ギルドマスターの証
「ギルドマスターの証ってどんなものなのぉー?」
シュウカさんが不思議そうに聞いてくる。
「私も話に聞いただけで詳しくはないのですが……」
そう前置きをしながら、話し始める。ギルドマスターの証は、ゲームシステム上決まりきった形をしているわけではない。それぞれのギルドマスターが、好きなアイテムをギルドマスターの証という役割を与えたアイテムに切り替えることができる。
ギルドマスターの証は、見ただけではそれがギルドマスターの証であるということは分からない。だからもちろん、普通のアイテムだと思って触れて、それがギルドマスターの証だったということもありえる。
ギルドの中には、次のギルドマスターを決めるのに、このギルドマスターの証を使うこともあるらしい。
『ちなみに、他のギルドの人間がギルドの建物に侵入してきて、ギルドマスターの証を盗まれてしまうと、大変なことになるねん』
そう、カズアキさんは言っていた。
『ギルドマスターの証が他ギルドに所属する人間に盗まれ、ギルドの建物から出てしまった場合。ギルドが所有しているアイテムやお金、ギルドイベントで獲得したものなどが全部、そのギルドにわたってしまうねん。まぁ、まだギルド限定イベントとか、始まったことないから限定アイテムとかはないやろうけど』
カズアキさんによると、このギルドにはメンバーのいらなくなったアイテムや、逆に無くしてはいけない大切なアイテムなどを置いているらしい。だから、そのアイテムを奪われてしまう、ギルドマスターの証は大切に保管しているのだと言っていた。
「ギルドマスターの証は、必ずギルドの建物内のどこかに置かれているはずです。特徴は……――」
建物の中に入りながら言う。
『ヒントは、アイツの大好きな食べ物だ』
シュウさんが教えてくれる。そう、カズアキさんも『オレが大好きなもの』と言っていた。カズアキさんが好きなものなんて言われても知らないけど……。
まぁでも、それを探し出すのが臨時ギルドマスター選出の条件と考えて、頑張ろう。そう思っていた時だった。
視界をまあるいものが、横切って行きかけて、止まった。
「……ん?」
それは、ファンタジー世界によくいる生き物だった。そして、とても弱いモンスターとして挙げられてる生物。
「……ミィ?」
その生物は、私の足元までとんでやってくると、私を見上げた。
「スライムだぁー」
シュウカさんがのんびりした声で言う。
「かわいいですね、帽子までかぶせてもらっちゃって……」
そう言いながら、帽子をよーく見る。
「……って、シュウさん! とカズアキさん!? 少し分かりすぎじゃないですか!?」
分かっちゃったかも、ギルドマスターの証が!
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