その6 町で買い物にゃ!
鳥のさえずりが心地よい目覚ましになる。
「ふぁぁ~う~ん朝?」
ペンネが先に目を覚ます。
横にいるシシャモを起こそうと手を伸ばすが、その手が止まる。
仰向けに寝ているシシャモの左腕を自分の体の下へ回し、顔を胸の辺りに顔を埋めて目をつぶる。
胸に埋まったまま鼻で深呼吸をする。
「シシャモの匂い……好き」
ペンネが友情を確かめているといつもと違う違和感を感じたのかシシャモが目を覚ます。
「にゃああ、朝かにゃ、ん?」
自分の胸元に顔を埋め寝ているペンネが目に入る。気持ち良さそうにスースー寝息を立てている。
「ペンネ起きるにゃ。朝にゃ」
シシャモに揺さぶられ目を覚ますペンネ。
「おはよう、シシャモ。起こされちゃったね」
「ペンネは朝弱いにゃ? 意外にゃ」
寝ぼけ
(今後はこのシチュエーションで行こうかな。なんかキュンキュンする。友情爆発って感じだよ)
心の中では何かが爆発していた。
***
簡単な朝食を済ませて2人は町へ繰り出す。
昨日から町にはいたが、着いた時には薄暗かったので町の様子を目にするのはこれが初めてになる。
「にゃーーごちゃごちゃしてるけどなんにゃ? でも活気溢れてて嫌いじゃないにゃ」
口を開けて田舎者丸出しのシシャモはこの町の活気にあてられて高揚する気持ちを感じていた。
ペンネも姉に連れられて来たことがあるだけでシシャモと同じく気持ちは高ぶっていた。
「まずは地図を探そうよ。ついでにテントが見つかると良いな」
ペンネに手を引かれシシャモは町を探索する。
店舗が並ぶ通りから露店が並ぶ通りへと景色が変わっていく。
食べ物から洋服、武器や防具、はたまたいったい誰がこんなものを買うのだろうと言うものまで様々なものが並ぶ。
見ているだけでも楽しくなるような通りに2人が露天で立ち止まっては
楽しそうに商品について話したりしている。
やがて1つの露店の前で足を止める。
「なんだ? 客か? 何を探している」
この露店の店主と思われる猿の獣人が声をかけてくる。
結構見た目が怖いし声もドスが効いてて怖さに拍車をかけている。
ペンネはちょっと逃げ腰になるがシシャモは特に気にもしていない様子だ。
「地図はないかにゃ? 後テントも探してるにゃ」
「テントはねえけど地図ならあるぞ。ほらお前らから見たら右側だ」
2人の視線が右に向く。そこには地図と思われる紙の山が出来ていた。2人が紙の山を探る。そこには色々な種類の地図があった。
「これはなんにゃ? なんで真っ白なのにゃ?」
「あぁそれは『白いキャンバス』って言ってな、自分だけの地図が作れる優れものだ!」
「お前バカかにゃ? 白い地図が売れるなら黒い地図でも売って『何者にも記せない地図』とかもいけてしまうにゃ!」
店主は手をポンっと叩く。
「あんた良いアイディア出すじゃねえか。それもらうぜ」
「商売根性すごいにゃ、まあそんな地図買うバカはいないはずにゃ」
「アイディアのお礼だ。この地図が一番詳しいはずだ。230デーモン(※ス2)で良いぞ」
手渡された地図は魔界大陸の全体の形は分かるが、何となくの地形といくつかの建物、村が記されているだけだった。
「なんにゃ! 魔界って広いだけでこれくらいしか行くとこないのかにゃ?」
その地図の内容の少なさに魔王の数も少なそうだと安心する。
そんな小さな希望の火を灯したシシャモに店主が現実を叩きつけてくれる。
「それ『未完成の地図』ってい言ってな3割程度しか記してなくてな後は自分で好きに完成させれるんだぜ!」
「ふざけんにゃーーーー!!」
シシャモの鋭い蹴りが店主に突き刺さる。
────────────────────
『教えてスピカちゃん!!その2』
「はい、遂にコーナーとして認められましたスピカちゃんの出番です。
今日のテーマは※ス2の『デーモン』これはお金の単位ですね。
魔界でしか使えない通貨となっていますけど、実はこれ人間が使用するアークと言う単位のお金と交換が出来ます。
1アーク=5デーモンの価値ですね。まあその価値はさておき
人間と魔物の通貨が交換出来る……闇を感じますねぇ。
今日はこの辺で失礼しますね。」
「あーーだるーーねえカストル、炭酸ある?」
「スピカさまスイッチ! スイッチ!」
「あっヤバ!? また怒られる」
ブチッ………
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