その14 言葉の壁? 今さらかにゃ!

 サイレンの音が鳴り響く。もっともシシャモ達にはそれが何かは分からないが嫌な感じがしたのでその場から逃げ出す。


 ***


 公園から離れて町へ戻る3人。


「あのウーウーって音はなんにゃ? 捕まったら終わりになる気がするにゃ」

「あの音聞くと悪いことしてなくても体がビクッってなるよ」

「そうだな追われてる感じがする嫌な音だ」


 犯罪者みたいなコメントを吐く3人。今回の戦闘においてはスピカの結界は間に合っていないので目撃され通報された訳だが、シシャモとペンネは変身のお陰で身バレしていないし燕も目撃されていなかったようで追っては来ない。

 なぜそれが分かるか、町のビルのスクーリーンに先程の公園での戦闘が速報で流れているからだ。


 公園で謎の爆発の速報、アナウンサーの話す内容から公園内で車が爆発したようだ、現在事故と事件の両方で捜査中とのこと。


「あのロボ爆発なんかしたっけにゃ?」

「逃げたあと爆発したのかな? あれ? 燕さんどうしたんですか?」


 考え込む燕の口から出た今さらな疑問。


「拙者たちはなんでここの言葉が分かるのだ? ここは別の世界な訳だろう」

「燕さんて……もがむうぅ~」

「ペンネ殿、その顔は拙者をバカにしてるな」


 燕にほっぺを引っ張られ涙目のペンネ。それをなだめるシシャモ、そんな3人の前に奴は現れる!


「お答えしましょう!」


 3人が振り返るとそこには手を振るスピカがいた。


「は~い! 元気してる? 燕ちゃんこっちの世界はどうかな? 慣れた?」


「性悪女神! お前もう少し説明するにゃ! 魔王とか言うけど何処にいるかも分かんにゃいし、そっりぃ、おぶっ!」


 興奮するシシャモにアイアンクローを決めて黙らせる。


「はいはい、わたしも忙しいんだって。なにせ管理してる世界8つよ。

 でさ今1つの星で生命が生まれたの。まだ単細胞なんだけどこれがどれくらいのペースで増えるとか絵日記書けって言われてんの。

 もーー誰もいないとこで細胞の分裂を見るわけ、分かる? この辛さ」


「あ、あのスピカ様、シシャモが死んじゃう……」


 熱く語るうちに力が入りアイアンクローが綺麗に決まりシシャモがグッタリしている。


「あらあらごめん」

「にゃあぁ! 顔砕けるかと思ったにゃ!」


 いつものイラッとさせる「てへ」って感じで舌を出して謝る。


「まあまあ、さっきの言葉がなんで通じるかについては神の力でちょいちょいとね。

 で魔王については本当に分からないのよ。でも間違いなくいるの。

 じゃないとあなた達こんなタイミングよく襲われないでしょ」


 前半の言葉の壁の説明は実も蓋もないが、後半から珍しく真面目な顔のスピカが話を続ける。


「でもねこっちの魔王もシシャモ達の方の魔王も一瞬だけ力を感じて直ぐに消えたの。それってさ違う世界の魔王が同じ行動取ったってことなんだよね。なんか気になるのよねぇ」


「はにゃー」

「へー」

「ほー」


 3人がスピカを感心した顔で見る。


「いやあんたらバカにしてるでしょ! 一応女神! 敬えっての!」


「お前が来たってことは移動かにゃ?」

「いやいや出発したばっかりでしょもう少し北へ行って、せめて隣の県まで言ってからラボに戻ってよ。そこからオーガの村からスタートね。それじゃあ頑張ってね」


 そう言って帰ろうとするが、思い出したように目を開く。


「そうそう、シシャモ。あなたスキルと固有技がおかしい事になってない?」


「そう言えば固有技が必殺技に変わったにゃ。スキル……そう言えば対機械とか意味分からないのを習得したにゃ

 それにレベルアップのタイミングじゃないところで必殺技が変化するにゃ」

「ふーん、やっぱり2世界を行き来するのが影響するのかな? 今までにないケースだから実験的な感じもあるしもう少し様子見るしかないわね」


「女神殿、この世界と拙者の世界はダメージの理論が違うのか?」


「あぁそうね、こっちは物理的な理、あなた達の方はステータスとスキルによる計算によるダメージ。その辺も混ざり始めてない? 両方の法則を無視したダメージ与えられるとかその辺の魔王よりも達悪いわね。

 あ、そろそろ行かないと単細胞が増えてたら絵を描くの大変だから行くね」


 手をパタパタ振って消えてしまう。


「うむーこっちの情報が少ないなぁ。窓際殿に詳しく聞いた方が良いのか、でも物理的な理ってなんだ……って、シシャモとペンネ殿! その顔!」


 燕に頬を引っ張られる2人。


 以外に考える人、燕さん。

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