懐かしい声
……嫌だった。
せっかく…吹っ切れてきていたのに。
名前…呼ばないで。泣いちゃうよ。
善を裏切りたくないよ
もう、やめてよ
わたしは振り返って海斗を見て、無視をした。(((帰ろう、このまま。話したらダメだ)))
「しゅう」
やめて……いつも萩花って呼ぶのに不意に呼んでくる"しゅう"がだいすきだった。
次いつしゅうって呼んでくれるのかなって楽しみにしてた。
でも、今じゃないよ……
わたしは返事をしてしまった
「ん?なに?」
「これ」
ボタンだった。
海斗の制服の第二ボタンがなくなっていた。
「海斗の?」
「そう」
「くれるの?」
「うん」
「なんで?」
「萩花にあげたかった」
「もらえない」
「……だよね」
「今から善たちと遊ぶんでしょ?善、言ってたよ。みんなでご飯食べに行くから先帰るって」
「…うん、いく」
「早く帰った方がいいよ、じゃあね」
「ねぇ、しゅう」
「なに?」
「もう、会えないの、俺耐えられない」
「何言ってるの?」
「高校違うし今日で最後なんて考えられない。萩花が日常だったからそれがなくなるの俺嫌だ」
叩きつけられた感覚だった
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