【4回戦】

 一日目、最後の対局。選手たちにも、疲れの色が見える。

 県立大の相手は、鳥口大学。上級生中心にバランスのいいチームだ。当然のように、スーパーエースを三将野村に当ててきた。そのために一番上に一枚、当て馬が入れられた。結果蓮真は、あっさり勝つことができた。

 蓮真は立ち上がり、他の対局を確認する。どこもまだ中盤だったが、確実に良くなっている、という対局はなかった。七将の福原は、相手にどんどん攻められて泣きそうな顔になっていた。

 四将中野田の形勢が、次第に悪くなっていった。気合で指すタイプの彼は、一発逆転もあればとんでもない悪手も結構多い。戦型も、定跡を知らないわけではないが、奇襲の方が好きである。

 作戦が空振りしたときは、格下相手でも簡単に劣勢になる。団体戦を戦っていく上では、どこに配置するか難しいキャラクターである。

 これから四年間。再び全国を目指せるチームを作っていくうえで、中野田は欠かせないメンバーだ。蓮真は、今後のことを考えながら、最後まで対局を見守った。

 そして、逆転の兆しはなく、中野田は負けた。

 結局覚田以外がみな負け、またしても2勝5敗。こうして、4連敗、負け越しが決まった状態で県立大の一日目は終わったのだった。



4回戦 対鳥口大学 2-5

佐谷〇

夏島×

野村×

中野田×

覚田〇

北陽×

福原×

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