第10話体育館へと向かう道

あるじ様うまく召喚できたようですね。ではそろそろこちらに戻っていただくことはできますか?)


 ナイトの声が頭の中に響き渡る。


「ああ、わかった。……ああ~ナイト?どうやって戻ればいいんだ?」


(その空間へ入るよりもとても簡単ですよ。今いるその空間でもう一度目をつぶり五秒ほど経ってから目を開ければ現実へ戻れます。)


「おお、確かに簡単だな。えっと、二人はどうするんだ?」


「我々はマスターが戻った後、再びそちらの世界へお呼びいただければ。」


「わかった。」


 「じゃあ」、そう告げ俺はゆっくりと目をつぶる。心の中で少し長めの十秒を数え、目を開けると目と鼻の先に俺の顔を覗き込むあきらの顔とご対面した。


「う、おわ~!?」


「うわ!!急に大声出すなよな!?」


「いやいや、お前こそなんで俺の顔を覗き込んでんだよ!?」


「ん?ああ、いや、ナイトが直弥なおやが自分の精神世界に今入っている状態だって聞いてな。どういった状態なんかな~と気になって覗いてた。」


「ちょっと覗いていた意味が分からなかったんだが……」


「ああ~俺も言ってて何言ってんだとは思ったけどまあ気にすんな。」


「そうかい、じゃあ呼びますか。」


「お!もう呼べるのか!?」


 そう言う彰の目はとても輝いている。


「ああ。ナイト?こっちで召喚する時ってどうするんだ?」


「すみません、私にはわからないです。」


「え?まじで?」


 てっきりナイトが召喚方法を知っているものだとばかり思っていたため当てが外れたものだ。


「どうすんだ、直弥?」


「う~ん……何かしら方法はあるはずではあると思うんだけどな~漫画みたいな世界みたいだし定番っぽいことを叫んでみるか。」


「定番ぽいことって何ぞ?」


「えっと、例えば――――ステータス!!」


 …… …… ………


「何も起こんねぇ~な…」


「ああ……大丈夫!またそれらしいこと言ってみる。え~ステータスウィンドウ!画面表示!メニュー!なんか!こい!」


「な~んもこねぇ~な~」


「……どうしようかな~」


 二人でう~んと唸っていると目の前にいきなりあの白い世界で見た画面が現れた。


「うわあ!!急に出てきた!!」


「な、なんだよ急に!!て、ステータス画面出てきたのか!?」


「あ、ああ。でもどうして……」


「あ~あれじゃね?お前が目をつぶったから。」


「目を?」


「待ってろ、俺が試してやる!」


 そう言った彰はぎゅ!っと目をつぶり数秒ほど経ってから恐る恐るといった感じでまず右目だけをゆっくり開けると画面が見えたのだろう。「うおお!!」っと手を振って喜びだした。


「ほら!やっぱり!そうだったんだよ!目をつぶるってのが画面を表示させる条件だったんだ!!」


 興奮気味に話す彰はずっとすげーすげーと叫んでいる。


 そうやって叫んでいる声は当たり前だがクラスメイト達も聞こえているわけで彰の真似をして目をつぶっている生徒がチラホラ見えたがどうもクラスメイト達の方は見えていないらしく首を傾げて俺らを見ている。


 俺らだけにしか表示されないのか?いや、多分アオゲーをしているプレイヤーにしか表示されない感じなのかな。


  さて俺は俺だけに見えているこの画面に集中するか。


 この画面に書かれているのはあの共有精神世界(仮)で見たまんまが書かれている。ライムとデラクも先ほど見たまんまでそこに載っていた。多分召喚の意志さえあれば召喚できるはずだ。


「彰?そろそろ召喚していいか?」


「召喚?ああ~すまんそうだったな。お願いします!」


「了解。じゃあいくぞ。」


 そう言って俺は半透明な画面に指を伸ばし先ほどのように右側にあるスロットの中の二人を触る。すると目の前に二つの青色の魔法陣が現れた。


 魔法陣が強く輝き辺り一面を飲み込んだ。そして再び目を開けるとそこには俺の前で跪くライムとデラクがいた。



 






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