その17 乗っ取りにゃ!
リニアにはお客を乗せ運ぶものと線路の磁力や電気系統の確認を行うものがある。
点検を行う車両は黄色い塗装されておりDr.リニアと呼ばれ車体は3つしか無いため中々見ることは出来ず見ると幸せになると言われている。
そして今皆に幸せを運ぶ為Dr.リニアは運行ダイヤから自立し自由を手にいれる時を迎えようとしていた。
「よし30分休憩だ。すぐに路線の点検を始めるぞ」
「青木さん気合い入ってますね」
青木と呼ばれた男が親指を立てなにか言おうとして突然倒れる。
「えっ? 青木さん。ちょっと、あおきさーーーーん──」
もう1人の男も倒れ地面に伏せる。
「ペンネ、この人たちを外に出してもらえるか?」
車両の上部から侵入したバトが同じく侵入したペンネにお願いする。ペンネが魔方陣を描き2人を外の予め決めていた場所に転移させる。
「鮮やかじゃのぉ。いつのまに転移魔法を覚えたんや?」
「性悪女神とこの間の魔法使いのやり方見て大体覚えたんだけどまだ移動距離が短いんだよね」
話ながらも操縦室で直接自身の腕を接続し操作を行うバト。
「見ただけで出来る様になるってすごいのぉ。流石ペンネや」
「いえいえ、バトもこのリニアを使える様にするんだよね。凄いよ」
謙遜し合う2人は前回戦って以来仲良くなっている。
「こっちは全部片付けたにゃ。いけるかにゃバト?」
「ちっくと待ってくれ……よし、行ける! 乗っ取り完了や」
バトが準備完了してDr.リニアを起動させる。
「予想通りや。点検するき、1時間はこの路線に他の車両はおらんき本土最北端アオテまで一直線や」
「おお、なんかこっちの目的地すぐ着きそうだにゃ」
***
「おお!! すげーー速いな。景色が見えねえ」
窓に張り付いて外を眺め続けるポム。客席は無いので作業員用の椅子に座って燕とシシャモが寝ている。
運転席ではバトが操縦しペンネと紅葉が景色を見たり機械を見たりしている。
「フクシィーからアオテまでは約430km。このDr.リニアは最高時速600kmやき40分程度でつくはずや」
「すぐだね。これなら乗っ取りもありだったかも」
紅葉が感心していると後ろで物音がしてシシャモの声が聞こえる。
「ペンネはバトを守るにゃ! 紅葉は運転席を封鎖するにゃ!」
運転席のドアを紅葉は盾を並べ封鎖する。
「何があったんだろ」
「とりあえずシシャモを信じてここで待機しようよ」
心配する紅葉にペンネは優しく声をかけるとドアの外に思いを馳せる表情を見せる。
「その表情はなんなんやろう。そこは理解できんぜよ」
***
──5分前
ポムは狭い車内をうろうろしながら興味あるものを手当たり次第触っていた。
「へ~これはなんだ? 外が覗けるのか。ほーー、へーーこのスイッチは? ふ~ん。この扉はなんだ?」
ポムが扉を開けるとそこは掃除用具が置いてあった。
「つまんねえな」
「にゃんか面白いものあったかにゃ?」
目を覚ましたシシャモに尋ねられポムは首を振る。
「意味が分かんねえものはいっぱいあるけどよ。さっきの扉なんて掃除道具とおじさんが入ってだけだぜ」
「そうかにゃ」
…………
「ポム、もう1回そこ開けてみるにゃ」
「おう」
ポムが掃除用具入れにそーーと近づく。起きてきた燕とシシャモが構える。
「い、いくぜ」
ポムが扉に手を伸ばそうとしたとき扉が吹き飛ぶと回転しながら男が現れる。
「おわ!」「にゃ!」
これにいち早く反応する燕が斬りかかる。男が避けるとベルトを腰に巻く。
「にゃんだお前!」
男はニヒルに笑うとフロッピーディスクを取り出す。
「わたしか?
「あんにゃ狭いとこに?」
「正義の為だ。お前達の好きにはさせんいくぞ!」
フロッピーディスクを差し込むと拳を握りギリギリ音をたてシャキーーンとでも聞こえてきそうに腕を斜めに上げ回す。
「へん しん!!」
「変身にゃ!」
本郷が光と共に緑色の仮面に変身するのに合わせシシャモも変身する。
「ここは狭いにゃ、ポム、燕は下がるにゃ。ペンネはバトを守るにゃ! 紅葉は運転席を封鎖するにゃ!」
「敵ながらいい判断だ。わたしのバトルスーツの名前はヴェールいくぞ!! 悪人!!」
狭い車内で拳と拳がぶつかり始める。
「思いっきりパンチすると乗り物が壊れるにゃ」
「やるな! いいパンチだ」
本郷がフロッピーディスクを差し込む。
ガッチャン! リーディングOK!「破壊!!」
デデデデン デストロイ! 「ハンマー!!」
大きなハンマーを手に持ち本郷が振り回す。車両の備品を次々と破壊しながら振り回されるハンマーを必死で受け止めるシシャモ。
「お前この乗り物が壊れたらお前も死んでしまうにゃ! そんなもの振り回すにゃ!」
「悪の軍団をまとめて葬れるならわたしの命など惜しくない!!」
ガッチャン! リーディングOK!「ランチャーモード!!」
ロケットランチャーを構える本郷。
「お前バカかにゃ!! そんなミシャイルとか撃つやつがいるかにゃ」
「さっきも言っただろう悪を滅ぼすためならわたしはなんだってやる!!」
一発の銃弾が本郷の右手に撃たれるとスーツに弾かれる。
本郷が弾の飛んできた方を見るとポムが拳銃を構えその銃口からは硝煙が上がっている。
「そんなただの銃弾などこのスーツの前では無意味だぞ!」
銃弾が当たった箇所に魔方陣が描かれる。氷のような透き通った女性の手が出てきて本郷の右腕を這う様に絡み手首辺りを握る。
突然の現象に意味が分からず対応出来ない本郷をポムが鋭い歯をみせながら睨みつける。
「あたいはお前みたいな正義がどうこう言う奴が1番嫌いだ。そういう奴は1番信用ならねえ」
『必殺 精霊召喚・フェンリル』
本郷の右腕が氷つきランチャーごと氷漬けになると右腕が肩から落ちる。
「がぁぁぁあああ!!」
肩を押さえ叫ぶ本郷に止めさす為にポムが拳銃を構える。
「緊急停止す!! 皆掴まっとーせ!!」
バトが叫ぶ。
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