第2話偶然
菜奈は頭が良くて有名だった。僕の通う学校は1学年約300人程いる大きな学校だった。その中でも菜奈は、トップクラスに頭が良かった。
菜奈とのやりとりは1回も途切れたことがなかった。
「今日の部活動だった?」
「今日は結構走り込んだし、先生に怒られた。」
菜奈はバレーボールをやっている。僕は中学の部活ではなく、クラブチームに所属していたので部活はやっていない。つまり帰宅部ということになる。
平日は何もないが土日は朝から夜まで野球の練習をしていた。そのため2人で会ったりすることは1回もなかった。それどころか学校ですら話したことない存在であった。
ただ、菜奈とのLINEのやりとりは楽しかった。無意識に返事を待つ自分がいた。
「今日の野球の試合は散々だった」
「そっか。でもまた1週間練習して次だよ!次!」
「いつも菜奈は前向きだね。」
菜奈は「毎日楽しまないともったいないよ。」
その言葉の重みはまだわかりきっていなかった。
僕と菜奈の共通点はいくつかあった。偶然にも小学校時代児童会長をしていたことや、同じ市の陸上大会に出ていたり、菜奈の弟が野球をやっていて、少年野球時代にはたまにグラウンドに試合をみにきていたり。偶然がいくつかあった。
自分で言うのもアレだが、僕は小学校の時は野球がうまかった。同じ市内では僕の名前を知らない人はいないくらい上手かった。また、キャプテンも務めていた。勉強なんてある程度でいいやというのが僕の考えであった。
まさしく文武両道ができていなかった。
2年生になり連絡を取り合うようになった僕たちは先に菜奈が2年生としての中体連を迎えていた。
クラブチームで野球をやっていた僕は中体連という名前しか聞いたことがなかった。中学校の壮行会で各部活の選手が応援されているのを見てかっこいいなと感じていた。もちろんその中に菜奈もいた。
バレーボール部は強い部活ではなかったが、目標を達成し、先輩たちが引退した。新チームになり菜奈は、キャプテンを務めることとなった。
一方僕たちも3年生が最後となる試合が始まろうとしていた。
空が青い @Takumi21
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