私の同居人が無防備すぎる‼
路地裏の本棚
またこんなダメージジーンズを履いてる……
私は有栖川かすみ。都内にある女子大の経済学部に通う2年生。今は大学の近くにあるアパートで、女子校時代からの同級生で、同じ大学の同じ学部に通っている親友と一緒に同居している。今日は土曜日。この日私は一日コンビニのアルバイトをしていて、昼の1時から夕方の6時までシフトを入れている。
で、その親友はというと、只今私の前でソファにうつ伏せに寝転がって寝息を立てながらお昼寝をしていた。
「もう、ユキったらまたこんなとこでお昼寝してる……」
彼女は同居人の三澄ユキ。一応彼女は平日の午後、講義がない時間を利用してバイトをしているけど、この日は特に予定がない。こういう日は9時くらいに起きては午前中遊んでばかりで、午後になると疲れてお昼寝してしまうという、なんか子供みたいな女の子なの。女子校時代からずっと一緒にいて、私にとって一番の親友と言える子なんだけど、こういうところはもう少し改善してほしいなぁと思う。
本人は「こんなとこを見せられんの、かすみの前だけだよ‼」なんてニッコリ笑顔で言うけど。
「やっぱりユキったら、また今日もこんなダメージジーンズを履いてる」
そして今の私にとって一番気になってるのが、彼女の履いてるダメージジーンズ。前から見ると膝や太ももの辺りが多少破れているだけなんだけど、後ろを見ると、お尻の下辺りから太ももまでがっつり破れていて、下手すると下着まで見えちゃいそうな感じになっちゃってる。
ユキの私服は、私が着てるワンピースとか、そういう清楚でおとなしい格好とは対照的で、ホットパンツにオフショルダーのトップスとか、今着てるようなダメージジーンズとかばっかり。可愛いと言えば確かに可愛いけど、私には絶対に出来ないな。
「……本当、ユキはいつも私の前で無防備なんだから……」
肩に掛けていたバッグを適当なところに置いて、私はユキの寝転がっているソファに寄った。
いざ近くで見てみると、ジーンズの穴からユキの少し焼けたお尻や太ももが丸見えなのがよく分かる。いや、遠目で見ても分かるんだけど……。
「無防備すぎるわ、ユキは……」
ホットパンツだったらまだしも、ダメージジーンズの穴から見える生脚ってなんでこんなにエロいんだろう? 見えないはずのとこから見えてるからなのかなぁ……。
「……ずっと寝てるんなら、さ、触っちゃうわよ……」
ヤバい、色々と変な気が起きて来た。ユキと同居してからかれこれ1年以上経ってるけど、元々あった無防備なところを年がら年中目の当たりにしてるからか、半年くらい前からユキに向ける視線がちょっと変わってきてる。
端的に言えば、ムラムラする。通ってたのが女子高で、それ以前からも異性との付き合いが私にはないからってのがあるかもしれない。
ユキもそうだったけど、明るくて無邪気でフレンドリーな性格だから色んな女の子からモテている。何より出るとこは出て、引っ込んでるとこは引っ込んでるナイスバディだから、身体目当ての女子がいたなんて話も聞いたことがある。今になって、そういう女子達の気持ちが分かるなんて……。
「……もう触る……」
小さくつぶやいた私は、ふつふつと湧き上がるヨコシマな欲望に身を任せ、ユキのジーンズの穴から丸出しになってるお尻を両手でガッと掴んだ。
「はぁ、柔らかい……❤」
我慢できずにお尻を揉み始める私。柔らかくて張りがあるちょっと日焼けした肌。ついでに太ももも揉んでみると、やっぱり柔らかい。正直、顔を埋めたい。
いやいやいや、お尻に顔を埋めたいって何を考えてるの私‼ でも、これは正直我慢できそうもない‼ いつもホットパンツで見えてるお尻もいいけど、ダメージジンズの穴から丸出しってのが色々とヤバい。
「こ、こうなったら……‼」
遂に欲望に飲み込まれた私は、ユキのジーンズの穴から見えるお尻に顔を埋めようとし……
「う、うううん?」
……ようとした直後、ユキの気怠そうな声が聞こえた。
「きゃあっ‼」
同時にユキの身体も大きく動き、私はそのはずみにゴロン、と思いっきり後ろに転がってしまった。
「んん? あれ? かすみ、帰ってたの?」
「う、うん」
ソファから腰を上げて私を見下ろすユキに、私は戸惑いながら声を返した。
「じゃあさっきの声って、かすみの?」
「うん、私の……」
「どうしたの? そんなに顔を引きつらせてさぁ」
「え、えぇっと、ちょっと躓きそうになっちゃっただけ」
セーフ。どうやらユキは私が色々とイケナイことをしてたことは知らないようだ。
「疲れてるの?」
「そ、そうね。今日はバイトが色々ハードだったから」
「コンビニのバイトも大変だね~」
「居酒屋のバイトだって大変でしょうよ」
そう言いながら私は立ち上がり、とりあえず台所に歩いていった。
「とりあえず、夕食を作るわ、何が食べたい?」
「そうだね~、簡単に作れるものでいいわ」
「ハイハイ、じゃあ作るわ」
ユキのテキトーな返事を軽く受け流し、私は冷蔵庫を開けて献立を考え始めた。
「それよりさぁ~、聞いてよかすみ~」
そう言いながらユキがスタスタと私の隣までやって来た。
「なぁに?」
「アタシさぁ、さっき変な夢を見たんだけどぉ~」
「変な夢?」
「うん、満員電車に乗っててたら、アタシのジーパンのお尻に空いてる穴から手を入れられて、そのままお尻を触られる夢を見たの」
ギクリッ
「へ、へぇ、痴漢されたってこと?」
「そう思ったんだけど、乗ってるのが女の子ばっかりで、揉んでるのも女の人だったからびっくりしたの。どうして女の人に揉まれたんだろう?」
「そんな夢もあるんだね~……」
言えない、それは正夢とは言えないまでも、嘘ではないことを。そしてその犯人が私だってことを。
「でもさぁ、ちらっとみえちゃったんだよね~」
「な、なにが?」
「痴漢の顔、なんとな~くだけど、かすみそっくりだったんだよね~」
頭を掻きながらそう言ったユキに私は持っているキャベツを落としそうになった。
「ねぇかすみ、今日本当に大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫、ちゃっちゃと作っちゃうから、待ってて」
「りょうか~い」
ユキはそのまま台所を後にして、ソファに腰を下ろしてテレビを付けた。まさか夢の中でそんなことになっていたなんて思いもしなかった。一応気づかれてないけど、今日はちょっと気まずくなりそう。でも原因は私にあるんだけどね。
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