プレゼントを使って
無事に家にたどりつくと、私は寝る準備までしっかり終わらせてからゲームにログインする。待ち合わせの時間までまだ2時間ほどある。でも、他の男性二人組との待ち合わせの前に、フジヤさんとの待ち合わせをしてるんだ。
私がログインすると、既に彼女はカンナさんの店先で待っていた。
「お待たせしました」
私はそう前置いて、フジヤさんを店の中に招き入れる。
「ぜんっぜん、待ってないよ」
「そうですか、よかった」
フジヤさんと一緒だと安心する。年齢上は先輩だけど、気を遣わなくていい。
「今日は、フジヤさんにプレゼントがあるんです」
そう言って私は、フジヤさんに昨日作っておいたアイテムを渡そうとする。プレゼント包装とか、リアルならすぐにできるんだけど、なかなかこの世界ではラッピングという概念がなさそうというか、やり方がよく分からなかった。
簡単な包装なら、できそうなんだけど。なにかモンスターの毛皮を切って作るとか。でも私には、それを作る力はない。今度、ラッピングの袋を作ってみるのもありかな。
そんなことを考えながら、特にラッピングしてないアイテムを渡す。するとフジヤさんはすごく喜んだ顔をした。
「え、本当に! いいの、こんなにもらっちゃって」
「もちろんです。フジヤさんにはいつも、お世話になってますから」
私は、感謝の気持ちをフジヤさんに伝えた。そして、アイテムの説明を簡単にする。
「わぁ、これなら今日のダンジョン攻略でうまく使って、パンフレットづくりや小冊子づくりに役に立ちそう!」
フジヤさんはとても喜んでくれた。そして、さっそくアイテムを使い始める。
「今日のダンジョン攻略始まるまでに、アイテムをうまく使いこなせるように練習しておかないとね!」
彼女は鼻歌なんか歌いながら、店に並んでるアイテムをスケッチしてみたり、色を取り出してみたりしていた。楽しそうにアイテムを使っているフジヤさんを見て、私は思う。
ああ、アイテムづくりってこんなに楽しいものなんだって。こんなに喜んでもらえる人がいるのなら、もっともっとたくさんのアイテム、人に喜んでもらえるアイテムを作りたい。そう思った。
「見てみて! こんなのどうかなっ」
フジヤさんはさっそく描いたものを私に見せてくれる。すごい! 私はフジヤさんが描いたイラストを見て、大きなため息をついた。いわゆる、感嘆のため息!
「あとは、今日のダンジョン攻略で得たアイデアとか、向こうでサランちゃんが作ったアイテムとか盛り込んだらいい感じになるでしょ!」
私とフジヤさん、ハイタッチ。よーし、ダンジョン攻略で、いいアイデアが得られるといいな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます