莉子




冬休み、善と付き合うことになって3学期が始まるとすぐ莉子に報告をした。



「実はね、善と付き合うことになったの」


「えー!!!おめでとう!!!……でも、萩花いいの?海斗は?」


「海斗とはもう連絡も取らないことになったし善のことをちゃんと考えたい」


「そっかぁ〜…海斗とお似合いだったのになぁ。なんで2人は付き合わないのかなっていっつも思ってたよ」


「何それ(笑)友達としては最高だったけどね。付き合うって話しになったこともないよ」


「でも、善くんならちょっとホッとした。萩花よく分からない人とばっかり付き合ってきたから」


「わたしもホッとしてる。善でよかったなって思ってる」


「萩花なら海斗とられてもいいって本気で思ったんだけどなぁ〜!!!」


「莉子は、どうなの?」


「わたしは海斗の親と自分の親が仲良いから海斗とも小さい頃から一緒にいて、あれ…好きかも…って思ってた時期もあったけどなんかやっぱり違ったんだよね(笑)ペットみたいな感覚?変な人には譲りたくない!みたいに思ってた。それだけだよ(笑)」


「そうだったんだね。変な人には譲りたくないよね(笑)」


「なにこれわたしたち、海斗の親?(笑)母性本能やばくない?」


「くすぐられるんだよね」



わたしは海斗が誰と付き合っても邪魔をしてきた。陰で別れさせるように色んなことをしていた


だから同級生の女の子には嫌われていた


色々なものを犠牲にしてきた



海斗と仲良いのに他の男の人と付き合ったりもしているし周りからしたら何がしたかったのか分からなかったと思う



たくさんの友達を敵に回した


いじめとまではいかないけど何回もハブられたし物を隠されたりもした


でも莉子だけはいつもわたしの味方でいてくれた

離れたことがなかった


学年が変わってクラスも違くなったけど放課後になれば莉子がいつもいてくれたからわたしはひとりじゃなかった



よく分からない人と付き合うととても心配していた。いつも「海斗は?いいの?」と聞いてきた



わたしが好きなことは莉子にはバレバレだった。



でも、もう大丈夫。



わたしは善に気持ちがいっている。



学校で海斗に会うと初めは無視するのが気まずくてどうしたらいいか分からなかったけどそんなのもすぐに慣れた



学校帰り善と歩いていると海斗が「善!じゃあな〜」と声をかけていったこともあった



善といると苦しくない。楽しい。


好きだなぁと思ったときに「すき!」って言える。


我慢しなくていい。


善が他の女の子と話してたら思いっきり嫉妬していい。やだやだ〜って伝えていい。善はそれをかわいいって言ってぎゅっとしてくれる


とても幸せだった。


バレンタインデーには初めて手作りでチョコを作った。ただ溶かして固めただけのチョコを善は喜んで食べてくれた


そしてわたしたちは同じ高校を受験した。2人とも受かりますようにって神社にお願いしにも行った。



合格発表の前に卒業式。



わたしと善と莉子は同じ高校を受験したからみんな合格ならまた同じ学校。


楽しみでしかなかった。


だから卒業は悲しくなかった。



卒業式が終わって、みんなで雑談したり写真を撮ったりしてそろそろ帰ろうとしたときに声をかけられた


「萩花」


泣きそうになった。


たった2ヶ月。

たった2ヶ月なのに懐かしく感じる声。2ヶ月振りにわたしの名前を呼ばれた。



海斗だった。



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