピーディスクをベルトに差し込む。


「へんしん へんしん!」

「へん      しん!」


 橙色の仮面『レナ』 緑の仮面『ヴェール』に変身する2人に対し両手の銃をくるくる回しながらポムが笑う。


「なんかいいなあ、悪役っぽくてわくわくするぜ。あたいの名前はポムってんだ! じゃあいくぜ!」


 2人の間に間に放たれる銃弾が縦に2つ並ぶと緑色の魔方陣と共にシルフィードが登場する。


「にしししし! おいら参上!」

「なにこれ!? この間のと違う!」


 驚くエリーに風の刃で襲いかかる。


「おいらシルフィードってんだ! よろしく!」


 挨拶しながらも激しく攻撃してくるシルフィードの斬撃をかわしながらフロッピーディスクを差し込み短い剣と盾を出すと2人が攻防を始める。


「おい! おっさんはあたいが相手だ! こいよ」

「言われなくてもいくぞ! この悪め!」

「へいへい」


 ポムの銃弾はスーツを前に全く効果はないが一発の弾丸が左腕の近くに白い魔方陣を描くと白い手が機械の腕を掴み凍らせていく。

 だが本郷が力を入れると氷が割れ弾ける。


「同じ技は効かないぞ!」


 振られる機械の拳をポムが受け止めるが後ろに飛ばされる。


「おっとぉ、手が痺れるぜ。あんたつえなあ、レベルいくつだ?」

「聞いて驚け! レベル150だ!」


 腕を組み自信満々に答える本郷を前に微笑を浮かべるポムが小声で囁く。


「やっぱこいつらレベルがあるぜ。こいつらの仲間の中に魔王がいる可能性は高いってこった」


 ポムの囁きは残り5人と窓際達にも届いていた。


「んじゃあレベル150のおっさんいくぞ」


 ポムが無数の弾丸を放つと本郷がそれを全て避ける。


「当たらないぞ、そんな銃弾。当たったとこでなんの意味もないがな」


 勝ち誇った様に言う本郷を無視しするポムは叫ぶ。


「シルフィード!」

「あいさっさ!」


『必殺 ディーネー旋風のスフェラ弾丸


 無数に放たれた弾丸が空中で止まると緑の光を帯びて渦を巻くように巻く風と共にエリーと本郷を巻き込んでスーツに火花を散らしながら切り刻み始める。


 ダメージを受け転がる本郷の上に赤い魔方陣が描かれると燃え盛る拳が振り下ろされる。

 地面がへこむほどの衝撃を受けるが左手で受け止める。


「ぐはっ、くそ悪魔め」


 本郷がフロッピーディスクを差し込む。



 ガッチャン! リーディングOK!「エレファント!!」

 デデデデン 装着! 「エレファントモード!!」


 ただでさえ太い左手を含め灰色の太い腕と仮面に牙と長い鼻、大きな耳がつく。

 その目の前に赤い魔方陣が7つ描かれると魔方陣を破らんばかりの勢いでイフリートが姿を現し本郷と両手を掴みあい力比べの格好になる。

 純粋に力比べする気はない本郷が象の鼻をイフリートの首に巻き付け締め付け始める。イフリートも自身を燃やし対抗するが効果が薄いようだった。

 そんな本郷の頭を踏みつけポムが周囲に放つ弾丸と共にシルフィードが猛スピード飛んできて象の鼻を下から斬り上げイフリートの首から外すと周囲を飛び回り斬り始める。


 一方エリーは攻撃を繰り出していたシルフィードが突然下がったことに戸惑い追いかけようとする。


 足元に広がるをバシャバシャと蹴って走り気付く。


「水!?」

「選手交代ですよ~ ウンディーネさんじょ~う」


 のんびりした口調から鋭い殺気に盾を構え水の刃を受け止める。


「すご~い。でも下ですよ~」


 足元に広がる水がトゲのように鋭くなりエリーを襲う。

 下の攻撃に盾を構え受けるエリーにウンディーネが水の刃で上からの攻撃を受け水飛沫を上げながら転がる。


「すいませ~ん。やっぱり上でした~」


 水の刃を構え微笑むウンディーネにエリーが剣と盾を構える。

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