第30話 新たな組織の結成

 護衛任務から数日が経過した。

樹の屋敷では平和な日常が送られていた。

シャルもメイドがすっかり板についてきた。


「旦那様、ギルド本部からお手紙が届いております」

「おう、ありがとうな」


 そういえば、最近はすっかり、ギルドに顔を出さなくなってしまった。

樹はギルドから届いた手紙をペーパーナイフで綺麗に開けた。


「ほう、なるほど」


『明日、午後ギルド本部、ギルドマスター室で待つ』


 手紙にはそれだけがかかれていた。

恐らく、詳しくは会ってから話すということなのだろう。


「今日は早めに寝るとするか」


 比較的暇な日が続いたため、最近は夜更かし気味であった。


 樹は夕食をみんなで食べると早めに就寝しようと部屋に戻った。


「おはよう」


 そして翌日、なんだかんだで寝付けなかった樹は昼前くらいに目が覚めた。



「おはようございます。樹さま、昼食を取りましたらギルドへと向かいましょう」

「お、もう、そんな時間か。悪いな」

「いえ、私も樹さまを起こしませんでしたから」


 昼食を食べ終わった樹はコートに袖を通すとギルドへと向かった。


「そろそろこれも暑くなってきたよな」

「夏用のものを作らせましょうか?」

「え、そんなこと出来るの?」

「はい、可能だと思いますよ」

「じゃあ、お願いしてもいいかな」

「はい、かしこまりました」


 そんなことを話しながら歩いているとギルドの前に到着した。


「お、メラニさんがいるな」


 たまたま空いていたメラニさんの列へと向かった。


「ギルマスに呼ばれているんだけど」

「あ、樹さん、お疲れ様です。ギルドマスター室へご案内しますね」


 そう言われ奥にあるギルドマスター室の前まで連れてこられ、メラニさんがノックをする。


「樹さんとアリアさんをお連れしました」

「入ってくれ」


 その言葉を聞いてメラニさんが扉を開けた。


「来てくれたか。まあ、座ってくれたまえ。メラニもご苦労だった下がってくれ」

「はい、失礼いたします」


 メラニさんは下がっていった。


「それで、ご用件というのは何でしょうか?」


 樹は対面に座るギルマスへ尋ねえた。


「ああ、これを見てくれ」


 ギルマスは机の上に一枚の紙を置いた。


「これは……!」

「この前、取り逃がした人身売買組織のボスを追った調査書だ。あの野郎、また新たな組織を結成して人攫いをしているらしい。今回はこの国だけじゃなく近隣諸国にまで手を広げている」


 なんだか、一気に話が大きくなった。


「それで、アジトは分かっているんですか?」

「いや、それがまだ掴めてい無くてな。大体の場所しか分からないのだよ。ここなんだがな」


 ギルマスはもう一枚の紙を机の上に置いた。


「ここは……」

「ああ、元はエルフの里があったところだ。そこで、樹君たちに正式に調査依頼を出したい。アジトの特定と組織の解体。やってくれるかね?」

「もちろんです。アリアもいいか?」

「はい、異論はありません」

「よし、分かったありがとう。今回は成功報酬として白金貨で14枚だす。よろしく頼む」


 こうして樹たちは人身売買組織の解体へと挑むのであった。

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