その6 もうそれが闇魔法で良いんじゃにゃい?
ヴュルストの周りにいる兵は守りに秀でたもの達で固めているのは戦闘経験の少ない紅葉にも分かる。
(兵の人数は5人、あれを崩すにはまずはバラバラにしないとね)
紅葉のスキル『in and out』100メートル内でアイテムを出し入れするだけのスキルだが色々試しているうちに応用が効くことに気付く。
武器を同じマスに素早く重ねると先に出した武器は弾かれる。更に最近分かったのが重ねる方向決めることが出来任意の方向へ飛ばすことが可能だということ。
紅葉は目の前にあるマスの線を見て隙間を見つけると盾の向きを設定そして次に出すアイテムを選択する。
この弾く為に出す2個目のアイテムは何でもいい。その辺の石ころでも大きな盾を問題なく弾いてくれるので紅葉は石ころを選択する。
ヴュルストの兵の間に突如盾が現れると1人の兵が弾かれる。吹き飛び地面にうつ伏せに転がる兵を囲うように盾が設置される。
上空から無数武器がその囲いの中目掛け降り注ぎ断末魔が聞こえると盾は無かったかのように消える。
「うろたえるな! 固まって陣形を崩すな」
ヴュルストの指示で残りの兵が盾を構え密集する。
(隙間がないとアイテム差し込めないしな。次の方法に移ろうかな)
固まるヴュルスト達を囲うように盾が現れる。緊張が高まる兵達の両サイドに自立型のビーム機関銃が設置される。
ヴュルスト達はそれが何かは分からないが盾を構える。
このビーム機関銃は赤外線センサーに対象物が引っ掛かると自動で照準を合わせ敵を細かいビームで攻撃してくれるのである。
赤外線センサーが兵に引っ掛かると機関銃の後方に光るランプが緑から赤に切り替わる。
ガガガガッと機械音と共にピンクのビームがばらまかれる。
「なんだこの魔法は。盾がへこむ!? スキルで強化しろ! このままだと穴が開くぞ」
一見威力の無さそうなビームだが鉄に対して相性が良く、鉄に熱を持たせ壊すのではなく溶かしていくのである。
やがて防ぎきれないと判断し移動を開始する。
(よしよし、次)
紅葉は固まって移動するヴュルスト達を誘導する様に盾を配置しずれそうなら武器を飛ばし修正する。
「くそ、完全誘導されている」
苛立つヴュルスト1人の兵が勇ましく提案する。
「こんな盾吹き飛ばしてみせます! 許可を下さい」
「ふむ、よしやってみろ」
許可を得た兵が壁のように配置された盾向かってタックルを試みる。
肩が触れる瞬間盾が消える。ぶつかるはずの盾が消え行き場のない力が勢いを殺せず兵は地面に転がってしまう。
その瞬間を狙ったかのように盾が兵を囲み武器が降ってくる。
「ちぃぃ! おい固まれ隙間は開けない方が良い」
固まるヴュルスト達を再び盾が囲う。
「全員で盾を構え突進するぞ! いいか盾に触れた瞬間に力を入れろ。難しいがやるしかないぞ」
ヴュルストが3人の兵と共に盾を構え突進を開始する。
囲っていた盾が全て消え真っ直ぐな1本道を作るように盾が設置され始める。
「誘導だと、構わん行け! 城の方へ向かって進むんだ一旦引いて体制を整えるぞ」
突如一際大きく分厚い盾が現れヴュルスト達の突進を止める。
「なんだこれは、盾なのか?」
戸惑うヴュルスト達を大きく囲うように盾が設置されると。突然地面に無数の武器が刺さった状態で出現する。
まるで武器の墓場のような光景に皆が唾を飲み込む。
「くっくっく、ようこそボクの結界へ!」
突然声が響き皆が注目するなか1枚の盾が現れて消えると紅葉が現れる。
「結界だと!?」
「そう辺りに刺さっている無限の武器でボクが君たちが全滅するまで攻撃を繰り出していくのさ。ボクの攻撃は無限! どこまで耐えられるかな」
不敵に笑う紅葉にヴュルスト達は警戒し身構える。
(信じてる信じてる、結界なんか嘘だし、ボク武器使えないし。さっきから走り続けてヘトヘトだから無限に攻撃なんか出来ないし。
あっ、ボクの体は剣で出来てるって言うの忘れてた)
「いいかお前ら、我々はビアシンケン様の盾となるべくして集められた精鋭部隊だ。この恐るべき敵をビアシンケン様の元に行かせる訳にはいかん。
お前達こいつの攻撃を全て受けてくれるか。最後に我が必ず撃ち取る!」
「はっ! 我々必ず命の限りヴュルスト様の盾となりましょうぞ!」
ヴュルスト達が死を決意し覚悟を決める様子を見る紅葉が申し訳無さそうな顔をする。
(これじゃあボクの方が悪者だね。しかも決死の覚悟してるとこ悪いんだけどこれからやること考えるとちょっとなあ……正面からいっても勝てないからゴメンなさい)
心で謝る紅葉に3人の兵が前方に盾を構えその後ろをヴュルストが武器を手に突っ込んでくる。
どうやら正面か突っ込み紅葉の攻撃を命懸けで受け止めヴュルストが紅葉を相討ち覚悟で攻撃をする様だった
(行動見てておそらくそう来ると思ってたけど、ここまで予想通りだと怖いね)
突進するヴュルスト達の足元でカチッと音がした瞬間、光と衝撃、激しい音に包まれる。
激しい爆風を盾に隠れやり過ごすと影から覗く。
巨大なクレーターが出来ていて兵達は跡形もなく消えていた。
前に窓際から貰った地雷が地面に設置されていたのだ。
「ゆ、許さんぞ……」
足を引きずりながらも武器を構えヴュルストが紅葉の元に向かってくる。
「部下の人が庇って致命傷を免れたんだろうけどなんて生命力なんだ。地雷はもう1個ある。そこに着くのが早いかそれとも……」
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