その19 北へ北へにゃ!
地下の下水道を走る6人。
「このまま走り抜けるのは危険や。一旦外へ出る必要があるんじゃ」
「でも外に出てもさっきみたいに狙い撃ちされるんじゃない?」
「どのみち青函トンネルを通る必要があるきどのみち一旦外に出る必要があるんや」
バトと背中に担がれている紅葉が会話しているのを他のメンバーはそれ聞きながら現状把握に努める。
それから走ること10分前後から武装した集団が次々とやってくる。
それらを蹴散らしながら進んでいく。
「ペンネ。この辺で地上に出たいき天井をぶち抜いてくれんか?」
バトに言われペンネが下水道の天井に向かって風を纏った矢を放ち天井に大きな穴を開けそこから皆が地上に飛び出る。
「青函トンネルまでもうすぐや」
バトが言うのに合わせたかのように1台のバイクが走ってきて道を塞ぐように停止する。運転手がヘルメットをとると爽やかそうな青年が顔を出す。
「ここから先に行ってもらっては困るんでね」
青年はバイクから降りるとベルトを腰に巻きフロッピーディスクを手に取る。
「この俺
赤い仮面に変身する悠斗に合わせてシシャモも変身するが同じく赤い仮面。
背が低いのとネコミミ、アホ毛、尻尾があるので全く別物ではあるが色が被るのはシシャモはなんとなく許せない。
「なんか知らにゃいけど色が被るのは変身する者の間ではやってはいけない気がするにゃ!」
「それは同感だ。だが、お前らは今からロボット軍団と俺が殲滅するから安心して消えるがいい!」
「その台詞もどうかと思うにゃ」
悠斗が手をかざすと蜘蛛型や車型など10体以上のロボットとその後ろに武装した集団が囲んでいる。
「これだけの軍団に対抗出来るかな」
「うわぁ~登場は爽やかで主人公ぽかったのにやってること悪の幹部みたいだね」
紅葉はバトに担がれたまま感想を言っている。
「どうするシシャモ?」
「ペンネが敵の足を止めて一気に倒すにゃ」
シシャモの指示に嬉しそうにペンネが前に出ると氷の矢を上空に放つ。放たれた矢は空中で弾け小さな矢となり地面や建物に刺さる。
『必殺 ゲフローレナーエァデ』
地面を中心に周囲全てが凍てつく大地と可する。
その氷に武装した集団はもちろんロボット達も大半は身動きがとれずもがいている。
シシャモ以外の4人(紅葉は背負われたままなのでカウントせず)が散りロボットを全て破壊してしまう。
「でどうするにゃ? まだ向かってくるかにゃ」
「なんだこれは! ここまで強いとは聞いてないぞ」
悠斗がベルトボタンを叩き必殺技を繰り出す。片手で受け止めるシシャモが蹴ると大きく吹き飛び地面に転がる悠斗。
「なんにゃ、弱いにゃ」
気絶したのか動かない悠斗を置いて6人は移動を開始する。
***
「ねえシシャモ。レベルいくつになった?」
「98にゃ」
移動中ペンネに尋ねられシシャモがステータスを確認しながら答える。
「そろそろカンストだにゃ。でもこの調子なら魔王も余裕かもしれないにゃ」
「だが結局スキルは初期のままだったな」
燕は少し悔しそうにしている。
やがてたどり着いた駅のホームで電車を見付けると乗り込む。
「人払いされちょって助かった。コントロールはうちが乗っ取るき任せて」
バトが運転席に行くと電車を起動し走らせる。トンネルの中を大きな音を立て走る電車。
大きな戦争がある前の旧時代から変わらぬ元青森と北海道を繋ぐ海底トンネルに異世界の人が通ったのはこれが初となるが記録には残らない。
「このトンネルを抜ければホッカドーだね。ところでバト、ボクはいつまで背負われてれば良いかな?」
「忘れちょった。まあここまま最後まいこうか」
後部車両から外を見る燕とシシャモ。
「なんか後ろから来てるな」
「そう言えばもう1人変身するやつがいた気がするにゃ」
車両の屋根にのっているポムから見える物体は自分が乗っている四角い車両と違い流線型のボディ。
「なんか格好いいな。まあこっちの四角いのも渋くて格好いいけどな」
ポムには分からないが列車の後ろから来るのは新幹線。そして上に腕組みをしているエリー。
「逃がさないよ~! へんしん へんしん!」
目映い光に包まれ橙色の仮面に変身するとのっていた新幹線も変形しロボットとなる。
「さ~て行くよ、新幹線ロボ日輪!」
車両の屋根に飛び移るエリーにポムが銃弾を放つがしなやかに避けると銃弾を撃ち返してくる。
「ん? 前に見なかった人だね。データーに無いもん」
「じゃあ覚えておけよ。あたいの名前はポム」
「むむむ! なにその可愛い名前!」
2人は喋りながらも銃弾を撃ち合い周囲にぶつかり合った弾が火花を散らし落ちていく。
エリーに合わせて線路を足の車輪で進むロボ日輪が腕を振りポムに攻撃を繰り出してくる。
「くそ! あぶねえな」
ポムが数発銃弾を打ち込んでイフリートを召喚し殴ってみるが焦げもつかない。
「さっきの奴らとは違うな」
「とーーぜん。前回の失敗をバネに私が作り上げた対魔法ロボの前に魔法は効かないのだ!!」
自慢げに胸を張るエリーの上をペンネが飛んでいく。
「じゃあこっちは私が相手をしますね」
「あぁ!! 来たな吸血鬼め! 私の研究の成果に驚くのだ! そして絶望するがいいのだ!」
エリーは飛んできたペンネに憤慨しつつポムと撃ち合いを続ける。
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