その13 続砂漠の魔王戦にゃ!
「あぁ、疲れる~、シシャモ速すぎだって」
戦う前からヨロヨロになって走る紅葉の目にシシャモがワンウルフ族を襲うデスワームを阻止する為蹴り飛ばすのが映る。
「ダメージ4800って凄いんじゃないのかな? ボク必要無さそう」
ホッと胸を撫で下ろす紅葉の足元が揺れる。
「嫌な予感しかしない!」
紅葉が全力で横に飛ぶのと同時に下からデスワームの口が鋭い歯を見せながら現れる。
「ひゃぁ~死ぬ、不味い死ぬってこれ」
紅葉が転がりなんとか避ける。完全に紅葉に狙いをつけたデスワームの口が再び向かう。
涙目になる紅葉とデスワームの間にシシャモが滑り込んできてアッパーでデスワームの軌道を変える。
デスワームは逃げるように地中に潜る。
「死ぬかと思ったぁ~」
真っ青な顔の紅葉が辺りを警戒する。
(どうしよう、あんなに大きいと盾出してもどうにもならないよね)
「紅葉、にゃにか良い方法にゃいか? あいつ地面に潜って攻撃が当たんないにゃ」
「と言われても……」
再び地面が揺れる。
『固有技 サンドブラスト』
の表示と天に昇る砂の柱。2人とも間一髪避ける。
動けない紅葉に対してシシャモが走るとそこを狙って砂が吹き上がる。
(音か、地面の音を聞いて攻撃してるっぽい。でもどうすれば)
シシャモの攻撃を恐れ地中からの攻撃しかしてこないデスワームに悪戦苦闘している。
間一髪のところで砂の攻撃を避けているのは流石と言ったところだろうか。
(音で気を反らせば攻撃を誘導出来るかも)
紅葉が自身の前を見る。スキル『in and out』半径100メートル内でアイテムの出し入れを行う。但し地中には出すことは出来ない。
スキルを発動させると視界に紅葉にしか見えていない緑に光る線が引かれる。
右上にアイテム一覧とその横に選んだアイテムの拡大した図と説明が表示される。
左下には座標軸の数字が表示され、アイテム出現させる数字とアイテムを使う対象の数字がそれぞれ分かる。
一旦決めたアイテムの出現位置を若干ずらすことで柔らかい土なら盾を刺すこと出来る。
固い岩等が地中にある場合は埋まらずパタリとその場で倒れる。
回復アイテムは味方に重ねる事で使用したことになるが武器は上手く重ねれなかった。ただ練習次第では手元に出したり出来そうではあった。
後、物体に割り込んで出し入れも出来ない。体内でアイテムを出したり岩の中に剣を入れるとかも出来ない。水中への出し入れは可能だった。
以上が紅葉が最近試して分かった事である。
(盾を横向きにしてその上空にもう一枚出してぶつけると)
地面の上に盾が横向きで現れる。その少し上に盾が現れ落下する。
盾と盾がぶつかり ガチャン! と大きな音がする。
その直後地面が揺れ砂の柱が昇る。
「成功っと、でも攻撃が出来ないなぁ」
ぼやく紅葉の隣にそっとシシャモが降りてくる。
「凄い静かに来ると思ったらクモの糸でぶら下がってんだ。どっかの蜘蛛男みたい」
「にゃんにゃそれ? それより、さっきの盾使えそうじゃないかにゃ?」
「うん、でも攻撃が出来ないんだよね」
シシャモがちょっと考えた後
「砂を吐いてるところに突っ込むにゃ。紅葉があたしの前に盾を展開してけば行けそうな気がするにゃ」
「展開ってそんな器用なこと」
「じゃ! 任せたにゃ」
シシャモがクモの糸をたぐりオアシスの木の上に昇る。
「もう、ボクの気も知らないで」
文句を良いながらスキルを発動させ盾の設置を行う。
(今持っている盾は5枚か。それを出し入れしながらシシャモを守るって難易度高くない?)
木の上からシシャモが盾の位置を見ている。上空に出現した盾が落ち金属がぶつかる音をたてるとシシャモが大きくジャンプする。
それと同時に盾が音をたてた場所に砂の柱が昇る。
シシャモが蹴りの体制で砂に突っ込む、紅葉がその前に盾を前へ前へと展開してシシャモの道を作る。
『必殺 シシャモキック』
の表示が現れ地中から爆発音とデスワームの断末魔が響く。
それと共に紅葉に経験値が入りレベルが上がることで討伐を確信する。
「って地面が崩れてる! シシャモが埋まる!」
地中の爆発で砂漠の砂が崩れ落ちていきシシャモが地中に埋まってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます