その16 やっぱり戦闘開始にゃ!
朝食まで堪能したシシャモは朝食バイキングのパンが持ち帰れない事に少し落ち込んでいたが今は元気よく歩いている。
「ホテルは代表者だけの身分証明があれば良いけど、乗り物は1人ずついるからやっぱり徒歩しかないね」
「徒歩だとしても紅葉のお陰で食事と寝るところは快適になったにゃ」
お金は伯父さんのだけどねと思いつつも感謝され悪い気はしない紅葉だった。
「あれから2日、敵は出ないし案外北の方へはあっさり着くかもしれないな」
燕の分かりやすいフラグは回収されることなく3日目を迎える。
「本当にのんびりとした旅だね。人は多いけど魔物が出るわけでもないし」
「ただ景色はあんまり面白くないにゃ。灰色の建物ばっかりで飽きてきたにゃ」
基本的にメイン道路周辺には商業施設が建ち並びそれらを囲う様に住宅地が広がる。
さらに離れて工業施設が海沿いに並んでいると紅葉から説明を受ける。
「今日は何を食べようかにゃ~」
シシャモが何気に上を向いて固まる。
「来たにゃ、戦闘準備にゃ!」
ベルトを巻き変身するシシャモとステッキで変身するペンネに刀を取り出す燕。
「って目立ちすぎ! 燕は銃刀法違反じゃないかな」
構える3人とあたふたする紅葉だが周囲の人々はまだ異変には気付いていない。
ビルを滑り落ちるように火花を散らしながら体長2メートルぐらいの蜘蛛に似た金属製のロボが現れる。
「にゃんだ蜘蛛見たいなやつにゃ。なんか段々小さくなってにゃいか?」
「小さい方が弱いじゃないかな? 早速私がやるよ」
周囲の通行人達も異変に気づき始め逃げる者、距離を置いて端末で動画等を撮るものがいるなかペンネが飛び立つ。
「あぁ目立つ目立つ、目立ってる」
紅葉の心配を他所にペンネが弓を引く。本体と弦の間に電撃が走り始める。
蜘蛛型ロボも大人しく当たる気は無いようでビルに張り付き移動を始める。それを追いながらペンネの溜めを稼ぐシシャモと燕がビルの壁を蹴りながら移動する。
「それじゃあいくよ……」
狙いを付けるペンネとビルの中にいる人達と目が合う。ペンネが弓を下ろし飛んで移動する。
「シシャモ魔法を撃ったら人を巻き込んでしまう」
「にゃに? ならあたしが止め刺して爆発させるのも難しいってことかにゃ」
そんな2人の事は関係なく蜘蛛型ロボの背中部分の左右から銃身がせりだし銃弾が放たれるが、銃弾は空中に出現した盾に阻まれ火花を散らし散っていく。
「使える盾は2枚か」
盾を回収する紅葉にビルの壁を蹴り空中に飛び出した蜘蛛型ロボの口から糸の様なものが噴射される。
それを紅葉がもう一枚の盾で防ぐと。蜘蛛型ロボよりも高くとんだ燕が回転、落下しながら刀を抜く。
『必殺 隼』
すれ違い様に神速の閃光が走り蜘蛛型ロボの左足が4本飛ぶ。
「倒す方法は後でどうにかするとして、まずは動きを封じればいいのではないか」
そう言いながら地上に軽やかに着地すると刀を構える。遅れて落ちてきた蜘蛛型ロボに向かって地面が
『必殺 アマツバメ』
遅れて表示が出る。
「まだいるにゃ!」
シシャモの声で3人が散りそれぞれの場所に銃弾が撃ち込まれる。
「死ねる、死ねる。どっちの世界でもヤバイって」
半泣きな紅葉の目の前に重装備な車両が次々と並び盾と銃を構える自警隊(※ス5)の姿があった。
一瞬助かったと思う紅葉に自警隊の隊長と思われる人物から拡声器で叫ばれる。
「抵抗するな! 大人しく投降しろ!」
集団から向けられる銃口に動けない紅葉の頭上を飛び越え蜘蛛型ロボが自警隊を吹き飛ばしながら紅葉の方を向く。
「あぁまずい、ボクも狙われてるから近くにいると危ないかも」
走る紅葉に放たれる銃弾を近くにあった長方形の盾を拾い防ぐ。
「あいたたた、直接手に持っても結構な衝撃が痛い。ん? そう言えばアイテムの所有権の問題ってこっちではどうなんだろう」
試しに近くに落ちている盾を収納してみるアイテムボックスに収納される。
「へぇ、これって『ライオットシールド』って言うんだ。ってこれは使えるね。ふっふっふっふ」
アイテムの効果範囲を100メートルに広げ周辺の盾を収納する。
「手に持っているのはダメみたいだけど落ちてるのはボクの物に出来るみたいだね。ついでに銃も貰っちゃおう」
次々と消える盾と銃を目の前にして自警隊が紅葉に銃口を向けるが再び蜘蛛型ロボに阻まれる。
口から放たれる糸を口元に盾を3枚出して噴射される前に防ぐ。
背中からせりだした銃口を防ぐように盾を出し銃身を1つ吹き飛ばす事に成功する。
暴れる様に足を振り回す蜘蛛型ロボに巻き込まれそうになる自警隊の盾を出しながら守りながら立ち回る。
「えっと、ちょっとお願いがあるんですけど」
謎の少女から突然声をかけられ身構える自警隊の隊員達。
「あの、ボク攻撃が出来ないんで、こう銃とかであれを撃ってもらえると助かるんですけど。ダメでしょうか?」
その間にも攻撃は続きそれを紅葉が必死で盾を出して防いでいく。
「そうだ、こっちの世界でも薬草って効果あるのかな」
自分に試しに使うと『+10』の回復を示す表示が出る。
倒れている隊員に使用すると同じ表示が出る。不思議そうに立ち上がる隊員を見て倒れている人全員に使用する。
「まあ、これで信じてくれって言うのは無理かもしれないけどせめてボクを撃たないでよ」
そうぼやきながらも攻撃を防いでいく。
「隊長これはなんでしょう? 力が戻ってきた様な感覚」
「分からんが、この状況はどうしたものか」
隊長と呼ばれた人物が見つめる先には必死で攻撃を防ぐ少女の姿。その奥で3人の少女達もそれぞれ戦っている。
「今のところ少女達が攻撃してくる様子はない。総員蜘蛛の方を攻撃しろ!」
隊長の合図で一斉に放たれる銃弾を金属の体は弾く。
「目だ! 目を狙え!」
赤く光る目に向け再び銃弾が撃ち込まれる。割れるた目の破片をばらまきながらも素早く動き続ける。
「どうしたら良いんだ、今回は3人ともそれぞれ戦ってるし任せるのは無理かな」
必死で盾を出して攻撃を防ぎながら考える。何度か頭上に武器を出して落としてみるが効果は無かった。
「あ~なんかこうガツーーンって感じの攻撃方法があればなぁ」
走ってその辺のオブジェや石で出来たベンチなんかをアイテムに入れようとしたが出来なかった。
石などを落とせば倒せるかもとの考えだったが叶わなかった。
さりげなく自警隊が落とした盾などは回収しているが。
蜘蛛型ロボが地上を滑る様にくるっと一回転するする攻撃を繰り出すのを盾を数枚出して防ぐ。
その攻撃で被害を受けそうな自警隊への攻撃を防ぐため更に数枚重ねて盾を出すと重なった盾に乗り上げ一瞬空中に浮く。
「これは使えるかも」
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「来ました久々にこのコーナー。教えてスピカちゃんその5。
『自警隊』これはこの国ジャパンの軍隊と警察が合わさった様な組織ね。世界情勢も不安定な世の中みたいですし色々とあるんでしょうね。
そう言う背景から発砲に関しては割りと現場の判断に委ねられたりしてます。
うん、真面目に終えましたよ。私もやれば出来る子なのですよ」
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