その7 アイテム沢山持って疾風の魔王討伐へ行くにゃ!
「教えてスピカちゃーーん さーーん!
今日は私の管理する星の1つ生命が生まれたばかりの星……名前はスモモに似てるのでケルシー(仮)とでも呼びましょうか。ん? なに?
このコーナー4回目? 誰も分かんないって。
えっと遠い星からの中継ですけど今回は「アイテムボックス」について。
シシャモの世界では当たり前のように使われていますけど収納数は生まれたときから決まっていて増えることはありません。
因みに遺伝とかは無いみたいですよ。
よくゲームとかで同じアイテムなら重ねて×99とか見たこと無いかしら?
薬草なら99個まで1マスに入るってやつ。でもこの世界はシシャモの枠が40だから40個までしか持てないの。重ねる事は出来ないってこと。
でもどんなに重いものでもポケットに入れてしまえば関係ないし便利よね。
そうそう、これを使って窃盗とかは出来ないわよ。お店に売っているものは所有権がお店のものだからポケットに入れる事が出来ないの。
お金を払って所有権が移ったら初めて収納出来るの。
だから人の家に入ってタンスを開けてアイテムを探してポケットに入れるとか出来ません。ただの犯罪だからやっちゃダメです。
それにしても紅葉ちゃんの収納数は異常よねぇ。本人は荷物持ち出来きて役に立てる! とか考えてそうだけどただの荷物持ちで終われるかしらね? おっと未来が見えかけたわ、神様こえーー私すげーー。
あーー熱いーーこの星熱いわーー他の星に行きたいーー」
───────────────
「しかも重ねることが出来ます」
「にゃんと!?」
色々試してみた結果、紅葉のアイテムのマスには同じものなら×99まで重ねて収納と言う意味の分からない事が出来ることが判明。
ただ武器などは同じものでも重ねられない。ダガーを2セットで買って入れてみたところ。マスは2つ使用されたのである。
「紅葉さん凄い! 薬草なら(99×100)×40で39600個持てますよ! 薬草で敵を圧殺出来そうです」
「後ろから忍び寄って口に薬草を詰め込んで暗殺も出来そうだ」
「薬草風呂に入って、薬草敷き詰めてお昼寝したら体に良さそうにゃ」
3人に案でアイテムボックスの使い道は広がる。それに伴って紅葉の表情も明るくなっていく。
(戦闘は無理かもしれないけど、アイテムを大量に運んで荷物持ち位はやれそう。少しはここでやっていけそうな気がしてきた)
「取り敢えず紅葉の為にもアイテムを買い込むのと渓谷にいる疾風の魔王の情報集めをするにゃ」
シシャモの提案に皆が納得するなか紅葉はテンション高く聞く。
「情報集めって酒場だよね! ギルドとかあるの?」
「紅葉、お前何歳にゃ?」
「15だけど」
「お酒は21からにゃ。立ち入りもダメにゃ。それにギルドってなんにゃ?」
「あ、以外にしっかりしてんのねこの世界。ってか魔物って法律あるんだ。ギルドは無しと……色々と違うなぁ」
(本で得た知識も大事だけど百聞は一見にしかずってやつなんだろうなこれが)
ちょっとガッカリする紅葉。
***
(町は2回目だけどやっぱ面白いなぁ。あれなんだろ? 食べ物? こっちは──)
キョロキョロする紅葉がある露店に真っ黒な地図があることに気づく。
「あそこに売っている黒い地図ってなんなの? 『何者にも記せない地図』って書いてあるけど」
「気にすんにゃ、頭のかわいそうなやつが商売しているのにゃ」
「ふ、ふ~ん」
逃げるようなシシャモに引っ張られ先へと進む。
「薬草はこれぐらいでいいと思うよ。ポーションも数個買ったし。後は予備の武器なんか買っておくと良いかもしれないね」
「拙者と紅葉殿は特に必要かもしれないな」
(武器かぁ、昨日ダガーを使ったけどあまり重いのは持てないし、そもそも武器の使い方が分かんないや。
どっかの王みたいに武器を召喚して次々に飛ばせたら良いんだろうけどボクが出来るのは出し入れだけだしなぁ)
ポケットを見る。
(待てよ。そもそもこのポケットに物を入れるためには持ち上げる必要があるわけで、例えば100kgの武器があったとしてボクがそれを持ち上げる事が出来ないと出し入れもままならないと……冷静に考えると微妙だなぁ)
「シシャモ、こっちの人が疾風の魔王のこと知ってるって」
紅葉はペンネの声で現実に戻る。
露店のおばさんの言うことには疾風の魔王の正体は『ハーピー』と呼ばれる体が鳥で顔が女の人の魔物だと。
群れで動くが基本的に渓谷の奥の方にいてめったに出会わないらしい。
渓谷を抜ければ砂漠が広がっているから水を持って行くと良いとのこと。
「あんまり言いたくにゃいんだが、めったに出会わないとか言われたら出て来そうじゃにゃいか?」
シシャモじゃなくても分かるフラグがここに立つのであった。
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