第8話新たなる仲間(3)

「さて、体育館まで行くルートなんだけどどうする?」


「ルートか、生存者がいると信じて一階と三階には向かいたいかな。」


「でもこの人数をナイト一人で守りながら一階も三階もは無理じゃないか?せめてもう一人ナイトレベルの護衛が欲しいんだがな~。」


 あきらの言うことも分からなくもないがどこにそんな都合よくナイト並みの護衛がいるのか……


「「う~ん」」


 二人であーだこーだと考えを出しながら言い合っていると彰が何かに気づいたのか突然大声を上げた。


「あ~!」


「うおっ!急にどうしたんだよ。」


 彰の声と俺の驚きの声に周りにいるクラスメイト達がこちらを見る。


「な~直弥なおや、お前さもしかしたらテイムした子他に召喚できたりしないか!?」


「は~?いやいやどうやって?」


「いやだってさお前どうやってナイトを呼んだんだよ。」


「ん?ああ、あれは俺もよくわからないんだが頭の中で緊急召喚がどうのってなって気づいたら目の前にってな感じだから。」


 ん~?っと彰が唸りながら悩んでいる。


 …ナイトに聞いてみたら何かわかるか……?


「なあナイト?お前ってどうやって召喚されたんだ?」


あるじの命の危機を感じ緊急召喚で呼ばれたため私が参りました。」


 後ろを向きここへ来た経緯を話す。


 う~ん、それが聞きたいわけでは無いんだよな~


 すると俺の心の声が聞こえたのか少し考え込む素振りを見せながらゆっくりと口を開いた。


「ふむ、もしや主様は我以外の仲間を必要とされておいでですか?」


「お!そうそう!てかなんでわかったんだ?」


「主様の考えが何故か伝わりまして、いえそれより仲間の話でしたね。」


 ナイトは少し辺りを見渡した後、先ほどまで顔だけをこちらに向けていた状態から完全に体をこちらに向けた。


「主様目を一度閉じてもらっても構いませんか?」


「ああ。」


 俺はナイトに言われるがままに目を閉じた。


「では目を閉じた状態で頭の中で我々テイムした者たちのことを考えてもらっても構いませんか?」


 俺はテイムした子たちを頭の中で想像する。一人ずつ丁寧に想像していくと何か体がふわふわしたような状態に全身が包まれていく。


「そのまま続けてください。もう少しすれば必ず見えてきます。」


 何が見えてくるのか全く分からないがナイトが言っていることなので素直に従いながら想像を続ける。するといきなり目の前が真っ白になり次に目を開けたときそこは真っ白な何もない空間が広がっていた。


「ここは……」


 辺りを見渡しながら何もない場所に独り言をこぼす。すると頭の中に直接ナイトの声が聞こえてきた。


(主様見事クラウド空間に入ることができましたね。)

「クラウド空間?」


 辺り一面真っ白でそれが地平線の彼方まで続いているため気がめいってしまう。


(その空間は言わば主様の精神空間とでも言いましょうか。ただ完全に主様の精神空間というわけでは無くいわゆる家で例えればリビングと言いましょうか。皆が集まれる場所と考えてもらえれば。)


「……ああ~うん。あまりよくわからんかったかな。」


(すみません、説明下手で。)


「あ~いやいや、俺が理解力が無いのと頭がこんがらがってるだけだと思うから。」


(ではそこでいつも我々を召喚しているように想像をしてみてください。そうすればこちらでも召喚が可能になると思います。)


「召喚をしているように……?」


 いつも召喚をしているのはゲーム内で画面右側にあるスロットにモンスターを十体設定し、そこをクリックするだけで出てきていたためどう想像するか……?そのまま想像するべきなのか。


 俺は言われた通りいつもやっているゲーム画面を想像すると目の前に半透明のpc画面より少し大きいくらいの宙に浮く板が現れた。そこに手を通しても手は画面を貫通して触ることができない。


 画面をよく見てみるとそこにはいつもやっている3Dグラフィックで描かれたゲーム画面は存在せずあるのはほとんどの機能に鍵マークが付いているメニュー画面とアイテムを入れてある下にあるスロットそこはすべて空白、画面右側を見てみるとテイム召喚キャラを召喚できる十個あるスロットには七個バツマークが表示されており、唯一残っている三つにはナイトと他二名のキャラがセットされていた。


「こいつらは……」


 そこに書かれているキャラをタップし詳細を開くと現れたのはライムと書かれたスライムモンスターとデラク=イーレンと書かれた雷元素の妖精だった。



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