その3 森と谷の間にゃ!
お金と回復アイテムをもらって御機嫌な2人は森を抜けるために歩く。
途中何体かの魔物とエンカウントするが既にシシャモ達の敵ではない。
パパパパーン!
[LV.5→LV.6]
[LV.10→LV.11]
2人の頭上にLVアップの表示が浮かぶ。
「やったーー! 久しぶりのLVアップだ!」
テンションの高いペンネがシシャモの両腕を持ってブンブン振りながら喜ぶ。
「にゃーーなんかLVが上がる度にお昼寝ライフが遠ざかっている気がするにゃ」
対してシシャモはテンションが低い。別に魔王なんてどうでもいい彼女にとってLVアップは対して嬉しくない。
強くなっている実感はありそれに喜びも感じてはいるが求める物では無いのである。
「そろそろ森を抜けそうだよ」
ペンネが指差す方には木々の隙間が広くなり、日の射す光が強くなっている。
森を抜けると、少し草が生えているだけで岩がゴツゴツした場所に出た。
「谷までもう少しかかるはずだよ。頑張ろう!」
ペンネが前に進もうとすると足元に矢が刺さる。
「おいおい! お前らここから先へ行きたいなら有り金とアイテム全部置いてきな!」
岩の上から声が響く。見上げると6人はいるだろうか緑色の体に粗末な防具をまとったゴブリンが武器を持ってニヤニヤしている。
前方からズシン、ズシン! と重い足音がして大きなゴブリンが現れる。
その大きなゴブリンの出現と同時に上のゴブリン達も降りてきて
道を塞ぐように並ぶ。
「俺はこの谷の主、ボスゴブリンだ! お前らさっき聞いただろう持ち物全部置いていけ!」
大きな声が谷に響く。
「主? 確かここには谷の魔王がいたはずではないですか?」
ペンネが疑問に対してボスゴブリンが少しフリーズする。
「……」
「俺は森と谷の間の主! ボスゴブリンだ!」
「あ、言い直したにゃ」
「微妙な主になっちゃったね」
2人が哀れみの視線を送る。
「あーーそんなことはどうでもいい!どうするんだ有り金全部置いていくか? それとも死ぬ……」
ボスゴブリンがシシャモとペンネを舐める様に見る。
そしてニヤリと笑い子分達に命令をくだす。
「おい、お前らこいつらの金やアイテムを奪った後、こいつらを売るぞ!
見た目は子供だがこれはこれで需要がある」
「流石ボス! 無駄の無い完璧な考えですぜ!」
「確かに2人とも可愛い!」
「オレ、あのネコの子好みだ!」
「もう1人も品があって可愛いぞ!」
子分達の称賛を浴びご満悦なボスゴブリン。
「と言う訳だお嬢さん方全てを差し出して貰うぜ!」
ゴブリン達が武器を構える!
「変身にゃ」
「魔弓」
無表情の2人が戦闘体勢に入る。
上空から雷の矢が的確な軌道で子分ゴブリン達を撃ち抜き、子分ゴブリン達の断末魔が響く。
仮面の戦士になったシシャモが壁を蹴り子分ゴブリンを踏み台にして空中でクルクルと回転を始める。
「必殺、大回転ネコキックにゃ!」
大回転になんの意味があったのかとかは突っ込んではいけないが、いつにも増して勢いをつけたキックがボスゴブリンにヒットする。
「な、なんなんだお前達はーーーー!」
ドカーーーーーーン!!
ボスゴブリンは爆発し消え去る。子分達も死に絶え消えていく。
「嫌悪感からくる怒りのあまり必殺技が進化したにゃ」
「ええ、あのような輩は殲滅あるのみです」
相変わらず無表情な2人が何もいなくなった場所をゴミを見るような目で見る。
「さて行くにゃ。この地獄谷の魔王に会って通してもらうにゃ」
「そうだね、話を聞いてくれると良いんだけど」
薄い望みにかけて2人は谷を進む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます