その21 武器沢山貰ったにゃ!
「ところで窓際、さっきあたしみたいに変身するやつらに会ったんだけどなんにゃ?」
シシャモがさっき戦った仮面の人物達の話をすると窓際はちょっとばつの悪そうな顔をして話始める。
「話を聞く限り僕の作ったのを元に取引先の会社が作った物だろうね」
「そう言えばあの会社の中に動物がいましたね。フロッピーディスクの多さの秘密はそれだと思います」
窓際の説明に合わせ麻帆が淡々と語る。
「麻帆殿は何者なんだ? 話から1人で敵陣営に忍び込み窓際殿を救ったのだろう。かなり高い戦闘能力だと思うのだが」
「趣味です。通信教育で忍びを少々学んだだけです」
燕の疑問に麻帆が答えるがまだ何か言いたい燕を置いて麻帆が話を続ける。
「この間、紅葉から連絡を受けて話は聞いています。今後の為に皆さんに装備を作ってみました」
麻帆が部屋の隅に物が積んである場所まで皆を連れてくる。
「まずは燕さん、これを」
3本の刀が渡される。
「1本目は特殊金属と高周波の振動で全てを切り裂く刀『裁燕』
2本目は峰打ちに特化させるため峰を強化し、たとえ防御されても衝撃波を何重にも重ね相手を粉砕する『撲殺刀』
最後の3本目はいわゆる銃剣でここのトリガーを引くことで高出力のビームを放ち遠距離攻撃が出来る『峰撃ち丸』」
燕は渡された3本の刀を嬉しそうに1本1本眺める。
「次は紅葉、物の収納は凄いけど武器が使えないからこれね。
まずは強化鉄で作られた盾。分厚く重量はあるけど持たないなら関係無いはず。銃弾だけでなくビームも通さない更に厚みもあるし裏側に足を付ける事で地面で自立出来るこれを10枚。
それから攻撃の要として自立式オートビーム式機関銃と地面設置型反応式地雷これは材料が少なかったから銃2丁と地雷は5個」
紅葉が並べられた物を次々と収納していく。一瞬で物が消えていくその光景に窓際が感激の声をあげる。
「次はシシャモさんは、はい」
そう言ってバトと手を繋がされるとバトはもじもじする。
「こいつをどうするにゃ? 振り回せば良いのかにゃ?」
「シシャモ、激しいわ。バトは全員の攻撃サポートをするだけでのうて、アイテムドロップ品をストックしてあるフロッピーディスクに書き込める機能があるがぜよ」
バトの言葉にシシャモが感激して手を握る。
「バトお前凄いやつだにゃ。さっきの戦い見てちょっとフロピー増やしたいと思ったとこにゃ。最近アイテムドロップがなくて困ってたにゃ」
「安心しろ。うちはアイテムを無理矢理取る機能もあるき。むしり取って、フロッピーディスクに書き込んじゃるさ……」
ここまで話してバトは身の危険を感じる。
(うちの警報が鳴り止まん。これは……嫉妬や)
シシャモに手を握られたバトの背後でバチバチと体に電撃を走らせるペンネ。だがその電撃をものともせず肩に麻帆の手がかけられる。
「ペンネちゃんは魔法少女だから武器とか無くてサイトのアップデートって言う地味なやつだからぁ……ふっふふ。それじゃあかわいそーーだから、くふふふ、はぁはぁ」
「いえ結構です! なんか分かんないけど結構です!!」
怯え後ずさりするペンネを麻帆が息を荒くして歩み寄る。
「いえいえ、遠慮しちゃダメですよぉって私とペンネちゃんの仲じゃないですかぁ、ふふふふ、ほらぁこっちへおいで。ね、痛くしないからひひひふふふふ」
「やだ、なんで私だけ「ちゃん」付けちょっと、ごめんなさい。シシャモ助け……ひゃあぁぁぁぁ」
ペンネが麻帆に引きずられ別室に連れていかれる。
「久しぶりに見たけど麻帆って凄いやつにゃ」
「ただの魔法少女好きじゃない謎多き人物や。うちのデーターでもよう分からん」
「ボクもあの人は色んな意味でヤバイと思うな」
「ペンネ殿は好かれてるな。羨ましくないが」
ペンネが4人に見送られ麻帆に連れて行かれてから約2時間。皆がそれぞれくつろいでいると心身ともボロボロのペンネとツヤツヤの麻帆が戻ってくる。
「ペンネちゃん良いですか? これで可愛さ4.5倍! もはやあなたの可愛さに敵う者はいないでしょう。ふっふっふっふ、ひっひっひっひ。はぁはっはっはっは」
「笑いの三段階なんてボクよりよっぽど中二病じゃん。むしろ最近のボク普通だし」
笑う麻帆から逃げ出しペンネは寝ていたシシャモの胸に飛び込む。
「おぶっ、ペ、ペンネ痛い……痛いにゃ」
「今だけ、今だけシシャモの胸で傷を癒して欲しいの。いえ今だけじゃなくて今晩も! そして永遠に!!」
飛び込んで来て強く抱き締めるペンネになされるがままのシシャモをお茶を飲みながら燕とバトが見ている。
「データーでしか知らざったけど面白い人達や。燕、お茶要る? うちには茶柱立てる機能がついちゅーき98%で茶柱を立てれるがよ」
「面白くて良き仲間だ。あぁ申し訳ない」
燕の湯飲みにお茶が注がれる。そしてしっかりと立って存在を主張する茶柱。
「ふむ、バト殿のサポートとやらはここまで出来るのだな。素晴らしい」
「ありがとう。他にも細かい機能あるき任せとーせ」
各々がまったりするなか窓際は夕食を作っていた。
***
皆が夕食を囲み今後の話をする。
窓際達は身を隠すため今後もここにいる。施設が無いため転移システムは使用出来ないが、鉄などの資源を手に入れたら加工して武器等作れるので定期的に戻るのが良い。
ただ場所が見つかる事を懸念してなるべく回数は少なめに。
窓際を軟禁した企業の本社は『ホッカドー』にあるので今まで通り北を目指す。魔王かは分からないが関わっている可能性が高い。
「それで紅葉ちゃんなんだけど、敵が顔を知ってるみたいだしシシャモ君と一緒の方が安全だと思うんだ。学校とか行けないけど」
「良いよ。ボクは学校なんか行きたくないし、シシャモ達と一緒に旅するよ」
窓際はちょっと複雑な顔をするがシシャモの方を見ると「宜しくお願いします」と頭を下げる。
「紅葉は強いしアイテム沢山持てるから本人さえ良ければ、一緒に来て欲しいにゃ」
その言葉に照れながらも嬉しそうな紅葉にちょっと安心したような表情の窓際だった。
「それで気になったのだがにゃ、初めてあたしが来たときにいたやつとあのロボ達って一緒のやつなのかにゃ?」
「う~ん多分違うかな。詳しくは分からないけどライバル企業っと言ったところかな。
あっちは今のところ気にしなくて良いけど今から向かう企業『』には気をつけて」
「さっき拙者達が戦った感じだと強いが勝てない程ではなかった。あれ以上の戦力があるのだろうか?」
燕の疑問に麻帆が答える。
「先ほどバトから見せて貰ったデーターからベルトはシシャモさんのをベースに改良したもの。そして変身者も3人だけでは無い可能性が高いです。フロッピーディスクの種類も増やしてくるでしょうから油断は出来ません」
「まず相手を知ることだね。ご飯食べたら説明しよう!」
説明したくて生き生きする窓際と既に眠そうなシシャモ。
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