ギルドへ

『ギルドへの行き方は覚えているか』


 シュウさんの問いかけに、私は頷いてみせる。


「ええっと……」

『……一度しか行ったことがないからな、覚えてないんじゃないか』

「……はい、おっしゃる通りです」


 すると、シュウさんが小さく笑った気配がした。


『自分のプロフィール画面を開いて、ギルド詳細を開くと、そこにギルドへの行き方ガイドを表示するという項目がある。それを設定すれば、自動的に矢印が表示されるからおすすめだ』

「……おー、便利な機能」


 私は早速メニュー画面を表示させ、ギルドへの行き方ガイドを起動した。視界に表示される矢印を頼りに、おっかなびっくり歩き始める。


「シュウカさん、ヒナコさん、案内しますのでついてきてください」

『……ちなみに、二人をギルドメンバーに招待して構わないからな。臨時ギルドマスターシステムに承認されれば、誰かをギルドメンバーに誘うのも円滑になる。いちいちギルドマスターに確認を取らなくてよくなるからな』


「えー、兄ちゃんと同じギルドは嫌かもぉー」


 シュウカさんが顔をしかめる。


『……別にお前のことをいちいち気にかけるつもりはない』

「それはそれで悲しいー」

『……どっちなんだ』


 呆れたシュウさんの声。


「わ、わたしはギルドというものに憧れてましたのでっ、ぜひ、入れてほしいですっ」

「それじゃ、無事に臨時ギルドマスターに承認されたら、ヒナコさんをギルドに招待しますね」

「お、お願いしますっ」


 ヒナコさん、とても嬉しそう。


 ギルドの建物に到着した。扉を開けようとするけれど、開かない。


『……ある一定のリズムで扉をノックしないと、扉が開かない仕組みなんだ』


 シュウさんの言葉にはっとなる。そういえば前回、ここに来た時にシュウさん、リズムをきざんで扉をノックしてた気がする。


『……こちらが一度リズムを叩いてみせるから、その通りに扉をノックしてくれ』

「分かりました」


 シュウさんが現実世界で、テーブルか何かをコツコツと指先で叩く音がする。そのリズムの動きに全神経を注ぎ込む。


『……覚えたか』


 何度かそれを繰り返した後で、シュウさんが聞いてくる。


「覚えました」


 これでもピアノの習い事をしていたから。リズムを覚えるのは得意だ。覚えたリズムで、扉をノックする。


 すると、扉がゆっくりと開いた。やった! 成功した!!


『……どうやらうまく行ったみたいだな』

「はい。さっそく、ギルドマスターの証を探します」


 カズアキさんから、ギルドマスターの証の特徴は教えてもらっている。後は、探し出すだけだ。


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