その23  橙色の仮面にゃ!

 あれから2日、北へと歩く5人はフクシィーを越えヤマギーに入る。


 <ピピッ! ヤマギーに入りました>


 ペンネの持つ端末が に入った事を知らせる。その画面を見ながらペンネがバトの方を向くとバトにお願いする。


「これであの女神を呼べば良いいのかな? バトさんお願い」

「ええや、なんかきた。呼ぶのは後や」


 バトが見つめる先に歩いてこちらに向かってくる少女。


「こんちわ! お宅らが別世界から来た人達だね。この間はラルと欣怡シンイーがお世話になったみたいだけど。このエリノア・ヴォーン・カワードは違うよ!」


 そばかすの似合う可愛い少女はオレンジのダッフルコートを翻しベルトを取り出すと装着する。


「あっとそうそう、エリーって呼んで良いよ」


 爽やかに笑うとフロッピーディスクを差し込む。


「へんしん、へんしん!」


 目映い光に包まれ橙色の仮面に変身する。


「前の2人は名乗ったかな? わたしのこれのコードネームは『レナ』明るいって意味だね」


 喋りながらフロッピーディスクを2枚差し込む。


 ガッチャン! リーディングOK!「コーリング!!」

 デデデデン 呼び出し! 「ダンプ!! クレーン!!」


「ちょっと時間かかっちゃう。んでそれまで頑張るってね」


 ガッチャン! リーディングOK!「ガンブレード!!」

 デデデデン 装着! 「ガンブレード!!」


 幅広い剣にリボルバーがついている剣を構えると銃弾と斬擊を放つ。


「問答無用か」


 燕が刀で銃弾を切りながら斬擊を弾くとその間にシシャモとペンネが変身する。


「え~と、シシャモそんなに見つめてどうしたの?」


 ペンネがシシャモの視線に気付いて顔を赤くして聞く。


「麻帆が可愛さ4.5倍って言ってたけどにゃにが変わったにゃ?」


 今までと変わらないペンネの魔法少女姿を不思議そうに見ている。

 ペンネがシシャモに恥ずかしそうに近づき耳元で囁く。


「下着が変わったの。シシャモなら見ても良いよ」

「いや遠慮するにゃ……」


 逃げるようにシシャモが戦闘に加わる。

 ペンネはそんなシシャモに熱い視線を送りながら羽を広げ空へ飛び立つ。


「相手は1人ならこのまま畳み掛けれるんじゃ」

「紅葉、甘いぜよ。2体なにか来る」


 道路を黄色のダンプトラックと緑のクレーン車が爆走して現れる。

 ペンネが紅葉を掴んでクレーン車が伸ばすアームを避ける。紅葉を地面に転がしながら弓を引き暴風を纏う矢を放つ。


『必殺 シュトゥルム』


 クレーン車が矢を前にロボ型に変形し受け止める。


「むぅ、かき消された」


 愚痴りながらも炎の矢をつがえる。放たれる8本の矢が四肢にぶつかりロボがよろける。

 そこにビームの弾丸が撃ち込まれる。


「なるほど、ボクの認識したものに反応するんだね」


 背中から倒れるロボに電撃を纏う矢が上空から雷の様に落とされる。弾ける電撃を押さえ込むように分厚い盾が覆う。


 ***


 ダンプはロボに変形しその巨体を生かし豪快な攻撃を繰り出し、硬い体は燕の攻撃を弾く。


「硬いな、拙者の刀が弾かれる。こっちを使ってみるか」


 燕が『裁燕』を取り出して構えるとロボの体に閃光を走らせる。


「ふむ、切れるが相手の体が分厚いのか……決定打にかけるな」


 再び刀を構える燕の前でダンプ型のロボの体にミサイルが撃ち込まれ爆発を起こす。


「シシャモから燕を手伝うように言われたぜよ」


 戦闘機の翼のはえた背中のバックパックで飛びながら両腕と両肩から出した砲台からミサイルを発射する。


「まだまだ食らうがよ!!」


 両肩の砲台がビーム様に変換してビームが放たれると爆風の中にピンクの光が差し込み大きな爆発を起こす。

 その爆風を吹き飛ばす様に燕が必殺技を放つ。


『必殺 風燕かぜつばめたち


 流れるような太刀筋が内に集束し一気に外側に放たれる。

 爆風が消え去った後にロボの右腕が宙を舞い落ちてきて地面を揺らす。


「切れたがなんとも頑丈だな」

「伊達に大きい訳やないね。もうちっくと火力上げていこうか」


 ***


「お仲間さん強いね。まあそれなりに対策してるからこっちも粘らせてもらうよっと」


 エリーの斬擊と共に銃弾が放たれる。銃弾はシシャモに当たる前に空中で弾けシシャモの動きを制限する。

 そこを狙いビームが放たれシシャモの体力を削る。


「にゃんか戦いにくいにゃ」

「ふつーーの人ならもう死んでるって。丈夫過ぎるんだって」


 シシャモが剣を腕で受け止めるとその場で回し蹴りを繰り出す。その足はエリーの周囲に飛んできた丸い球がビームのバリアを張り受け止める。


「あっぶなーー、必殺技じゃなくてこの威力。すっごいけど食らうの勘弁、勘弁」


 エリーがフロッピーディスクを差し込んでロケットランチャーを出すとベルトのボタンを叩く。


 ララララララランチャーーMAX ランチャーストライク!!!


 巨大化したミサイルが高速で飛んでくる。それをなんなくかわしてみせるがシシャモを通りすぎたミサイルはUターンしシシャモを追尾し始める。


「にゃ!? これはなんにゃ」


 何度も追尾するミサイルを避けるシシャモが建物の壁を蹴り大きく跳躍する。空中で宙返りをしてミサイルを避けるとミサイルはUターンを始める。

 そこに炎に包まれた矢が飛んできてミサイルが空中で爆発するその暴風を遮る様に盾が現れるとその盾を蹴ってベルトのボタンを叩く。


『必殺 シシャモキック』


 エリーの前にクレーン型ロボが割り込み蹴りを受け止めるが左手が粉砕される。


「あぶなかったーーうちの子が優秀で良かったってね」


 エリーが1枚のフロッピーディスクを手に取るとベルトに差し込む。


「まだまだ、いちゃうよ! ってね」

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