その18 新たな敵にゃ!

 シシャモは蜘蛛のフロッピーディスクを挿入し手の平を壁に付けては糸を伸ばし移動する。

 何処かの蜘蛛男の様ではあるが糸が飛ばせないのでちょっとスマートさが足りなくはある。

 ただステータスが魔力以外カンストしているシシャモにとってはスマートさなどどうでも良い。


 蜘蛛の能力なのか足の裏を壁に引っ付ける事が出来る事にさっき気付いた。


「今度から窓際に説明をちゃんとさせないとにゃ」


 シシャモはビルの壁を蹴り蜘蛛型ロボとすれ違い様にタッチすると糸を伸ばしながら反対のビルの壁引っ付く。そのまま糸を上に振り上げ宙に浮く蜘蛛型ロボの周りを飛び交い糸を体に巻き付け身動きを封じる。


 そのまま地上へ糸を伸ばし降ろすと壁を蹴りもう1体の蜘蛛型ロボの攻撃を空中で体を捻りながら避け胴体をタッチし糸を伸ばしそれを手繰って蜘蛛の頭に通常のネコパンチを叩き込む。


 頭部がへこみ機能停止したロボを担いで地上に降りていく。

 地上には3人がそれぞれの蜘蛛型ロボを1ヶ所に集めていたのでそこへ投げ込む。


「これで終わりかにゃ。こいつらは」

「私が全部まとめて潰すよ♪」


 ペンネが右腕に電撃を這わせる。


「……オマエ……ユウシャ……オイツメル……マズハ……」


 数体の蜘蛛型ロボがシシャモ達を赤い目で見ると突然言葉を発する。


「にゃ!? こいつら喋れるのかにゃ」

「最初から喋れたのかな?」


 蜘蛛型ロボを覗くシシャモとペンネの顔にピントが合うと何処かへ通信を送りはじめる。


 <ジュウジン キュウケツキ セイチョウゲンカイ>


「うむ、ロボとやらは口も開けずに喋るのだな」

「ロボットだからね」


 <オニ コウゲキ タカイガ キョウイレベルヒクイ ニンゲン ?? モンダイガイ ……ジッケンタイトウニュウ サイシュウダンカイ イコウ>


 蜘蛛型ロボの体が赤く光り始める。 


「こ、これって自爆ってやつじゃないかな」


 あせる紅葉の隣で再び電撃を放つペンネが球体を作り握りつぶす。球体の中で爆発し鉄屑の山ができる。


「さっき追い詰めるとか言ってなかった? ペンネ、おじさんに連絡とれる?」


 紅葉に言われペンネが窓際に連絡をとろうとするが繋がらない。


「取れないじゃなくて繋がらないは流石におかしい。シシャモ一旦戻ってもらえない?」

「分かったにゃ。ただここでタイミング良く……」


 晴れた空から稲妻が落ちて地面を焦がすとスピカが現れる。

 いつもより疲れている感じだ。


「き、緊急って言われて3惑星間跨いで来たからつ、疲れた……」

「流石タイミングだけは良いにゃ。にゃんかボロボロだけど窓際の所へ送って欲しいにゃ」


「えぇ、その為に急いで来たんだから、ほい落雷」


 周囲に電気が走りシシャモ達を包むと電気が弾け姿が消える。


「あぁ疲れた。担当エリア減らして欲しいわ」


 そう言ってスピカも消える。


 残された残骸と今起きた一部始終に周囲の住民と自警隊の人々が唖然としていた。

 この事件、夕方のニュースでは謎の爆発事故と報道され、ネットに動画をあげようとしてもあげられず、端末のメモリーからいつの間にか消えてしまうと言う不思議な現象が起きる。

 口伝えで噂として広まりはするものの巨大蜘蛛と少女が戦うその内容に信憑性が疑われた。


 ***


 ラボに設置された天井のシステムによって落雷が受け止められる。


「シシャモ殿何かいつもと違う。中に入るのは慎重に……」


 燕が刀を抜くと甲高い金属音と火花が散る。


「良い反応するじゃん」


 ボサボサの赤い髪に目付きの悪い男が剣を引くと再び斬りかかる。

 その斬撃を受け流すと神速の抜刀が男の腕を切り血が散る。


「手加減してくれったって感じかあ。やっぱつええわ」


 男はいつの間にか出したベルトを腰に巻く。

 驚く4人を前にベルトにフロッピーディスクを差し込むとレバーを引く。


「変身するぜぇ!」


 男が目映い光に包まれると紫色をベースとしたパワードスーツにプロテクター部分が銀色の鎧の様な姿をした仮面の男が剣を持って立っていた。


「これで俺もいけるってよ!」


 振られる剣を受け流す暇もなく燕が刀ごと飛ばされる。燕は空中でバランスを取って着地する。


 その間にシシャモとペンネが変身して仮面の男に攻撃を仕掛ける。


「ネコ、あんたの相手は私!」


 突然の鋭い蹴りをシシャモが受け止める。


 青い仮面の見た感じ女性と思われる人物が素早い連続攻撃を繰り出す。

 それを難なくかわしていくシシャモ。


「やる、だが」


 青い仮面の人物がフロッピーディスクを差し込みボタンを叩く。


 ガッチャン! リーディングOK!「イーグル!!」

 デデデデン 装着! 「イーグルウイング!!」


 青い仮面の人物の背中に青い羽がはえるとそれを大きく広げる。


「にゃ! そんなのあるのかにゃ!」


 青い仮面の人物が宙に浮かび驚くシシャモを蹴っては逃げるヒット&ウェイを繰り返す。


「流石に固いけど、これはどう」


 空中でフロッピーディスクを差し込みボタンを叩く。


 ガッチャン! リーディングOK!「ガンモード!!」

 

 空間に2丁の銃が現れそれを手に持つとビームをシシャモに向け撃ってくる。


 体から火花を吹きながらシシャモが転がる。


「いたたた、なんにゃこれ。めちゃくちゃ痛いにゃ」

「効いてる、効いてる。どんどん喰らえ」


 銃を構える青い仮面の人物の周りを盾が囲む。


「なにこれ! 見えない」


 その盾が一瞬で消えると目の前にはシシャモが迫っておりネコパンチがボディーに入る。


 青い仮面の人物が声も出せずに吹き飛ぶと地面に落ちていく。苦しそうに立ち上がり腹を押さえている。


「が、がはぁ。はあはあ、一発でこれとか洒落になんない」

「んだよ、負けてんじゃん」


 紫の仮面の男が燕とペンネの攻撃をかわしながら青い仮面に話しかける。


「あんたみたいな軍出身とは違うんでね」


 ガッチャン! リーディングOK!「ランチャーモード!!」


 文句を言いながらロケットランチャーを取り出し構えるとシシャモに放つ。


「流石にこれは!?」


 何重もの盾を出し押さえ込もうとするが盾を吹き飛ばしながら飛んでいく。


「いや、紅葉助かるにゃ。スピードが落ちてるから避けれるにゃ!」


 シシャモが避けた事でラボの天井に穴が開く。


 崩れ落ちる破片を蹴りながら燕が斬りかかるのを紫の仮面の男が受け止めると空を飛ぶペンネの矢が飛んでくる。


「ちっ、めんどくせーー」


 ガッチャン! リーディングOK!「ミラージュモード!!」


 紫の仮面の男が2人に増え燕を蹴ると2人共が矢を避ける。


「なんだこの者達は。シシャモどもに似てるが戦いかたが違う」

「あたしこんなにフロピー持ってないにゃ」


 シシャモと燕が並んで構える。上空でペンネがキョロキョロしている。


「あれ? 紅葉さんは?」







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