第51話 あとがき

っというわけで、終わりです。


ファイルが記憶する編集時間を見ると今回は174時間でした。「JERA」でも79時間程度なので、いかに長丁場で苦しんで書いたかがうかがえます。だって上手く書けないんだもん!(さらに改稿したので、おそらく200時間は超えているかと…)


ま~久々の100ページ越えだから仕方がないといえば、仕方がない。ここ最近は1つの話のなかに2つの柱的書き方が多く、自分的にどうにかならないかな…と思ってはいるのですが。どうにもならん。


今回の主役は美咲と榊でした。皆それぞれにそれぞれの人生を生きているんだな…っていうのが書いてみての感想です。美咲はいずれグループ企業トップの座に就きます。彼女が学んだ帝王学じゃないけれど、個人としては不幸せなのかもしれない。だからこそ普通人の綾那に憧れている。自分にはどう転んでもできない生き方をしているから。この二人がどんなふうに知り合って、友達になったかという話はしろがねさんが温めているので、また別の機会に。


榊ちゃんは…やっぱりかわいい女として書くのは無理だよぉぉぉ~私には。こっちの方に重きを置いて書いたつもりなんだけど。どうだか。テーマはですね。「人は誰しもすべてが自分の思い通りに生きられるとは限らない。そうなってしまった時、どう自分を納得させて生きていくんだろうか?」っというところです。


この「アンスズ」は、バーン本人に彼と同じ思いをして生きている人=榊がいることを知ってほしかった。他人との接点を見いだし、共感してほしかった。人と人とのつながりにはつきものなんですが、それを認め、前向きに対処してほしいと願って書いた作品です。(で、結局前向きになったところをあっという間に地に落としてしまったのですが…ごめんなさい。)榊とバーンの微妙な関係っていうのも書いていては楽しかったです。苦笑


今回のルーン「アンスズ」の意味は、「信号、メッセージ、警告」という意味です。「新たな人生の始まり」を意味します。未踏の地へ導くことや偶然の出逢いを示しています。また北欧神話に出てくるロキ神をあらわし、いたずら好きで、思いもかけぬ事を運ぶ使者という意味もあります。


ロキ神の化身として鳳龍を思い描き(まったく鳳龍そのものだっ!)、信号=メッセージという意味で國充の書いた手紙また今回『混沌の杖』が絡んだ一連の事件を。警告という意味でイェツラーに登場してもらい、今後の展開の伏線を張りました。


彼がバーンに話していたことがいくつかキーワードになっています。例えば、RW、切り札、真の姿、力、産まれた時からetc.です。8年前の過去にさかのぼっていけばこの謎は解けます。(たぶん…)半分は、最終章3部作のひとつ「OTHILA」で、もう半分は「INGUZ」で書きたいと思います。


「アンスズ」は13あるサイクルストーンの一番初めのルーンでもあります。見えていないことをフォーカスする。つまり、「無意識の中に潜む動機と表層意識にある意志とを結合させる必要がある」ことを表しています。発信された信号をバーンも臣人も各々に受け取りました。思うところはそれぞれに違うけれど、最終的には同じ場所を目指すはずです。


意識化されていないことを自分の意志で明確にし、解釈し、今後の行動につなげていくはずです。バーンと臣人の共通の目的は『混沌の杖』(8年前には『銀の舟』と呼ばれた秘密結社)と闘う。

ただ、

その闘いは心理戦+魔術戦の様相を呈します。心理戦になった場合、一番心配されるのはバーンです。彼が負う心の傷から付け込まれる可能性があるからです。それをわかっていて、最後のシーンで臣人達とは別行動をとったのですから。


8年前の闘いはこの要素で彼らは負けたのです。ラシスの死、関わった人が…というあの傷を自分でどう納得させて、臨むかで勝敗が決まってくると言ってもいいでしょう。


違った意味で臣人も背負い込むことが確実に増えていってますが…。彼ひとりの力ではどうにもならなくても、きっとみんなが助けてくれる。そんな気がしているのは作者だけだったりして。鳳龍が國充に頼まれたが次なる展開を運んできてくれるでしょう。(さぁ、空港から旅立った鳳龍は一体どこへ行ったのでしょう?くすっ)


や、やばい!ネタばらしをしそうになっていた。やめます。


また新しい意味での「家族的な連帯感」もこの「アンスズ」というルーンには込められています。それを本条院会長と美咲の関係に重ねたかったんですが、上手くいったかどうか…。微妙。


ちょっと思い立って今回の話はいつもの書き方とは違うやり方で書いていたので、どうもな~ぁ。いつもはシーンを付けてから、出来事を箇条書きにしてプロットネームを作ってから書いていくんだけど、今回はウェビングという手法を使いました。「ANSUZ」の持つ意味からイメージを広げていき、思いつくまま気の向くままにストーリーを構築していきました。ので、シーンで区切ることができず逆に苦しかった。なんかダラダラ書いてたような。う~む。


イェツラーが出ましたので、四界について多少解説。


世界は多重世界であるという考え方からきているものですが、本来エノキアンマジックだと地上も入れて五界と考えるのが一般的。あとは物見の塔の区画で30のアィテールという考え方もあります。(さすがにここまではやってられない。)ま、一応四界ということで書きましょう。上の界からアツィルト(神名)、ブリアー(大天使)、イェツラー(天使団)、アッシャー(人獣)に分けられています。アツィルトは元型的なイデア(本質や理性)の神聖な世界→地。ブリアーは大天使の創造的な世界→水。イェツラーは天使のアストラルな世界→風。アッシャーは物質的世界→火。と言われ、それぞれの界が四大元素のタブレットと酷似しているとされます。


ぶっちゃけた話、『混沌の杖』の教主の名はRWといい、それを取り巻く四天王がいるということです。イェツラーはそのひとり。残りあと3人とご理解ください。(難しいことは知らんw)


最後までお付き合いくださって、どうもありがとう!

ご感想をお待ちしています。


あなたにルーンの加護がありますように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ANSUZ 砂樹あきら @sakiakira

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ