その5 闇魔法炸裂にゃ!
岩トカゲ名前の通り岩に住むトカゲである。体が灰色で岩の様にゴツゴツした鱗に守られているのが特徴。集団で生活し子供は1メートル弱、大きい個体になると3メートルにもなるともいわれる。
鱗は背中側にしかなく狙うなら柔らかいお腹を狙うのがセオリーである。
シシャモ達3人にはそのセオリーは当てはまっていない背中の鱗ごと砕く3人はこの世界の理から外れ始めているようだ。
一方の紅葉は一生懸命走って逃げている。一度50センチ位のトカゲを攻撃してみたが刃が弾かれて心が折れた。
「あーーもーー無理、異世界転移最悪」
周囲のトカゲに魔法の矢が突き刺さり消えていく。上空でペンネが手を振っているのが見える。
パパパーーン!
LV3→4
「あ、またレベルが上がった」
先程から紅葉のレベルは上がり続けている。そのつどステータスを確認する。HPと防御力の数値の上昇は見られるが肝心のスキルが手に入らない。
「ボクもスキル欲しいなあ」
そんなぼやく紅葉の前に小さな岩トカゲが現れる。ダガーを振ってみる。表示される「ー3」の文字。
「あれ? ダメージが与えれる。面白い感覚だなぁ」
3人を見てみる。相変わらず物凄い勢いでトカゲを討伐していっている。ただ気になるのはダメージの数値が30~40程度なのにトカゲが消えていくこと。
(この小さいので3のダメージで死なないのにあの大きいのがHP30って事は無さそうだけど。RPGゲームみたいな世界と思ってたけど違うのかな?)
考え事をしている紅葉の横に燕が滑り込みながらトカゲを撲殺していく。
「紅葉殿大丈夫か? まだレベルも低いから隠れていた方が良い」
「ふっ、そうさせてもらおう」
紅葉は岩影の方へと向かう。
「ここなら安心かな」
そう言って腰を降ろす。目の前に大きな洞窟があるが暗い穴の中の闇が揺れている様な錯覚を感じる。
疲れているのかと思うが気になる紅葉が目を凝らして見る……目と目が合う。
4メートルはあろうかと言う大きな岩トカゲと見つめ合う紅葉。
「うそでしょ、これは不味いよねぇ」
後退りする紅葉だが、岩影に隠れたせいで3人から死角になっててこの状況を気づいてもらえていない。
腰を降ろした為にすぐに立ち上がれず迫るトカゲに目をつぶって両手をかざすしか出来ない紅葉。
その時大きな音がして大トカゲが岩に押し潰される。そして上がる紅葉のレベル。
レベルがどうこうより目の前の光景に理解の追い付かない紅葉の元に3人が集まる。
そして紅葉の左腕の包帯が乱れていることから闇魔法の発動だと興奮するペンネに「闇の力が押さえられなかったみたいだ」と必死で繕う紅葉だった。
「にしても凄いにゃ。地形を変えるほどの威力とは闇魔法恐るべしにゃ」
一部の地形が変わってしまうその威力に感心する3人。
──10分前
シシャモのネコパンチで岩トカゲが弧を描いて飛んでいく → 草むらに落ちそこにいた虫が衝撃で飛んで近くの湧き水の貯まった池に落ちる → そこにいる魚が数匹虫を食べに水面に → 上空にいた鳥が水面の魚をキャッチ → 巣へ運ぶ鳥の前に別の鳥が現れ獲物の奪い合いの末、魚が地上へ落下 → 上から落ちてきた魚に驚いた渓谷鹿が走って逃げ出した際石ころをはね飛ばす → 斜面で木の実を取っていた渓谷猿に石が当たって、驚いた猿が木の実を斜面に落として木の実が転がり始める → 転がった木の実は斜面の石に当たり石を巻き込んで転がりその数を増やす → 斜面の途中にあった不安定な大岩に次々と転がって来た石がぶつかり遂に大岩が転がる → 大トカゲに直撃。
そんな奇跡的な闇魔法スイッチの発動。
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