その8 昨日の敵は今日の友にゃ!
「変身にゃ!」
「行きます!」
変身したシシャモに対しペンネは羽を広げ空高く飛ぶ。
「いでよ魔弓」
ペンネは手元に弓を召喚する。その弓はシンプルながらも使用されている木の光沢とそこに彫られているバラの花が高級感を隠せずに
その弓を矢もつがえずに弦を引きはじめる。
「まずは、ファイヤーアロー」
弓を引くと矢の代わりに火が弓の本体と弦を結び、弦を離すと火が矢となり地上のシシャモに襲いかかる。
「うにゃーー!?」
シシャモは転がりながらなんとか避ける。
「素早いですね。じゃあこれで! サンダーアロー」
雷の矢が3本連続で飛んでくる。
シシャモが跳びはねながら避けるが、ファイヤーアローより幾分か速い為に矢が1本当たってしまう。
シシャモの頭上に『ー7』の文字が浮かぶ。
「まだまだ、アイスアロー」
転がったシシャモの手足を拘束するように氷の矢が当たる。
『ー2』が4つ連続で表示される。
「ファイヤーアロー」
4本の火の矢が動けないシシャモにヒットする。
『ー1』が4つ表示される。
「電撃属性が弱点ですね」
まだ煙がもうもうとしている場所にサンダーアローを弓にセットして狙いをつける。
片目を
その像がぐんぐん近づき両目に大きく映し出された時には、大ジャンプの猫パンチが眼下に迫っていた。
「うにゃあああ!!」
「うわっ!?」
ペンネの高度が高かった為ギリギリ当たらずシシャモは地上に落ちていく。
「わわわわゎゎ、ビックリしたあ。もう少し高く飛ぼう」
高度を上げるペンネの目に地上を物凄いスピードで走り木を蹴りながら上がってくるシシャモの姿が再び映る。
木々の中でも一際高い木の上に立ちグッと屈むと大きくジャンプする。
パパパパパパワーーMAX!! 音声と共にシシャモが飛んでくる。
「うにゃあああああ!! ネコパンチ×3にゃ!」
空中で回るように3連続ネコパンチを繰り出される。
「ひゃあああぁぁ!」
ペンネは必死に避け2発を避ける事に成功するが3発目がヒットしてしまう。
「あううぅぅぅぅ」
ペンネはくるくる回りながら地上に落ちていく。羽の浮力で激突の衝撃を和らげるが土ぼこりまみれになった姿がダメージを間逃れていないのを表している。
「いたたたあぁ、ダメージの数値がでなかったけどわたしのHPは──」
ペンネは自分のステータス画面を開く。
「の、残り5!?」
ザッ 足音が近づく。
「にゃふふふふ、覚悟するにゃ。あたしの経験値となって生きるがいいにゃ!」
正義の味方っぽい格好で殺気を放ち、割りと酷いこと言う。
「あわわわわわ」
カタカタ震え涙目になるペンネ。
シシャモの拳が迫る!
…………
何も起こらない……ペンネがおそるおそる目を開ける。
「気まぐれにゃよ」
シシャモが手を差しのべている。
「うぅぅぅ」
「なんで泣くにゃ、そもそもお前が戦いを挑んで来たにゃ」
「だって、だって1人で戦うの初めてだし、ミケ族なら空飛んで魔法を撃ち続けたら勝てると思ったし、本当はLV.10だし」
ペンネはぐすぐす泣き始める。
「にゃんでそんなんで戦いに来たにゃ?」
「お父様を倒すって言うミケ族をお姉様達の力を借りずに1人で倒したかったんだもん。立派になったって、ありがとうって言われたかったんだもん」
変身を解いたシシャモは困ったように頭を掻いている。
「にゃあ、じゃLVを嘘ついた意味はなんにゃ?」
「ミケ族なら怖じ気づくと思ったから……LV.18はお姉さま達のLVなの……」
「何から何まで理解不能にゃ、まあいいにゃ一旦あたしの家に戻るにゃ」
ペンネはシシャモの手を借りて立ち上がる。
「いたっ」
「足くじいたのかにゃ、肩を貸すから歩くにゃ」
シシャモの肩を借りて家に帰る。
***
「あらあら、ペンネちゃん怪我かにゃ? HPは大丈夫かにゃ?」
メバルが心配そうに駆け寄ってくる。
「は、はい大丈夫です」
「今日はもう遅いにゃ、ごはん食べて泊まるといいにゃ、親御さんには連絡した方が良いのかにゃ?」
「あっいえ、いえ、大丈夫です。それよりお世話になるわけには……いたいっ!」
遠慮するペンネの後ろ頭をシシャモがデコピンする。
「あたしが勝手に連れてきたにゃ、お前は敗北者にゃ! 従えにゃ」
頭を押さえるペンネは照れているシシャモをじっと見詰める。そんな2人の間にメバルが椅子を持ってやってくる。
「シシャモ、ごはん用意するからペンネちゃんを座らせて休ませてあげるにゃ」
「うにゃあ、分かったにゃあ」
「そんなめんどくさそうな顔しないにゃ! お友だちにゃんでしょ!」
「にゃーー違うにゃ!」
「恥ずかしがらないにゃ! ペンネちゃん傷つくにゃ!」
母と娘が言い合いする中ペンネはボソッとつぶやく。
「お、お友だち……」
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