第35話:トウヤの功罪★
※一部、標題の人物の悪行が描かれているところがあります。そういう描写が苦手な方は「◇◆◇◆◇」マークの部分は読み飛ばして頂ければと存じます。
「……はっ、またモンスターか」
兵士たちの警戒を掻い潜り、空から襲撃を掛けてきた魔物相手に、オレは剣を掲げると、
「……『
「――……ッ!!」
正しく
「ガ……ッ!!」
RACE:ストレンベルクドレイク
Rank:50
HP:0/299
MP:19/56
地面にへたり込んでいる魔物に剣を一閃すると、漸くその動きを止めた。
「申し訳御座いません、トウヤ殿。貴方の手を煩わせてしまって……」
「……まぁ、仕方がない。中にはコイツのようにすり抜けてくる奴もいるだろうしな……」
近くで指揮を執っていた、このストレンベルクの騎士団長であるという男の謝罪に、オレはそう答える。内心ではそっちで上手く対処しろよと言いたかったが……、実力の劣る兵士たちでは仕方ないかと諦めたところで、
「……清らかなる生命の水よ、大いなる祝福でもって彼の者を癒せ……『
ベアトリーチェが回復魔法を掛けてくれ、
この世界では、魔法を使う際は『MP』を消耗し、剣技等の
「……別にこれくらいで一々回復魔法を掛けなくてもいいぞ。そんなに消耗している訳ではないしな」
「……これからあの『竜王バハムート』を討伐しようというんですよ。慎重を期すに越したことはないでしょう」
そう言って聞く耳を持たない様子でオレから少し離れたところに戻ってゆく。明らかに機嫌が悪そうなベアトリーチェにかわり、オレの奴隷にして
……ベアトリーチェの機嫌が悪いのには訳がある。彼女が反対していたストレンベルク山中に巣食っているという『竜王バハムート』の討伐を強行した為だ。
昨日の成金のブタ貴族の権利等を引き継ぎ、色々確認していたところ、オレが所有する事になる領地に、今向かっている『竜王の巣穴』も含まれていた。その後に行われた騎士団長による簡単な模擬戦を経て、この『竜王の巣穴』の事を聞いてみると、
誰も手を出せなかったという事で、その巣穴には超古代文明アルファレルの時代からの莫大な財宝が蓄えられているのでは……という話を聞いて、オレはその討伐を決めたのだ。そして、それに反対したのはベアトリーチェである。
彼女はわざわざ此方から
その模擬戦とやらで騎士団長を名乗る男を捻じ伏せた事も大きかったのかもしれない。確かに騎士団長と名乗るだけあってそこそこ手強かったが……、オレの敵ではなく、あっさりと倒してしまった事でその主張を止める事も出来なくなった。
そもそもオレの管理する事になる領地に、自分が赴く事について反対するなど出来る筈がないのだ。1人でも向かうぞと言い張ったところ、流石に勇者殿を1人で行かせる訳にはいかないという事で、急遽遠征が決まったという事である。
ベアトリーチェとしてみても、自分の仕えるべき主人が行くと言ったら、彼女も付いて来ざるを得ない。「少しでも不利な状況になったら撤退する、これだけは約束して下さい!」と詰め寄られ、仕方なく受け入れたところ、不承不承といった感じで彼女も遠征部隊に付いてきている。……そもそも、撤退する事など有り得ないと思ってはいるが……。
そして、オレの傍に控えているエリス。昨日は非常に愉しませて貰ったが……、彼女の真価はその高い実力にある。
元々は他国の高名な一族の娘であったようだが、その国ごと滅ぼされ、戦犯奴隷としてある貴族に所有されたという経緯があり……、その家でごたごたが起こるまでは、ずっと大事にされていたという事らしい。
「……!ご主人様、下がって……、また魔物が来る……!」
「……また?いくら何でも抜かれすぎじゃないか……」
控えていたエリスの言葉に、オレはまた剣を構える……。やって来るとしたら空から来るかと思っていたが……、
「うおっ!?」
「ご主人様っ!!」
視界の隅に何かが映ったかと思うと、ソレは凄い勢いで突っ込んできた。死角から襲来してきたソレに対応しきれないと思った矢先、エリスが身を挺して庇ってくれた為、負傷する事はなかったものの、
「エリスッ!お前……」
「……かすり傷だから、お気になさらぬよう」
敵の攻撃が掠めたのか、背中に傷を負ったらしいエリスを見て、オレは怒りのままにソレに視線を向け、その正体を確かめると、
RACE:炙り
Rank:45
HP:160/176
MP:32/44
炙り
「気を付けてっ!炙り
火を吐く、ニワトリだと……!?ふざけるのは名前だけにして欲しいもんだぜ……。下手したらこちらが炙られるって訳か……。
ベアトリーチェの指摘に舌打ちしながらその魔物を見る。確かにすばしっこく、周りの兵士も中々あのニワトリを捉えられないようで、あっちこっち跳びまわっていて……、そして一瞬その身体を膨らませたかと思うと、勢いよく炎を吐き出してきた……!
「あちいっ!!」
「う、うわああっ!!」
「ご主人様、アタシの後ろに隠れて下さいっ!!」
近くに居た兵士たちを焼きながらこちらにまで飛び火してきそうな勢いのある炎を前に、エリスが出てそれを抑える。
「このっ、クソ鳥がぁ!!……『
「コケッ……!?」
模擬戦などでランクや
倒した炙り
「エリス、無理すんな。オレも一応炎系統の攻撃に対する耐性は持ってる。そんなになるまでオレを庇う必要はないぞ」
「それは出来ません。貴方はアタシのご主人様なのですから」
「……それが奴隷と主人の関係という事だといった筈です。そんなことより……、本当にバハムートを討伐しようというのですか?はっきり言って、私たちが……、というよりもヒューマンを始めとした生きとし生ける者たちが勝てる相手ではないですよ」
エリスの治療がてら、苦言を呈するベアトリーチェに、
「安心しろ、ベアトリーチェ。そもそも、あんなクソ鳥が何匹束になったところでオレの敵じゃない。もっと言うと、あんな魔物相手に右往左往させられている兵士たちだって、オレにとっては必要ないのさ」
「これは中々手厳しいですな。最も、トウヤ殿の実力は騎士団長である私よりも上……。そのように話される資格がある事も重々承知しておりますが、それでもあの『竜王バハムート』は想像を越えたところに存在する幻獣……。神獣といっても差し支えない存在でもあるのです。そんな存在に挑むにあたって、トウヤ殿を一人行かせたとあっては、ストレンベルクの名折れ。それは了承して頂きたい」
そう言って頭を下げてくる騎士団長。コイツはオレより弱いとはいえ、そこそこの力はある男だ。オレを立てている事もあり、有能でもある為、邪魔にならない限りは一応目はかけておいている。
「まぁ、いないよりはマシだろうけどな。だが、まだオレの力をわかっていないようだな。その気になれば、こんな山中丸ごと破壊する事も出来るんだぜ?」
「……いくら何でも言い過ぎでは?貴方は『竜王』を知らないからそんな事が言えるんですよ……」
「ベアトリーチェ、言葉に気を付けよ。しかしトウヤ殿、油断は禁物ですぞ。あの竜王は、仮にも
ベアトリーチェを窘めながらも注意を促してくる騎士団長だが、オレは内心で笑いながらも了承しておく。あの兵士たちもオレの
まず問題ないだろうと考えていたところに、声が掛かる。目的の場所、『竜王の巣穴』が見えてきた、と……。
「……生キトシ生ケル者ガ、ココへ何シニ参ッタ?」
……思った以上にでけえな。巣穴に押し入ってすぐに開けたところに出て、そこには竜王と呼ばれる巨大な
「何しに?武装してここまで来ているのを見たら普通わかるだろ?竜王って聞いたが……、そんな事もわからないのか?」
「ト、トウヤ殿……、相手は何百年、もしかしたら何千年以上も生きてきた竜です。もう少し言い方ってものが……」
言い方?何でこんな爬虫類に羽根が生えたような生物に気を遣わなきゃならないんだよ……。ゲームでもお馴染みの『バハムート』も、敵対してくるんなら潰すのみ。これから討伐しようとしているヤツにわざわざ丁寧に接する馬鹿がいるか。
騎士団長の苦言にそう思っていたオレの態度が気に障ったのか、憮然とした様子で片言のような言葉を投げかけてくる。
「高々数十年シカ生キラレナイ、貴様ラ下等生物ガ、ソンナ不遜ナ態度ヲ取ルトハナ……。我モ舐メラレタモノダ」
「フン……、こちとら伊達に神だかに会って来た訳じゃないんだよ。もし尻尾巻いてここから消えるってんなら見逃してやらん事もないぞ?オレの目的はお前が何処からか溜め込んだ宝なんだからな」
寛大にもオレがそのように提示してやったのに、目の前の竜にはその配慮がわからなかったようだ。
「幾星霜ノ年月ヲ重ネテ我ガ集メシ秘宝ノ数々ヲ、奪オウト言ウノカ……!コノ愚カ者共メ!重ネ重ネノ暴言、モウ許セヌッ!!死シテ後悔スルガイイ……!!」
激昂するように竜がそう答えると同時に灼熱にも似た炎を吐き出してくる……!事前に竜の吐く
「流石は竜王ってとこか。耐性が無かったらヤバかったかもしれないが……!」
炎の洗礼を浴びて周りの兵たちが堪らず後退する中、オレはその
「……『
「うおっ!?」
直ぐに鋭い爪による一閃が襲い、転がる様にソレを回避すると、続けざまにオレを押し潰そうと地団駄を踏んできた。直接の踏みつけは避けるものの、その衝撃までは躱す事が出来ず、オレは一時エリスたちの横に戻ってくる。
「ふいぃ……、まるで大地震だな」
「何を呑気に……!こんなに激しい『
「防御出来ぬ者は退けっ!!みすみす竜王の餌食となるなっ!!」
初めの『
「どうするの……?ああなったら、もう止まらないわよ。私たちが撤退するまで、ずっとね……。まさかあの衝撃も掻い潜っていくと言うの?」
「それはいくら何でも無茶ですよ、ご主人様。普通の
二人の言葉にどうしたものかと考える。バハムートは地団駄を起こしながら咆哮もあげ続けており、聞く者の心も折ろうとしているかのようだった。さながら大地震を思わせる振動に加え、音による衝撃波か……。こうなっては足止めやタンク役で連れてきた兵士たちじゃ役に立ちそうもないな。
「……騎士団長、兵士たちは巣穴の入口に退避させろ。一点集中で突破する。全員の魔力を使って攻撃する
「しかし、トウヤ殿!それでは貴方が……!」
「オレがあんな攻撃でどうにかできる訳ないだろ?それじゃ、頼んだぜ!」
引き留める声を振り切り、オレは再び
「ご主人様!!何て無茶をっ!!」
「もうっ!!何を考えているの!?怒れる
「……ごちゃごちゃ言ってる暇があったら、オレの剣技に協力しろよ。一応、皆の力を集約させる程、威力を発揮する必殺剣なんだからさ……」
口調を崩したベアトリーチェを見やりつつオレはそう答える。……言ってしまえば元〇玉か。這う這うの体で入口まで退却していった兵士たちの魔力も集まってきた。オレを追ってここまでやって来たエリスたちからも魔力を貰い、ドラゴンスレイヤーが激しく光る!
「くらえっ!!『
振り回してきた尻尾をそれぞれ躱すと、オレはそこから
「クッ……!このトカゲもどきが……!」
咄嗟に剣でその爪を受け止めるも、その勢いで壁まで吹き飛ばされてしまう。激突する前にエリスが上手く受け止めてくれて為、そこまでダメージを受けなかったが、必殺の一撃でも倒せなかったことに憤りを覚える。
「……ヒューマンニシテハ中々強力ナ一撃ダッタガ……、ソレデ我ヲ倒セルト思ッタカ……ッ!愚カナ……!」
「もうこれ以上は無理よ……!逃がして貰えるかわからないけれど、退くべきだわ……!」
オレに回復魔法を施しながら忠告してくるベアトリーチェに、
「だから心配するなって……。剣では倒せなかったが、オレには奥の手があるんだよ。あんなドラゴンの一匹や二匹、倒すなんて訳ないのさ」
オレはそう言ってバハムートに向き直ると、
「これを喰らったら流石に死ぬことになるが……、どうする?この場から尻尾巻いて逃げるっていうのなら使わないでやるが……?」
「……貴様、コノゴニ及ンデ……!貴様コソトットト消エルガイイ、目障リダッ!!」
その言葉と共に口から火炎弾を飛ばしてきた。すぐにエリスがオレの前に立ち、その火炎弾を相殺するのを見て、
「所詮は畜生、人間様の慈悲もわからなかったか……。なら、逃げ出さなかった事を後悔して、そのまま死ね……!『
「グオッ!?」
オレは掌をバハムートに向けて禁断の必殺魔法を放つ。先程の『
(……これ、結果的に見れば制限された状態で入手して良かったかもな……。本物の核だったら、この場では使えなかったぜ……)
目の前の光景を呆然としたように見守っているベアトリーチェたちを視界の隅に捉えながら、オレはそう思わざるを得なかった。かなり制限されたなんちゃって核、みたいな説明をしていたが、限定的な範囲をさほど変わらない威力で焼き払う事には違いない。対人戦闘においたら恐らく無敵の力を誇るだろう。
やがて、ボロボロに焼き尽くされたバハムートが身体のあちこちで煙をあげながら、虫の息といった感じで言葉を吐き出してきた。
「コンナ……、コンナ魔法ガ……ッ!数千年ヲ生キシ我ヲ焼ク程ノ魔法ガ、存在スルナド……ッ!!」
「まだ息があるのか……、まさか核でも焼ききれないなんてな。流石に竜王と呼ばれるだけの事はあると褒めてやりたいところだが……、お前はもう終わりだ。既に放射能が全身をまわっているだろうし、死ぬのも時間の問題だ」
いくら『
「我ガ、何ヲシタトイウノダ……。
「恨みを晴らすも何も……、お前はここで死ぬんだって。畜生はそんな事もわからないのか、なっ!!」
弱っている
「逃げる気か、テメェ!?あれだけ好き放題やっておいて……!」
まさに最後の力を振り絞ったのだろうバハムートに、オレは追いすがったものの、魔力の光が収縮して転移を許してしまう。まぁ放射能に蝕まれた身体だ、いくら
巣穴の入口から伺っていた兵士たちも何が起こったのかわからないようだったが、やがて状況を把握していったのだろう、少しずつ歓声が沸き上がってくる。
「す、すげぇ!!あのバハムートを……っ!誰もが手を出せなかった竜王をっ!!」
「俺たち、とんでもない場面に立ち会っているんじゃないか!?」
「勇者様、万歳っ!!」
……ああ、かつてないほどの偉業を達成した現場に立ち会っているんだよ。立ち会ってるだけ、だけどな……。兵士たちの言葉に心の中で答えながら、オレはバハムートの守っていた財宝のところに一足先に赴く。
「よし、今のうちに……『
人目が無い事を確認してオレは魔法を唱えると、目の前の財宝に情報のようなものが現れる。その中で一番価値のありそうなものを探していくと……、
(これだな……。何々、『白金貨』……?)
この間ガチャで入手した星銀貨みたいなものかと思って調べてみたところ、驚きの情報が現れる。なんと星銀貨の20倍ほどの価値があったのだ。それも3枚も……!
「……トウヤ殿?そちらにおられるのですか?」
恐らくは騎士団長だろう。その声を聞きオレは迷わず白金貨を全て『
そうなるとオレの気に入りそうな秘宝や価値のある品物なんかも手にする前に没収されるかもしれないので、その前に掠めてしまおうと思い『
「いや~、こんな財宝の数々を目にしたのは初めてでして……、正直面くらってましたよ」
「それはそうでしょうとも……。なにせ、バハムートは以前に栄えていた古代魔法文明期より生きてきたとされる
古代魔法文明ね……。そういえば1000年以上前から生きているだの言っていたっけか。正直な所、『
覚えておいて良かったぜと思いつつ、オレは騎士団長に改めて向き直り、
「じゃあ、ここの財宝の処理を任せていいか?ここにあるのは全て王国に献上する。……その後で多少融通してくれたら有難いが、それは王様方の判断に従いましょう」
「おお、なんと……。これだけの財宝を前に、全てを任せられると仰るのか。少しは自分の物と主張しても罰は当たりますまい」
……本当は主張するつもりだったんだけどな。この中で一番価値のある宝は既にオレが回収しているし、そう見せておいた方が自分の印象も良くなるだろう。そんな風にほくそ笑みながら、
「いえいえ、私もこの国の貴族にして頂いたばかりの新参者ですからね。そんな事は言いませんよ。……エリス、ベアトリーチェも!王国に戻るぞ」
「畏まりました、ご主人様」
「それではここをお任せします、ライオネル団長。私はトウヤ殿に付いて参りますので……」
そう言ってオレは2人を伴い、ストレンベルクへと戻るのだった……。
王国へと戻ったオレは、想像以上の待遇が舞い降りる事となる。なんと、今回の竜王討伐の功は殆どオレにあるからと言って、そこで手に入った財宝は好きなだけ持っていっていいと言うのだ。
実際、オレが居なかったらバハムート討伐など出来なかっただろうが、まさかここまでの待遇を受けるとは思わなかった。数々のラノベで見たような腹黒い王族であれば、このような事はまず起こり得ない事だろう。
そう言われた以上わざわざ固辞する必要もない。オレは財宝を見て回り、使えそうな秘宝と呼ばれる
王女へも確保していた装飾品のひとつで、『
まぁ王女直々の頼みとあっては、嫌とは言えない。指輪も受け取ったようだし、その意味について知らなければ後日改めて教えてやればいいだろう。依頼内容も今日討伐したストレンベルク山中の残党が、主であったバハムートが居なくなって纏まりを失っているとの事で、その脅威を取り除いて貰いたいという話だった。
最も、それくらいならば構わない。明日になればまた1発は『
「初めまして、勇者トウヤ様。教会より派遣されて参りましたジャンヌ・ヴィーナ・ダルクと申します。当代の聖女に任命されております。遠征に同行させて頂くのは初めてで緊張しておりますが……、何卒宜しくお願い致します」
司祭服を身に纏った桃色の髪の美少女がそう言ってペコリと頭を下げてくる。
うぉっ、聖女ときたか……!こんな早朝から面倒くさいと思ってやって来たのだが、彼女を見て一気に眠気が吹き飛んだ。こちらこそ、と返したものの……、ついまじまじと見てしまう。
NAME:ジャンヌ・ヴィーナ・ダルク
AGE :18
HAIR:桃色
EYE :スカーレット
RACE:ヒューマン
Rank:42
身長 :159.7
体重 :45.6
スリーサイズ:83/52/85
性の経験:
HP:155
MP:343
力 :40
敏捷性 :59
身の守り:46
賢さ :167
魔力 :211
運のよさ:23
魅力 :178
(流石に処女か……!最も、『聖女』と呼ばれる者が処女じゃなかったら、オレはちゃぶ台ひっくり返すけどな……!)
……身体を重ねて聖女で無くなりました、というのは流石に洒落にならないか。
「では勇者殿、ベアトリーチェ殿も……。聖女様を宜しくお願い致します」
「はい、聖女様に危機が及ばない様には配慮して御座います。お任せ下さいませ」
「ああ、オレが付いていて危険な事はない。安心して貰いたい」
それでは、と彼女に付いてきた数人の司祭のおっさんたちが戻るのを見届けたジャンヌが、
「……お手を煩わせて申し訳御座いません。私も正式な聖女就任の神託を受けて日が浅いもので……、まだ専任の騎士も見出されていない為に、勇者様方にご迷惑を掛けてしまって……」
「なんの、全然かまわないさ。あとそんなに畏まらなくていいから……、せめて「さん」付けで呼んでくれ。何だったら、オレがその専任の騎士とやらになってもいいですよ?」
「……聖女直属の騎士は教会の大元であるファレルム総本山にて決定されるのですよ。恐らくはもう選任された頃だと思いますよ、聖女様」
オレを阻むようにそう答えるベアトリーチェ。ようはその教会とやらに決められたヤツが来るって事か。なんか面白くないな……。相変わらずベアトリーチェの奴も堅苦しいし……。既に素の彼女も見せ始めてはいるものの、何処か距離を置いているのは変わらない。
そんなオレの心境を知ってか知らずか、促してくるように発言してきた。
「もう新兵たちも到着しております。先乗りした者たちも、昨日貴方が言っていた通りにこのストレンベルク山中に魔物の残党を追い込んでおりますから……」
「ん……、わかった。じゃあ行こうか」
とりあえずはベアトリーチェの言うままに、指示しておいた出入口がひとつしかない盆地へとエリス、ジャンヌを伴いつつ向かう事とする……。
(まあまあ思い通りにいったか……。この武器も、試作品としては及第点といったところだな)
自分の考えていた通りに兵士たちを死地に近い状況へと追い込んで、さらにその状況に近い演出をするのと聖女の力を確認する為に、ここに向かう前に聞いた『
わざわざオレ自らが赴いて、銃を分解させてその仕組みを理解させ、チェーンソーを合体させたのだ。……起動の仕組みにこの世界特有の『
結構消耗も大きかったのか、肩で息をしているジャンヌを見やりつつも、とりあえずの成果にオレはひとり満足していた。
(……そろそろ仕上げといくか)
そして最後にはオレの力を見せつけ、絶対の存在という印象を持たせる。まぁここの新兵とやらは、将来オレの立派な駒にして捨て石となるかもしれないので、勇者のデモンストレーションは必要だろう。
ガチャで入手したレアな魔法、『
途中ふらりとするジャンヌを抱え、役得と思いながらその華奢な身体を抱き寄せて、『
「……全く、頭の固い奴らだな。オレの言った通りに動けばいいものを……」
あれは出来ない、これは出来ないと声を荒げるストレンベルクの職人ギルド、『大地の恵み』から戻る最中に、思わず俺はそう漏らす。
試作のガンブレードを造らせてから数日が経ち、いい加減量産に入って貰いたいオレの思いを裏切る様に、何かにつけては否定するジジイにウンザリし、コイツ消し飛ばしてやろうかと何度思ったかわからない。
この国では一番優秀な
……
ただ、その件以外では順調に事は進んでいると思う。既に兵士たちはオレを勇者と崇めているし、騎士団長をはじめとした士官たちもオレを認めている。一度はやってみたかった、「オレ、なんかやっちゃいました?」みたいな事をしても、只々感服するばかりで凄く気分がいいし、王族もオレの功績は十分理解している事だろう。
この間披露した背水の陣をオレ流にアレンジした戦術等を、自分のわかる限りこの国へ伝えたが、それが認められて権利なりになれば儲けものだ。ますますオレの評価が高まる結果にもなる。
魂の修練値に関しても全く困らなくなった。これだけ修練値が貯まっていれば、死んでも消滅やら地獄行といった事はないだろう。あの駄女神め、オレがここまでになるとは想像もしてなかったんだろうな。お陰でずっと不満だった食生活について、向こうの世界から高級料理を取り寄せたり、
(流石に神になる『神格化』や不老不死になるという『
前世と比べたら考えられないような生活に、つくづくこの世界に来て良かったと思う。レイファニー王女なんて、前世を含めても今までにお目にかかった事がないくらいの美女で、あの駄女神ソピアーの、この世界が神格が高い云々の話も彼女の存在だけで納得できるくらいには説得力がある。
その彼女も今はストレンベルク、ひいてはこの世界に身を捧げているという事で、一緒になる云々は考える事が出来ないと言っていたが、逆に言えば世界の危機とやらを救ったら考えられるという事と同義であるのだ。今のオレに倒せない敵なんていないだろうし、惚れさせる自信もある。
とりあえずエリス以下、あのブタ貴族から引き継いだ奴隷もいて、女にも不自由しなくなったので、何時でもレイファニーを迎えられる……、そう思った矢先に見知った声が何処からか聴こえてきた……。
「……ちょうど良かったと考えていれば……」
「……でも、私に気を遣って……」
あれは……ベアトリーチェか。そういえば今日はオフだとか言っていたっけか。何やら婚約が破談になっただのなんだの言っているが……。
……一応言っておくと、もう王たちもオレの実力は嫌というほど理解したからだろう、何をするにも護衛がてらに付いてきたベアトリーチェも1日中張り付くという事は無くなった。まぁ、基本的にはエリスも付いてくるし、今の様に完全に1人になるという事は珍しいが……。そんな事よりもオレはベアトリーチェと一緒にいる女の方に目がいった。
NAME:オリビア・シュテンベリル
AGE :21
HAIR:海緑色
EYE :パステルグリーン
RACE:ヒューマン
Rank:13
身長 :154.3
体重 :45.0
スリーサイズ:90/53/86
性の経験:
HP:42
MP:73
力 :25
敏捷性 :36
身の守り:27
賢さ :148
魔力 :111
運のよさ:14
魅力 :169
薄く綺麗な緑色の髪をアップにしてブローチで纏めている美女。髪色に似たパステルグリーンの涼しげな瞳の目元には泣きボクロがあり、それが彼女のチャームポイントにもなっているようだ。表示された職業の通り、侍女の服装をしているものの何処か気品が感じられ、それに何よりも……、
(ステイタス画面を確認するまでもなくわかる、あのおっぱい!服装の上からも分かる巨乳はもとより……、多分着痩せするタイプのようだな。いやー、男にとっては堪らない体型してるなこのコ……!)
おまけに処女だしな……、と唸る。女に不自由はしていないとはいえ、ここまでの上玉は中々お目にかかれない。あのブタの趣味だったのか、エリスを筆頭におっぱいは控えめというか……、まぁ全然ないという訳ではないのだが……。何はともあれこんな巨乳と、しかも処女とヤる機会は今までなかったからな……。
……うん、気に入った。この娘はオレのハーレムに加えよう!よし、そうと決まれば……、
「こんな所で何を話しているんだい、お二人さん?」
「えっ……」
「トウヤ……?貴方、職人ギルドに行っていたんじゃ……」
突然現れたオレに驚いた様子の2人。そんな彼女らに、
「いつもの通りさ、頑固なじいさんに何とかオレの要望を理解して貰おうとして、物別れに終わったところ。それよりリーチェ、隣の彼女は紹介して貰えないのかい?」
「……ああ、彼女はプライベートでの友人よ。別に貴方とは……」
「はじめまして、トウヤ様。貴方の事は聞き及んでおります。私はこのストレンベルクで侍女の仕事をさせて頂いておりますオリビアと申します」
ペコリとそのように自己紹介して頭を下げる彼女にベアトリーチェは、
「……そういう訳だから、今は貴方の傍にはいられないのよ、わかるでしょう?」
「いいの……ですか、ベアトリーチェ様?勇者様にそのような……」
「ほら、誰かが居たらそうやって他人行儀にならざるをえないでしょ?折角私的な時間なんだから、邪魔しないでくれるかしら?」
取り付く島もないベアトリーチェ。そんなにオレを彼女と合わせたくないのだろうか……。
「いや、邪魔するも何も、ちょっと話を……」
「それはまた明日聞いてあげるから……。行きましょ、オリビア」
「あ、ちょっとリーチェ……!すみませんトウヤ様、失礼致します!」
そう言ってベアトリーチェは彼女を連れていってしまう。……相変わらずつれないヤツだ。未だにオレに靡く様子もないし、折角のおっぱいちゃんも連れ出してしまったし……。
「……ま、オレが目を付けた獲物だし、このまま逃がすつもりはないけどな」
ひとりごちるとオレは『
「そう、この
上手くいけば彼女を……、いや、絶対に上手くいく筈だ……!オレは成功した時の事を想像して暗い笑みを浮かべつつ、それを実行に移す準備を始める……。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「っ!……こ、ここは……っ!?」
部屋にある大きなベッドを見て、すぐさま入ってきた入り口に踵を返す彼女。どうやら自分が罠にかかったと知ったのだろう。既に開いていた扉は閉ざされており、それを叩く彼女の様子をマジックミラー越しに眺めながらオレはほくそ笑んでいた。
『プライベートルーム』
消費修練値:3000000(習得済み)
分類 :
概要 :異空間に自分だけのプライベートスペースを作り出す空間拡張系の
破格の修練値を払って入手した
「あ、貴方は……っ!」
「やあ、よく来てくれたね。確かオリビアさんといったかな?」
軽くそのように答えて、オレを見ておののく彼女へと向かう。「来ないで……っ」と拒絶するものの、扉を背にしてそれ以上後ずさる事も出来ないでいるオリビアを笑いながら、逃がさないように一歩ずつその距離を縮めていく。どうやっても扉が開かないと諦めたのか、一か八か自分の横をすり抜けようとする彼女を、待ち構えていたオレは難なく捕まえた。
「いやっ!離して下さいっ!!」
「そんなに嫌がる事ないだろ?そもそもオレは勇者だよ?オレと話せるだけでも十分名誉な事なんだぜ?」
精一杯の抵抗とばかりにパタパタと胸を叩く彼女の両手首を掴み、そのまま壁へと押し付けた。その衝動で一瞬、オリビアの大きなおっぱいが揺れて思わずごくりと生唾を呑み込む。
「嫌ぁぁ、誰かっ!!助けてぇ!!リーチェ!!お父様ぁ!!」
「騒いでも無駄だって、ここでの事は外には一切聞こえないから。さあ、こっちに来て親睦を深めようぜ……!」
そう言ってオリビアの両手を片手で封じ直しながら肩を抱き寄せて、購入しておいたキングサイズのベッドのところへと連れて行く。
「お願いです、許して下さいっ!私には……っ」
「君、確か婚約者との関係が破談になったばかりって話してなかったか?リーチェとそんな話していたし、それだったら別に問題ないじゃないか。そもそも……ただの侍女でしかない君が貴族の、それも世界を救う勇者でもあるオレに逆らえる訳ないだろ?」
彼女の耳元でそう告げて、やや強引にオリビアを押し倒す。そしてオレは用意していた麻縄で逃れようとする彼女の両手を縛り、ベッドの上部に繋げてその抵抗を封じると、すぐに衣服を脱がしにかかった……。その下には自分が待ち望んでいた、どこか品のある下着に身を包んだおっぱいがオレの前に曝け出される。思った通り着痩せしていたようで、寝かされているのにも関わらず、その見事な両果実がしっかりと自己主張しているようだった。
望んでいた以上に巨乳の、それも処女の獲物を前にして、初めての時のような心境になると同時に、従順な女ばかりを相手にしていた為か、嫌がるオリビアに新鮮さみたいなものを感じ、余計に興奮していくのが自分でもわかる……!
「や、やめっ!触らな……やぁっ!!」
「おお!!なんて触り心地だ……!!」
下着越しだというのに、この柔らかくて張りのある絶妙な感触は何なのか!
このおっぱいが彼女に狙いをつけた目的の一つといっても過言では無い為、嫌がるのを気にも留めずに夢中になって揉みしだく。最も両手を拘束している為、身体を捩るくらいの抵抗しか出来ていないが……。
(でも妙に品があるんだよな、このコ……。もしかして単なる侍女じゃないのか……?)
まぁ、そうだとしてもオレがヤる事には変わりはない。色っぽく艶のある彼女の格好を見て、もうオレの方は収まりそうにないし、もし仮に貴族とかだったりしても、掘り出しモノだったというだけの話だ。
勇者であるオレのする事は全てに優先される筈だしな。
「お願い、もうやめて……っ!誰かぁ……、グランさまぁ……っ!!」
「……グラン?元婚約者の名前か……?」
いや、違うな……。オリビアから出てきた聞き覚えのある名前に胸を揉んでいた手を止める。確かこの国の竜騎士で、英雄だとか呼ばれているだのなんだの……。
最も、遥かに格上であるあのバハムートを討伐したオレが、竜騎士だかに後れをとるとは思えないが……。
「ああ、成程。君は婚約者がいながらその彼を想っていたという事か。だけど、確か彼は結構位の高い貴族だっていうじゃないか。どの道、ただの城仕えの侍女とは結ばれる相手じゃない」
「そんなこと……!そんなこと、貴方に言われなくたって……はうっ!」
そこでオレは止めていた手を動かし胸を揉みしだく。それに反応する彼女を見ながらそのマシュマロのようなおっぱいを堪能し至福の時間を味わっていると、
「うぅ……、グラン様!グラン様ぁ!!」
「だから、呼んでも来ないって。いい加減諦めなよ」
そう言うオレの言葉が聞こえないのか、男の名前を呼び続けるオリビアに業を煮やし、
「グラン様!グランさ……むぅっ!!」
「……流石に他の男の名前ばっかり言われるのは萎えるな」
彼女の口を手で押えながらどうしたものかと思っているとある事を思いつく。キッとオレを睨みながら、「んー、むーっ」と抵抗しているオリビアの髪留めを外し、さらさらと流れるような髪を手に取りながら頬へと下ろし自分の方に向けさせると、
「ほら、こっちを見なって……、これで君はオレのものだっ……!」
「むぅ……っ!!」
魅惑の魔眼を発動させて彼女を見つめる。眼を見開きつつも、何処かぼおっとした様子のオリビアを見て、口を塞いでいた手を離し再びおっぱいをまさぐり出す。
「うぅ……っ!ハァ、ハァ……、い、いやっ……!」
「あれ、まだ抵抗する?……やっぱりこの
「はあんっ!!はぁっ……!!」
「……カラダの方はまるっきり効いていない訳じゃないし、これはこれで愉しめるか」
胸を揉むのを再開すると、先程よりもいい反応を示してくれるようになったオリビアを見てニヤリと笑う。
「カラダはオレの事を求めだしているし、彼の事はきっちり忘れさせてあげるからね?」
「もう……、やめてぇ……、お願い……っ!」
まだ諦めていないのか、そう懇願する彼女にオレは溜息をつく。
「強情だな、君もいい加減諦めて愉しんだらどうなんだ?……まぁいい、これからそのカラダにたっぷりと男というものを教えて込んでやるよ……!」
「いや……やめて……っ!いやあああ――!!」
カラダは受け入れつつも心では拒絶しようとするオリビアの悲鳴を塞ぐべく、自身の乾ききった唇を彼女の瑞々しそうなそれへと近づけていった……。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「……オリビア……」
教会の介護部屋のベッドで眠る親友の姿に私は痛ましく思うと同時に、激しい怒りと後悔を覚えていた。
……急にオリビアの行方が掴めなくなり、『
衣服は破かれてただ体に掛かっているだけ、口には猿轡を噛まされ、両手は縛られていた痕と一緒に……、ドクドクと傷口から血を流し続けていたのだ……。近くに彼女が使ったと思われるナイフがあった事から、自殺を図ったのだろうと見られ……、幸い発見が早かった為一命は取り留めたものの……、私は後悔の念に苛まれていた。
(私は……、どうしてオリビアから、あの男から目を離してしまったの……!そして何より……、どうして彼女が目を付けられてしまう失態を……っ!)
オリビアを見る目がどこか怪しいとも思ったが、まさかこんな事をしでかすなんて……!
犯人は誰か、それは直ぐにわかった。オリビアは中途半端ではあるものの、魅了の状態異常に罹っていたのだ。今のこのストレンベルクで禁忌とされる魅了の
……オリビアは徹底的に犯されていた。あの男に捕まった後、何度も凌辱され続けたのであろう。軽く舌を噛んだ後もあり、それで猿轡を噛まさせられたのか……、彼女の体には激しい陵辱の跡が伺えた……。
「……そんなに自分を責めないで、リーチェ……」
「…………ヴィーナ」
掛けられた声に振り返ると聖女であるジャンヌ・ヴィーナ・ダルクが立っていた。ヴィーナとは彼女が『聖女』に任命される前からの付き合いがあり……、人目が無い時は以前の様に『ヴィーナ』と呼んでいる。
今回、ヴィーナには随分助けられた。オリビアを発見してすぐに応急処置と『
……オリビアの傷や怪我の治療をはじめ……、体力の回復、体内の浄化に、魅了の解除の他、処女膜の再生に加え、恐らくトラウマになっているであろう恐怖を和らげる処置まで施して貰ったヴィーナには感謝してもしきれない。通常ここまでして貰ったらかなりの高額のお布施が必要となるが……、彼女は構わないと言う。それでも私の方で立て替えて納めて貰ったのは、オリビアへの罪滅ぼしという意味もあった……。
「オリビア様がこのような事になったのは非常に痛ましい事ですが……、貴女が彼女を発見できなければ最悪お命も失われていたと思いますよ」
「それでも、私がもう少し気を配っていれば……、こんな事自体起こらなかったのよ……」
オリビアは公爵であるシュテンベリル家の令嬢であり、本来はお城の侍女をしているような人ではない。とある事件が起きてシュテンベリル家が没落し、紆余曲折を経てオリビアも王宮に侍女として仕える事になったのだ。ただ、オリビアは勿論、彼女の父親である当主も立派な人物であり、悪く言う人物は少ない。家族よりも他を優先し、令嬢を王宮に奉公に出してでも、仕えていた者たちを補償しそれぞれの働き口を決め、貴族としての責務をきっちり果たしたのだ。
その事もあり今でもストレンベルクは固辞していた彼に引き続き公爵としての位を与え続けていた。オリビアもその事について受け入れており、恨み言を漏らす事なく王宮に仕え続けている姿に周りの者も感銘を受け、没落した今でも彼女を嫁に迎えたいという貴族も少なくはない。
(だからこそ……、ユイリがオリビアの婚約者を断罪してくれた事は、彼女の為になると思ったのに……)
没落したシュテンベリル家を金銭面で全面的にサポートすると近づいてきたある成り上がりの伯爵家を内偵していたところに、今や勇者と目されているコウ殿とその彼に付き従うシェリル様への無礼を働こうとして追放され、そのまま勘当された事から芋ずる式にその伯爵家の不正も掴んだ。これで角を立てずに婚約破棄に持っていく事が出来て、彼女の為にも良かったと喜んでいた矢先に……!
自分の拳が血に滲むのも構わずに握り締めていたところに、走ってくる足音とともに駆け込んだ人物がやって来る。オリビアが密かに想いを寄せていて彼が……。
「……リーチェ」
「…………ごめんなさい」
オリビアの事を伝え、この場に駆け付けてきてくれた人物、大公家の御曹司であるグラン・アレクシアに対し私は頭を下げる。
「君が謝る必要はない、リーチェ。悪いのは彼女に手を出した奴と……、こんな事態になるまで何も出来なかった僕なんだから」
「……貴方はしっかりと国の貴族たちを纏める大公家の矜持を果たしていたわ。でも、折角来て貰ったのだけど……」
そう言って私は未だ眠り続けるオリビアを伺う。そんな私にグランは、
「……このまま手をこまねいている訳にもいかない。彼女が自殺を図る程追い詰められているというのであれば……、尚の事だ」
「そうですね……、恐怖を和らげたといっても、無かった事になった訳ではありません。目が覚められたオリビア様がどんな行動をお取りになるか……、正直わかりません」
「…………そう、ね」
それは……、わかっている。でも……それでも何て声を掛けたらいいのか……。
私よりも彼の方が既に心が決まっているようで、ノックしたのち迷いなく介護部屋のドアを開ける……。
「う……、私、は……」
「オリビア!?気が付いたのねっ!!」
ノックの音で目を覚ましたのか、オリビアが身体を起こそうとしたのを見て、咄嗟に私は彼女へと駆け寄る。
「…………リーチェ、なの?」
「ええ、そうよ!体は……大丈夫?」
「体……?何を……っ!!」
彼女はそう言うとすぐに自分の体を抱きしめる。……恐怖の記憶が、蘇ったのであろうか。
「わ、私、は……っ!!あの人に……!!」
「もう大丈夫よ、オリビアッ!!ここには貴女を追い詰めるものは何もないわっ!!」
全身を震わせる彼女を抱きしめながら、必死に声を掛ける。ポロポロと涙を流し続けるオリビアを抱き続ける事しか出来ない無力さに苛まれていたところに、経緯を見守っていた彼が話しかけてくる……。
「オリビア嬢……」
「!?グ、グラン、さま……!?」
グランの声を聞いた瞬間、ビクッと反応するオリビア。その反応は恐らく……、『男』の声という恐怖と、慕い続けていた『彼』の声という安心感の両方の意味があったと思われる。
「こ、来ないで下さい……っ!!貴方に、今の私を見られたくないんですっ!!」
「……今までの僕だったら、君の言葉に従っていただろうけれど……、これ以上後悔したくないんだ。他ならぬオリビアの事なんだから」
彼はそう言うと意を決してオリビアに近付く。
「や、やめて下さい……!お願い、来ないで……っ!!」
「僕の事は……嫌いかい?もしそうであるならば……、帰るよ。君を怖がらせたくないからね……」
「グラン様を嫌いになんて……、そんな事はないんですっ!でも、怖くて……っ!だからお願いです、もしグラン様が私に同情して下さっているというのなら……、どうかお戻り下さい!!」
「だったら戻る訳にはいかない。僕は同情なんかでここに居る訳じゃないからね。愛する君の事なんだ」
力強くそう話すグラン。それを聞いたオリビアは目を見開き息を吞んだのがわかった。
「……今までは父上の、大公家の矜持から僕の感情よりも優先して考えなければならなかった。でも、君のご実家が今の様になる前から、オリビアの事は気に掛けてきたんだ。そして今この時も……。だから、苦しんでいる君を前にして、もう気に掛けるだけみたいな事はしたくないし、するつもりもない……!」
「……それでも、私はグラン様にそう思って頂く資格すら失われてしまいました。私はもう、汚されてしまったんです……。何度も何度もあの方に抱かれて……、これからも付き合うように言われてしまいました……。勇者であるあの人に、逆らう事も出来ません……。ですから私は命を絶とうとしたんです……」
少しずつ彼女の震えが治まっていくように感じた。グランの心からの想いを知り、オリビアの感情が揺れ動いているのだと知った私は、ゆっくりと彼女から身を離し……、傍にまでやってきたグランに委ねる……。
「君は汚れてなんかいないよ……。僕が惹かれた、温かく優しい君の心は、何も変わっていない。貴族を纏める立場ゆえに、特定の貴族を助ける事も出来ず、何度歯がゆく思った事か……。君が向けてくる美しく優しい笑顔に、何度心の支えになったかわからない……」
そうしてグランは壊れ物でも触れるようにオリビアを扱い、彼女が拒絶しない事を確認してそっと抱きしめる。
「……君さえ良かったら、僕の妻になって欲しい。アレクシア家の事は説得するし、君のご両親にも許して貰うようかけあうつもりだ。君は何も心配する事はない……。シュテンベリル家の事も僕に任せて。貴族の見本ともいうべき誇り高き君の父君を決して悪いようにはしないから……」
「グラン……さま……」
震えていたオリビアの手もゆっくりと彼の想いに応えるようにグランに回される。そこでグランが身に付けていた指輪を取り出し、彼女の薬指へと贈る。それは、アレクシア家に伝わる
「君の事は、僕が絶対に守るから。……万が一ヤツの呼び出しを受けたとしても、取り合う必要はないよ。全部僕に任せて……。それに、アイツは勇者なんかじゃない。君のような女性が嫌がるのを無理やり襲う様な男が、代々ストレンベルクに受け継がれてきている勇者の筈がないんだ。本当の勇者と思われる人物は、コウはこんな非道な事は絶対にしないからね……」
「グラン、様っ!……グラン様ぁ!!」
オリビアがグランの名前を呼びながらその胸に縋りつくようにして心を開いていく姿を見て、私とヴィーナは人知れず部屋を出ていく。
……傷ついたオリビアを救えるのは、ずっと彼女が慕っていたグランだけだとは思っていたが……、あそこまで心を砕き、彼女に寄り添って、あまつさえ求婚を申し出るとは……。グランの立場上、結婚は彼一人で決められるものではなく、さらにオリビアは没落した公爵家だ。決してスムーズにいかないだろうが、あのように話した以上、彼はやり遂げるだろうし、そこにグランの覚悟も感じる。その覚悟が彼女にも伝わり、オリビアも心を開いたのだ。逆に言えば……、目覚めた時の彼女の様子から察すると、そこまでしなければオリビアを救う事は出来なかったに違いない……。
「……あの様子なら大丈夫そうですね。ですが、暫くオリビア様にはケアが必要だと思います。『
「……ええ、そうね……」
先程彼女が言っていた事を思い出し、私も自分の出来る事を確認し、決意する。グランがオリビアを癒してくれたのなら、次は私の番だ。
「私も定期的にオリビア様のケアに努めます。貴女もあまり思いつめないで……」
「有難う、ヴィーナ……。でも、私もやらなければならない事があるわ……。彼を見ていて、改めてその決意も固まったしね……。ここはお願いするわね、ヴィーナ」
「……何処に行くの?」
教会を出ていこうとする私の背中にそう声を掛けてくるヴィーナに私は答える。
「……私が、行かなければならないところよ」
「……もう彼女に手を出すなって?」
「ええ」
教会から迷いなくここへとやって来て、部屋に入るなり私はそのように伝える。
「いきなりやってきて何を言うかと思えば……。そもそも彼女って誰だよ?」
「とぼけないで、貴方が私の親友に……、オリビアを襲った事はわかっているのよ」
とぼけるトウヤにそう詰め寄ると、頭をかきつつ、
「……なんの事かわかんないな。だいたい、襲うってなんだよ?」
「オリビアには想いを寄せる相手がいるのよ。それを強引に自分のものにするという行為は……、襲うという以外何て言えばいいのかしら?おまけに勇者である事をタテにしたそうじゃない」
私がそこまで伝えると、トウヤはやれやれといった様子で、
「……一応言っておくけどよ、彼女とは同意の上でヤっているからな?その証拠だってあるし」
「……同意の上、ですって?魅了の
「自殺?……死んだのか?」
「幸い発見が早かったから一命は取り留めたわ……。これでもまだ、襲ってないって言い切るの……?」
そのように問い掛けるとトウヤは……、
「そうか、それは良かった。まだまだ彼女は抱きたかったからな、あんないい女に死なれちゃこっちも困るぜ」
「なん、ですって……?」
トウヤの言葉を聞いて、ある感情が沸き上がる私の様子を気にも留めない風に、目の前の男は身勝手な言葉を続ける。
「いやー、彼女は美味だったぜ?正直、侍女にしとくのは勿体ないから、オレの方で引き取ろうと思ってんだよ。その方が彼女だって幸せだろうし、オレも愉しめる。まさにwin-winだろ?ま、途中で舌を噛もうとしたのには驚いたが……、猿轡を噛ませながら後ろから突かれる様もまた……!」
「…………もう、いいわ」
これ以上聞いていると、早まった行動をとりかねない。私は感情を押し殺し、
「もうオリビアを解放して。彼女は今度結婚するのよ」
「だからそれは出来ないな。さっきも言ったが、彼女には今後もオレに付き合うと誓わせたし、動画も撮ってある。この世界ではスフィアっつったか?オレとの情事もこの『
……この下衆が。結婚なんて破棄させろ等と好き放題な事をのたまうトウヤに対して、
「……お願い、彼女は今まで苦労してきて、やっと幸せを掴もうとしているのよ。だからお願いします、親友を解放してあげて下さい。そのスフィアも消して……。その代わり、私に出来る事は何でもしますから……」
「……何でも?今、何でもするって言った?」
そこでトウヤは私の言葉に食いついてくる。
「ええ……、私に出来る事であれば」
「なら、抱かせろって言ったら抱かれるのか?前は断ってたけどよ?」
予想通りのトウヤの言葉に内心蔑みながら、
「構いませんよ、それでオリビアから手を引いて下さるのであれば」
「……漸くその気になったか。まぁ、そういう事なら考えてやってもいいぜ?」
トウヤはニタニタ笑いながら私の肩に手を回してくる。嫌悪感を押し殺しながら、私は彼に問いただす。
「ちゃんと約束は守ってくれるんでしょうね?オリビアから手を引き、スフィア等も全て破棄するって」
「ああ、わかったわかった……。だから、しっかり愉しませてくれよ?彼女の分までな」
私が魔法を使っている事に気付かず、軽い感じでベッドへと誘うトウヤ。
「へへっ、あのオリビアの肉体を味わえなくなるんだから、たっぷりと堪能させて貰わないとなっ!」
……そう言っているものの、『
だけど、こうして私が目を離さないでおけば、その分彼は彼女に手を出す事はない。オリビアより別空間のようなところで乱暴されたと聞いたので、空間干渉系の
(……それに、私の『本来』の任務も果たしていかなければならない)
私を抱こうとするトウヤを無感情に眺めながら、私はそう決意を新たにする。
前代未聞である、2人の人間をこの地へと呼び込んでしまった『招待召喚の儀』。初めから勇者の侍女として付く事が決まっていたユイリに加え、急遽私にもまわってきた任務。それは……、対象の人物が勇者であるか、それに相応しい人物であるかを判断するのと同時に、もしそうでないのであれば速やかに『対処』するという事。
(『対処』というのは、可能であれば懐柔、無理であれば国外追放……。そして、それすらも難しそうな危険人物に至っては『排除』する……。国はもうユイリの付くコウ殿が勇者であると判断しているし、今回の件で方針は定まった訳だけど、あの竜王をも討伐する力は無視できない……。ありとあらゆる手段でこの男に近付き、隙を探る。どんな耐性を持っているのか、何か弱点はないのか……。そういった情報を掴んだのちに、魅了の
そうやって脅威となる力を排除していって、それが達成された暁には……。最も、脅威がなくなれば国外追放しても問題ないのかもしれないが、親友を苦しめたこの男は絶対に私の手で……!
私がそう決心している事も知らずにキスしようとしてくるトウヤに、心を殺しながら、ただ事務的に対応していくのだった……。
「将棋……、それにトランプ、ですか……」
「ええ、トウヤ様が御存じなのか伺いたいと思いまして……」
久方ぶりに王女から利権等の件でお話したい事があると連絡を受けて来てみれば、挨拶もそこそこに切り出してきた。
知ってるっちゃ知ってるが……、何でいきなり将棋やら何やらの話になるんだ?
「……我々の世界には無い文化でしたので、そこでトウヤ様をお呼びした訳ですよ」
王城内の会議で使う様な一室にて、レイファニー王女の傍に居た白い長髪の女がそう話す。……この女も何処かで見た事がある。確かこの国の宰相だか言ったっけか……?
この国では珍しいメガネをかけた知的な女って印象を受け、決してブスではなく美女ではあるのだが……、なんか年増って感じがするのでオレのハーレムにはハッキリ言って要らない。
「もし御存じのようでしたらトウヤ殿の名で国中に広めたいと考えておりまして……、利権の話も出てくるので伺いたかったのですが……」
「そういう事でしたか。ええ、勿論知ってますよ!」
それを早く言ってくれよ。オレはそう思いつつ、この宰相さんの話に応じ、簡単なルールややり方を伝える。
「他にもチェスやオセロ、囲碁っていうのもあるな……。それから……」
「それならトウヤ殿、簡単に1局指して頂けませんか?何やら簡単な戦術みたいな物もあったので、試してみたくなりましてね……」
そう言って宰相さんは何処で手に入れたのか、将棋盤をセットし駒を並べている。それを見てオレは、
「いいですけど……、今日覚えたばかりでオレに勝つことは出来ないと思いますよ?」
「それも含めて試してみたいのですよ。是非ご教授願えますか?」
……まぁ別にいいけどな。でも、折角ご教授するのならレイファニーを相手にしたいものだったが……、さっさと指して終わらせてしまうか。いくら何でもこんな初心者相手にオレが負ける筈が……。
「王手!……これでトウヤ殿の詰み、ですね」
「うぉぉ!?な、何故だっ!?昨日今日覚えた人に何故オレがっ!!」
ば、馬鹿な……!いくら何でも有り得ないだろ!?そこまで将棋が強くなかったとはいえ、どうしてオレが負ける!?
「な、なら麻雀で勝負しましょう!これならオレも強いですし、こっちの方が面白いですよ!!」
「……トウヤ殿、落ち着いて下さい。別に負けたからってトウヤ殿の名に傷がつく訳でもないのですから……。ですが、わかりました。この将棋と、トランプは勇者様の名義で登録させて頂きますから」
「それならオセロやチェス、特に麻雀もお願いしますよ!!これ、絶対面白いし何せ4人同時に遊べるんですから!!」
「別に遊戯の為に広めようという訳ではないのですが……。そうですね、後日お話を伺いますのでその時にお願いしましょうか」
く、くそ……。レイファニーの前でとんだ恥をかいちまった……!このアマ、マジで覚えてろよ……!
「落ち着いて下さいませ、トウヤ様……。そういえばトウヤ様はお料理等はされるのですか?」
「……料理?ああ、料理と言えば……、この度少々変わった美味しい料理を取り寄せる事が出来るようになりましたので、今度王女殿下にも献上させて頂きますよ」
「そ、そうですか。それはまた、凄い事だと思いますけれど、前にお話しした通り、
そう言って固辞するレイファニーに奥ゆかしさを覚えるも、既に勇者として覚醒しているんだからそこまで気負う必要も無いとは思う。オレはそう考えてステイタスを表示させると、
NAME:トウヤ・シークライン
AGE :20
HAIR:蒼
EYE :オッドアイ≪ディープブルー&ワインレッド≫
身長:182.0
体重:73.4
魂の修練値 :14672098
RACE:ヒューマン
Rank:36
調教士 Lv30(MAX)
HP:285
MP:272
力 :168
敏捷性 :103
身の守り:116
賢さ :165
魔力 :164
運のよさ:81
魅力 :200
古代魔法:
召喚魔法:
独創魔法:
生活魔法:
剣技:
鞭技:めった打ち、捕縛打ち、愛のムチ
体術:集気法、気功拳、波動掌、
性技:
裏技:
技能:
魔技:魅惑の魔眼
わざ?:煽る、周辺監視、不意打ち、寝る
……ん?ここ最近、
首を傾げているオレに、王女が佇まいを正しながら話しかけてくる。
「トウヤ様……、実は今回の将棋とトランプについてですが……、コウ様から提案を受けたものだったのです。そして、それをトウヤ様、貴方の利権にするようにとの事でした」
「…………コウ?」
……誰だそれ?そんなヤツ、聞いた事もないぞ??
そんなオレを見てレイファニーが続ける……。
「……トウヤ様と一緒にこの世界にいらっしゃいました、もう一人の勇者候補の方で御座います」
「ああ!あの……っ!」
デブメガネと言いそうになって慌てて口を噤む。あのデブ、まだこの国にいたのか? とっくにこの国を出ているのかと思ったが……、あんな使えなさそうな奴を匿い続けるとは、慈悲深いというか……、温情のある王族たちだな……。いくら間違って召喚してしまったとはいえ、普通のラノベの世界でいったら間違いなく用済みとばかりに処分されているぞ……。
まぁ、流石はオレが認めた女だなと心の中で褒めると同時にどうするか考える。とりあえず敵対している訳ではないし、内容を聞くところ中々殊勝な心がけをしているようだ。そういえばこの
それならば使える使えないは置いといて一度会ってみてもいいかもしれない。あんな奴にオレをどうこう出来るとも思わないし、もし駄目だと判断したらその場で処分すればいい。万が一使えそうならば儲けものでもある。聞いていると、向こうもオレに会いたがっているみたいだしな……。
そこでオレは王女に会ってやる旨を伝えた訳であるのだが……。
「トウヤ殿ですね、初めてこの地に来た時以来で御座いますが……、はじめまして、コウと申します。この度は此方の無理にあわせてお時間を割いて頂いたようで……」
会う事を了承した翌日、城のある一室にてオレは件の巻き込まれた眼鏡デブと会っている筈なのだが……。
(…………誰だ、こいつ?)
眼鏡もしていなければ、別に太っているという訳でもない。むしろ想像以上に戦えそうな体をしているし、頭ももっと剥げていなかったか……?
……少なくともこんな印象ではなかった筈だ。最初に会ったのがコイツだったら、油断できないヤツとして恐らく手を打っていただろうし……。最も、コイツ以上に目を惹かれる人物もいる。コイツの後ろに控え、フードを被った女……、全貌が見えなくとも間違いなく美人とわかる女がいるのだ……!
NAME:シェリル・フローレンス・メイルフィード
AGE :19
HAIR:金
EYE :エメラルドブルー
RACE:エルフ
Rank:48
身長 :159.1
体重 :44.8
スリーサイズ:92/52/90
性の経験:
狩人 Lv30(MAX)
HP:143
MP:434
力 :27
敏捷性 :50
身の守り:38
賢さ :201
魔力 :255
運のよさ:39
魅力 :283
(これがエルフ……!しかもこの美しさ……!下手するとレイファニーよりも……っ!!抜群のプロモーションに加え、容姿端麗、才色兼備……!!まさに絶世の美女って感じだが、信じられない事に
この女は何としても手に入れる、もし邪魔する者が居たら殺してでも奪い取る……!!最初の目的を放り出し、今までの誰よりも極上の女を前にして、オレは湧き上がってくる劣情を抑えつけながらどうやって自分のものにするかについて思いを巡らすのだった……。
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