その18 逃走中にゃ!
今回の作戦は異世界から来た指名手配犯を討伐すること。ホッカドーに向かうのは分かっているので移動ルートを待ち伏せするだけ。
車、リニア、船、飛行機をそれぞれのメンバーが張り込んだ結果リニアにいた本郷から発見のシグナルが送られてくる。
通信ではなくシグナルがくると言うことは身動きがとれないと言うこと。
リニアの駅は本土の西「ヤマシマ」から終点「アオテ」までとなっている。三州とホッカドーへ行くにはそれぞれ地下の電車を使いそれぞれのリニアに乗ることになっている。
つまりリニアを選んだ時点で一旦アオテで止まるのは決定しているのだ。
駅で止まった所を総員で囲んで殲滅する。欣怡はスナイパーライフルでの狙撃班として待機している。
「前回の屈辱忘れないぞ。ここで晴らしてくれる」
欣怡の手に力が入る。
〈リニア緊急停止開始!! こちらに気付いた可能性あり!!〉
緊迫した声の通信が入る。
「うそだろ、まだ駅までかなり距離があるぞ」
欣怡がベルトを巻くとビルから飛び降り変身する。
「変身」
フロッピーディスクを2枚差し込みイーグルモードになると羽を広げ飛んでいく。
***
路線上のリニアが緊急停止を行う。電力の回生によるブレーキ、車両の上から板が展開され空気抵抗を生み出し、下は車輪が出てくると火花を起こし推進力に抵抗する。
完全停止したリニアを2基のヘリがやって来て銃口を向ける。そのヘリに飛び乗ってくる青い仮面に変身した欣怡。
「どうなってる? 敵は」
「いえまだ動きは──」
リニアの車体に一瞬銀色の閃光が横に走る。屋根が風で巻き上がり吹き飛ぶ。欣怡とヘリのメンバーがその光景を唖然として見守っているなか4人の影が次々と路線から飛び降りていく。
「なんだあれは」
ヘリの操縦士が驚きの声をあげる。欣怡が睨むその先にいつしか見た吸血鬼の少女が優雅に空中に浮いている。
ちょこんとお辞儀をする。
「私は紅葉一派の1人。ペンネ・フェデリーニといいます。それでは」
突如風が巻き起こり暴風となる。暴風の前にヘリはなす統べなく巻き込まれ鉄屑となり地上に舞い散る。
「貴様!!」
欣怡が剣を振り抜くが優雅とでも表現すればいいのだろうかペンネにかすることもなく避けられていく。
「くそ! これなら」
ガンモードで2丁拳銃を乱れ撃ちするが銃弾は電撃の様なものに弾かれ地上へと落ちていく。
「わたし急ぎますので」
ペンネが弓を持ち雷を纏うと一瞬で射抜く。
『必殺 ブルタールブリッツ』
まだ昼だというのに太陽の光をも超える雷が欣怡ごと地上に落とされる。地面を抉り叩きつけられる欣怡のベルトは壊れ変身が解かれる。
「がふっ、スーツがなければ死んでいたか……」
欣怡は空を飛んで去っていく少女の姿を見ながら意識を失う。
***
「あいたたたた。バトもう少し優しくジャンプできない?」
バトの背中合わせに紐で括り付けられている紅葉が叫ぶ。
「我慢、我慢。もっと今から揺れるき頑張っとーせ」
「うそでしょ!?」
路線から飛び降りたシシャモ達は道路に飛び降り車の行き交う場所を走り抜ける。
「にゃんか鉄の馬車がこっちに突っ込んでくるけどいいのかにゃ?」
「下り斜線を逆走でええのや。これであっちも車で追いかけて来にくいし、民間人がおるき手も出しにくいはずや」
「うわぁ、もう完全に悪人の思考じゃんそれ」
バトの発言に引く紅葉だが悪態をつく暇もなく上空にヘリが飛び始める。
そのヘリから紫の仮面の男、ラルが飛び降りてくると剣を振り下ろしてくる。
その剣を払う様に刀が弾く。
「お前かあ!!」
ラルが剣を振るいながら銃を撃つ。それらを全て斬り払いながら燕がラルに対峙する。
「俺がてめえを倒す」
「おもしろいな」
ラルがランチャーモードで4発ミサイルを撃つ。それを燕が峰で優しく空中に打ち上げると銃弾がその中心に飛び魔方陣を描き氷が舞いミサイルが全て氷って地上に落ちてくる。
それらをシシャモとバトがキャッチして地面にそっと置く。
「拙者らはこっちの住民ではないからな。別に誰がどうなろうと関係はないんだが、それでも無駄に殺しはしない」
「それは立派な心がけで!!」
燕が刀を構える。
「そういえばお主、以前拙者の八閃を避けたな」
剣をいつ抜いたのも分からない抜刀。
『必殺
ラルが吹き飛び中央分離帯の壁に叩きつけられる。ベルトが真っ二つに割れ変身が解けたラルが血を流しながらずれ落ちる様に壁から落ちて倒れる。
「お待たせシシャモ♪」
ペンネが追い付きシシャモに抱きつく。
「じゃあ行くにゃ!!」
6人が道路を逆走して走る。車を避けつつ走っているとだんだん車が減っていく。
「これは道路封鎖されちゅーかもしれん。注意して進んどーせ」
バトの言う通りしばらくするとバリケードがあり自警隊の人達が道路を封鎖している。
暴風が吹き荒れバリケードを人ごと吹き飛ばすと6人が走り抜ける。
車がいなくなるとヘリが上空から銃弾を降らせる。空中に盾が展開され始め銃弾を弾く。6人を銃弾から守るように展開されながら進むそれはまるで銃弾の雨から守る傘のようにも見える。
「なんなんだあれは」
「いいから撃て!」
ヘリから休む間もなく銃弾が降りそそぐ。やがて一ヶ所に盾の傘が止まり動かなくなる。
突然盾が消えると道路の下に穴が空いているのが確認出来た。
「くそ! 穴掘って地下に逃げたぞ!! 地上部隊地下だ! 地下へ急げ!!」
現場が混乱するなか地上部隊の編成が急遽決まり地下道へと向かう。
────────────────────
『なんだかスピカちゃん』
「はいスピカです。前回リニアにフクシィーから乗った訳ですが、その前にヤマギーに一歩だけシシャモ達は踏み込んでいます。
なぜフクシィーからだと言うとDr.リニアが停止していたのがフクシィーだったので少し戻ってから乗っています。
一応補足説明しときますね」
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