その21 正義とは修羅の道
──この度甚大な被害をもたらしたこの事件ですが、まずはリニアモーターカーの占拠後破壊。
その後道路を占拠し数台の車を破損させ、国道339号線の破壊をした後、青函トンネルの破壊と現在運行に使用していた車両の破損。
自警隊や弟子屈カンパニーの部隊の死傷者多数。
とんでもない被害をもたらした6人の人物。
このリーダーとなっているのが「春風 紅葉」そして信じがたいことですが異世界から来たと言われている「シシャモ」「ペンネ」「ポム」と呼ばれる人物と名前の分からない2名となっています。
この人物を見かけたらすぐに通報をしてください。決して話しかけたりしないでください。
通報する電話番号は──
モニターが消される。
「で、今回の戦いを振り返ってどうだったかい?」
ラル、
「強かった、前に戦ったときより強くなってた」
欣怡が悔しそうに言うと男は嬉しそうな顔をする。
「そう奴等は強い。何故ならあっちの世界にはレベルと言うものが存在する。現実世界だといくら鍛えてもなにもしなければ衰えていく。だが奴等は違う、どんどん能力が上乗せされていく、怪我をしても魔法で治ってしまう」
「じゃあどうするってんだ」
悠斗が回りくどい言い方にイラッとした態度をとる。
「まあ悠斗、落ち着け。良いか我々もレベルを持てば良い、それも奴等より上のレベルをな」
男が自身の後ろにあるパネルを操作すると床が開き下から大きな水槽が出てくる。
中には狼の獣人が色々な管に繋がれて浮いていた。
「これは?」
「これは異世界の住人。1匹捕まえようやく連れてこれた。こいつの細胞を埋め込むことで君たちはレベルを手に入れ人間を越えた力を得ることが出来る。
さてここからは選択の時間だ。無理強いはしない、力が必要な者だけ名乗り出てくれ」
ラル、欣怡、本郷が迷いなく前に一歩出る。少し遅れ悠斗が出て下を向いて考えていたエリーも一歩踏み出す。
「流石だよ。良いかい正義を名乗るには力が必要だ、それは理解してるね。そしてその力を得るためには人と同じことをしていてはダメだ。たとえ悪の力だとしても取り込み己の力とするんだ。
力を正義の為に使うならそれは悪ではなく正義なのだから」
5人は深く頷く。
5人が去った後、男は独り言を呟く。
「これでこっちの戦力は揃います。異世界の来訪者の存在を悪と認知させた事で本格的なレベル上げが行えますね」
***
〈3丁目に怪人出現です、ラルが1番近いです。そのまま行ってください!〉
「ああ了解だぜぇ! にしても今日は多いな」
〈異世界からの侵略が進んでいる証拠ってことかな? あいつらほど強くはないけど気を付けて〉
変身したラルが町中を走り指定ポイント付近に近づくと商店街の洋菓子店のショーウィンドウが割れているのに気づき中に飛び込む。
中には怯える店員と客が数人。そして異世界から来たと思われる全身に毛むくじゃらなゴリラの怪人。
「なんだてめえ! ケーキ買いに来た訳でもないんだろ。表に出ろよ」
ラルが顎の辺りを殴り怯んだ隙に胸ぐらを掴み外へ投げ飛ばす。大通りに投げ飛ばされた怪人を追いかけラルが店から飛び出ると上空から銃弾が降り注ぐ。
「あ! 欣怡てめえ、人の獲物横取りする気かよ!」
羽を広げ降り立つ欣怡はラルを無視してベルトのボタンを叩く。
『必殺 メルキック』
青い閃光を放ちながら回し蹴りが怪人の首元にヒットすると怪人は転がり爆発する。
「誰がやっても経験値は等しく入るんだ。効率を求めた方が良いだろう」
「お前ロマンって言葉知ってるか? 効率より大切なんだぜ」
冷静な欣怡に悪態をつくラル、その2人にエリーから通信が入る。
〈痴話喧嘩とか後で良いんで次! 次も近くにいますよ。早く行って下さいよ〉
「なっ!?」
エリーの通信に憤慨する欣怡の背中を軽く叩いてラルが先に走っていく。
町の人から感謝の声をかけられ少し恥ずかしくなった欣怡はラルを追いかけ走りながらステータス画面を開く。
「レベル102か。大分強くなったな」
────────────────
『解説するよスピカちゃん』
「リニアの運用についてですけど『三州リニア』『本州リニア』『北リニア』の3つに別れて運用されてます。
この内、関門海峡は海上をそのままリニアが走りますが、津軽海峡は昔ながらの青函トンネルを使用するためリニアは一旦アオテで止まります。
その区間だけを新幹線を走らせるのも勿体無いと言うことで現在は電車が走っています。
なのでエリーちゃんが走らせた新幹線は久々の通行ってことですね。
今日も良い解説♪ あんまり電車のこと分かんないけど」
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