第3話 妖精族奪還作戦と忍び寄る魔女の手

「これにサインお願いしまーす」

「ここに名前書くだけでいいわ」

「ありがとうなの~」

こんな感じに署名活動が始まって1時間だ過ぎた。

ミールはみんなからの人望があった。

それに双子の姉妹の力もみんな知っているようで泣いている人もいた。

今の妖精族は、藁にも縋る思いなのろう。

自分の身を守るため、我が子を守るため、子孫を絶やさないため…。

それぞれの想いがこの木の葉っぱに記されている。

だれも見たくないのだ、これ以上死体や実験台になっている姿は…。

「俺は、この種族を救うために来た人間、候だ。国王に反発する者、少しでもこの国を豊かにしたい者。ここに国王の座を下ろすサインを欲しい。」

「ここにいる候は、先日4層のエルフ国王と友情関係を交わした男。」

「候は、悪い奴じゃない、私たちも魔女から救ってもらったの~」

「候の知識があれば、俺たちは勝てる。」

俺らは、叫び募った。声を。


そうして集まったのは、ここの層に住んでいる妖精族5000人。

には、届かず、4994人。

残り6人は、城に使える妖精族。

「みんな、ありがとう。」

ミールが頭を下げる。

「これを持って必ず、みんなを救う。」

「ありがとうなの~」

「みんな…ありがとう…」

ナーレもレータも涙を浮かべて頭を下げた。


この様子を城内の誰かが見ていたらしい。

「国王様、大変です。」

「どーした?」

「魔女様の伝達通り、人間率いる一行が署名活動をし、こちらに向かっております。どういたしましょう?」

「わかったよー、じゃあ魔女様のいう通りにしよう。これ以上暴れられても困るだろうし~。なんせ、僕が魔女様に食べられちゃうよ」

「そ、その通りでございます。では、決行は明日にでも。」

ストローでチュウっと吸いながら国王は頷いた。


これから、俺たちになにが起きるかも知らずになんなく城内に通された。

「ここでお待ちください、候様。他の妖精族の方は隣の部屋で。」

俺は、おかしいと思い、すぐに言葉を遮った。

「待て、ナーレ達も俺と同じ部屋でいい。」

「し、しかし大きさが違いますゆえ、少々狭くなるかと。」

「問題ない、4人同じ部屋でいい。」

少し困った顔をしたが、妖精の兵士は部屋を出て行った。

「ナーレ、レータ、ミール、この部屋には仕掛けが…」

「何候?このお菓子おいしいわよ。」

そう言いながら、既に三人は部屋にあった茶菓子を食べていた。

「おい!!」

時すでに遅しとはこういうことである。

三人ともスヤスヤ眠ってしまった。

「まじかよ。」

(ルフ、これは?)

(簡単に頼るな、まあいい。今回だけな)

(すまん)

(睡眠薬と妖精族を引き寄せる魔法がかかっておる。しかもこの部屋何かおかしいぞ)

(どうゆう…)

ルフの回答を待たずにさっきの兵士ではなく、別の兵士が入ってきた。

「候様、こちらへ。」

そう言って、三人を俺の瞬きもする間もなく、縛り上げていた。

それでもスヤスヤと眠っている。

「どうゆうことだ。」

「もし抵抗していただくなら、こちらにも手はございます。」

そう言って、手錠を出して手を出すように促された。

「ここで、拘束かよ。」

そういう俺に、手錠を笑ってかけた。

こいつ、他の妖精族とまるで違う。

それに…

「少々、国王に会ってもらう前にこちらをご覧ください。」

開けられたカーテンには、吊るされた3人と一匹の狼がいた。

「おい!!!二層の狼族じゃねぇか!!なぜここに」

「おやおや、狼族までご存じでしたか。候様の知識は恐ろしいですな、国王様」

「うん、怖いね」

そういって、小さな妖精が1人。

「え、こ、子供!?」

そこに現れたのは、ミールたちと変わらない小さな子供だった。

しかし、王冠を被っている。

「いや?被られている?」

「おまえ、心の声が漏れているぞ。こいつらがどうなってもいいの?」

そう言って、ハサミを持った兵士に指示を出そうとしている

「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺が悪かった。何が望みだ。」

にやりと笑った国王は上目遣いで手を差し出した。

「お前の持ってるルフを寄こせ。」

「な、なに。」

「お前、持っているのだろう。ルフを」

なぜ、こいつが俺がルフと契約していることを知っている。

それは誰にも話していない。

こいつには何か力があるのか。

「なにをしてる。早くちょうだい。」

(悪い、どうなってる)

「ルフと会話をしても無駄だよ。そいつは応答しない。」

「どうして、俺がルフと契約しているとわかっている。」

カマをかけたのか。それとも。

「では、こちらのルフに問いたらどうだ。」

そう言って、差し出されたのは瓶に入った妖精の1人だった。

しかし、その姿はあまりに無残で目を覆いたくなるほどだった。

「この子は?」

「こいつは実験に成功した3号だ。ちなみに私の隣が2号。ハサミを持っているのが1号だ。」

確かにあの速さを出せたのは2号。

では、この子はどんな力を。

「君、大丈夫?羽も足も…」

「私は大丈夫です。それより自分の心配を」

「何をしておる。早く入れないのか。」

その国王の言葉にビクッと体を震わせ、骨ばった両手を掲げて何かを唱え始めた。

多分、妖精族にしかわからない言葉か魔女の呪文。

呪文を唱え終えると、俺の方に手を翳し、契約したはずのルフが出てきた。

そして

(すみません、力に押されて…)

(いい、お前をまた取り戻す。その時が来たらまた応じてくれないか)

そういうと、ルフは飛んで行ってしまった。

「それが君の力かい?」

おれが聞くと、コクンと妖精は頷き力を使い果たしたように見えた。

「国王様。俺はこの子の力でルフを失いました。仲間を下ろしてもらえないでしょうか。」

俺がはっきりした声でそういうと国王は首を振った。

「まだだ。一晩お前に猶予を与える。この妖精どもをこの町に開放する代わりにお前がこの層からいなくなるか、それが聞けないのであれば、この犬の餌食にして目の前で殺して、私の座を取るか。」

そう言って、国王は居なくなった。

俺は部屋に返され、ナーレたちも部屋に寝かされていた。

「どうするか。」

そう頭を抱えていると、ナーレやレータが起きた。

ミールはまだ寝ている。一番量を食べたのだろう。

「なにがあったの」

レータが俺に問う。

俺は説明をした。そしてルフの事も伝えた。

「そんな大変なことになってたの!?」

「寝てた~」

「お前たちもみんなを救いたい。そこで俺は考えた」

「なに?」

「俺は今や、ルフも使えない。だからこの国の物の判断もつかない。」

「そうね、危険を察知できても辛いものがある」

「お手上げなの~」

俺はナーレに答えた。

「お手上げじゃない。俺は次の国王をミールにしようと思っていた。あれだけの人望があれば誰も文句は言わない。そこで、俺はこの国を先に出る」

その言葉に2人は驚く。そりゃそうだろう。単独行動になるのだから。

「ミールなのは賛成よ、村の事も人の事もわかっているし。でもルフなしの候を一人にするなんて。」

「いくら何でも無茶なの~」

「一人じゃない、俺はあの狼族を連れていく。あいつさえいなけれが何とかなる。それに、子供の国王だ。あの周りの兵士が気になる。お前たちに頼みがある。」

そう言って、耳内をした誰にも聞かれないように。

「わかったわ。」

「了解なの~」

「命を結んだ俺たちだ。誰一人かけてはいけない。魔女の言う通りにもならない。おまえらを信じて先に行く。」

そう言って、作戦会議は終わり夜も明けたのだった。


そうして俺はなぜかまた拷問を受けている。

だって、こんなにもエロい人魚がわんさかいて、手足て縛られ、俺の息子も立っちしてるのだから。

「どうしてこうなった、おれ~」

そして鞭を振られているのだった…。

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