今日はちびTにホットパンツか……。

 今は7月中旬の夏真っ盛り。しかし今私達が住んでいる部屋のエアコンは、不運なことに壊れてしまってて、業者さんに頼んだら2、3日待って欲しいと言われてしまった。正直きつい。


 この季節になれば、私もユキも当然薄着になる。薄着になるということは必然的に肌の露出が多くなる。この日の私の格好は白の襟付きブラウスに青を基調とした花柄のスカートと、落ち着いた格好だ。


「暑いね~。今日って何度になるんだっけ?」

「天気予報だと、確か38度だって言ってたわ」

「マジか~。勘弁してほしいよ~」


 そう言いながらユキは手にしたうちわで自分を仰いだ。でも待って欲しい、私からすれば今のユキの格好を見てると、正直うちわの必要性を感じにくい。

 何しろ今の彼女の格好は、おへそ丸見えのちびTに丈が極端に短いホットパンツなのだ。おへそだって、ユキは大学に入ってからオレンジ色の花を象ったへそピアスをしてる。


 ホットパンツにしたって、丈が短くて太ももが丸出し。いくら私の前では気が緩むとは言っても、もう少し自重してもらいたい。変な気を起こしそう。


「早く業者に来てもらって、この地獄から解放された~い!」


 そう言うユキはカーペットの上でじたばたした。やめて欲しい、あなたの巨乳が盛大に揺れて目のやり場に困る。


「それよりも、さっきスーパーで買ってきたかき氷を食べましょう。それで少しは涼しくなると思うから」

「こんな熱い時にかき氷って、クーラーもないこの部屋じゃあすぐに水になっちゃうよ」

「だったら早く食べればいいでしょ?」

「それやったら頭がキーンってなってきついよ~」


 ああもう、ユキったらああ言えばこう言う。そして身体を揺らしながら駄々をこねるから胸が揺れてる。お願いだから勘弁して。これ以上は私も我慢できない‼


「文句があったら食べなくてもいいのよ~?」

「食べるっ!」


 ちょっといたずらっ気を見せると、ユキはすぐに食らいつく。昔からそうだ。駄々をこねた時には、こうやってやると即断即決してくれる。


「それで、ユキはイチゴとレモン、どっちを食べるの?」

「レモンでっ!」

「りょうかい」


 私はすぐに冷蔵庫からかき氷を二つ取り出し、レモンの方をスプーンと一緒にユキに渡した。


「「いただきます」」


 私とユキは同時にスプーン一杯のかき氷を食した。口の中が潤う。真夏日の乾ききった身体に微かなオアシスが生まれた。


「生き返る……」

「同じく~」


 ユキも私も、頬が緩んだ。エアコンの利かない蒸し暑いこの部屋で、これだけ冷えたものを食べられるのは至福そのものだ。でも早く食べないと溶けて水に、いや、ぬるま湯になってしまうかもしれないので、急いで食べることにした。ユキが危惧したように、何度も頭が痛くなって辛かったけど。


「はぁ~、美味しかった~」


 食べ終わってからすぐ、ユキはだらしなく仰向けになって寝ころんだ。


「もうユキったら、食べて直ぐに寝ると牛になっちゃうわよ?」

「そんな子供だましな迷信は信じないわよ~」


 そう言いながら伸びるユキ。って、ちょっと!


「ユ、ユキ、あのさぁ……」

「なぁに~?」


 なぁに~、じゃないわよ。そんなちびTで伸びるから、完全におっぱいの下部分が見えちゃってるじゃない‼ 


「どうしたのぉ?」

「ユキ、その、仮に寝るにしても、もう少しマシなところで寝たらどう? こんなとこで寝るよりは」

「ええ~? 動くのメンドイよ~」

「歩くとき、邪魔になるの」

「跨げばいいじゃん」

「そんな下品なことはしたくないの。動くのが嫌なら、私が手伝って、って……」


 ヤバ、よろけた、このままだとユキのお腹に……。


「おっと」


 するとユキは、即座に上半身だけ起こして倒れてくる私を受け止めてしまった。本当、こういうときの反射神経の凄さには驚かされる。


「ふぁ、ふぁりが、ほう……」


 あれ? 上手く声が出せない、どうして? ってか、眼の前が真っ暗で、顔に柔らかいものが当たってるんですけど……。


「ふふっ、くすぐったいよ~かすみ」

「ふぇ?」


 頭のすぐ上からユキの声が聞こえる。そしてこの柔らかいもの、そして両手から感じ取れるスベスベな感触。まさか私……。


「アタシのおっぱいが大きくて助かったね~。エアバッグ代わりにはなれたかな?」


 そうだ~‼ このシチュエーションで考えうる感触って、ユキのおっぱいの感触しかないよね~‼ 多分胸にがっつり顔が埋まってるかも。そして両手の感触の正体はユキのお腹だ。引き締まってるけどすべすべしてる。マジ、気持ちいい……❤


「かすみ、かすみ、お~い」

「ふぇ?」

「どうしたの?」

 

 そんな私の心境など知る由もないユキが、のほほんとながら私に話しかけて来た。


「え、えっと……」

「ひょっとして……」

「あ、あの、その……」


 どうしよう、もっとユキの身体を堪能したいなんてばれたらヤバい。どうしよう、どうしよう、どうしよう……。


「久しぶりに、アタシに甘えたくなった?」

「えっ?」

「だって、前は不安なことがある度に、アタシに抱き着いて甘えてたでしょ? 最近そんなことなかったから、もうお役御免かなって思ってたんだけど……」


 そうだ。私は何か不安なことがあると、ユキに抱き着いて甘えてた。それが一番私にとって落ち着いたから。ユキの身体と、その時声を掛けてくれるユキの言葉が、私にとって一番の癒しになってるから。


「……不安なことは、ないけど、でも、ユキに甘えたいってのは、ある」

「そっか、何もなくても、かすみがアタシを求めるのは全然いいよ」

「ユキ……」


 ユキにそう言われると、やましい気持ちよりも、ユキに甘えたいって気持ちが大きくなってくる。

 とりあえず私はユキ胸から顔を話して、今度はお腹に顔を埋めた。


「おおっ、今度はお腹かぁ~」

「ユキのお腹って、引き締まってるけど柔らかくて落ち着くの……」


 そう言いながら私はほんの少しだけ顔を話し、ユキのお腹をまじまじと見た。微かに腹筋が浮き出て、その中央には縦に長いおへそと、そこに飾られたへそピアスがある。


「かすみ?」

「ねぇユキ。このへそピアス。どうして開けたの? 女子大生デビュー?」

「だってユキも、ピンク色の花のピアスを開けたじゃん。んで、耳よりはおへその方がやってみたいって気があったから開けたの」

「そう、なの……」


 お腹を撫でながら、左手の指先でへそピアスを触る私。ユキの身体ってグラマラスだから、とても安心する不思議な魅力がある。太ももだってそう。見てていやらしい気持ちも沸くんだけど、同時に触ると安心する。お母さんに甘えられるような、そんな気持ちになる。


「アタシはかすみにどこを触られても全然いいよ。それでかすみが安心するなら」

「ユキ……」


 まったくこの子ったら、子供っぽいわりにこういう時はお母さんみたいな感じになる。いやらしい気持ちは否定できないけど、今日のところはお言葉に甘えて、もうちょっとユキの身体と思いやりに甘えることにしよっ。


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