自分探しの旅その2(やりたいこと探し)
やりたいこと
お母さんが寝室に戻ってからも、私は食卓の前でまだ悩んでいた。そうだ、そのことをまだ考えてなかった。
初めて作家になりたいと思ったのは、小学生の頃。とある本を読んだことがきっかけで、こんな素敵な物語を自分でも作れるようになりたい、そう思ったのが始まり。
中学生の時にも、それは心の片隅にはあった。他に、自分がなりたいと胸を張って言える職業は、なかったし。
高校、大学もそれは同じ。具体的な夢を語る友人たちを尻目に、私は他の人とは少しずれていて、どこか現実離れしたこの夢を語ることはほとんどなかった。
あるとするなら、趣味として続けていきたいなという言い方で。それを職業にする気はないっていう言い方だった。
でも心のどこかで思ってた。本当は、自分が一番なりたいものは、作家なんじゃないかって。けれど、それを口に出してはいけないような気がして。認めてしまったらいけないような気がして。
それで、普通に就職して普通に働くという結論に至った。でもその「普通」は、私にとっては「普通」じゃなかった。失敗ばっかりだし、人としてのプライドをズタズタにされることの連続だった。
もちろん少なからず働く人はみんな、そういう経験があるんだとは思う。自分にこの仕事が向いてるんだろうか、と考えることも。
そもそも自分にその仕事が向いてるかどうかは重要ではない人もいるかもしれない。でも私は。私は、やっぱり「キミの代わりはいくらでもいる」って言われるような上司がいて、文字通り自分以外でもこなせるような仕事を続けて居たくない。
自分にしかできないこと、自分を本当に必要としてくれる仕事を探したい。シュウさんが誘ってくれたゲーム内での仕事は、「私にしかできない仕事」の一つだと思う。そして、もう一つやりたいことがある。
お母さんも言ってくれた、3年務めたんだしって。だから、ここで一般の人だったら気おくれするようなことを宣言したい。
なれるかどうかは分からないけど、目指すのはいつだって自由だ。私、作家を目指してみたいと思う。少なくとも仕事を辞めれば、今までよりは自分の時間ができるはず。そしたら、インプットする時間もアウトプットする時間も増えるはず。
今こそ、自分のために時間を使い始めてもいい時期だ。仕事辞めるんだし、有給消化も使う。有給消化で得た休日で色んなものを見に行こう。そしてたくさん吸収したものを、小説にしていく。よし、決めた!
まさか、仕事を退職するってことだけでこんなにも私の人生が変わるなんて思ってなかったけれど、きっといい方向に進めるようにしてみせる!
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