第3話 新しい誕生日

星上は目を細めて左頬を右頬より上げて笑い、「一人はやっぱり寂しいね」と言った。


だろうね、近藤は心配するようにそう言い、「君のことは昔から気になっていた。僕は充実してるように見えるけど内心心底退屈してんだ。君には他の連中と違う雰囲気がある。」と言った。

内心喜びながら、出さないように努めて、「僕と組まないか、新世界の樹立とその秩序の維持のために」

長い沈黙ののちに

「やる」と短い返事。

「時間がないのだよ、僕のスピードについてこれるか」星上が言うと、

「ああ、努めて」と近藤。


よし、契約を結ぼう、といい、持ってきた短ナイフで右手の付け根の下の脈を切り、血を左掌に滴らせて、自らの口に含み、今度はその手を近藤の口へ持っていき、含んで飲んで、と言った。

星上の目のギラつきに怯えて、近藤は含んで飲み干した。次に両者は同じことを逆転してやり、その後口づけをした。


この日を君の新しい誕生日にする、と星上は言い彼のへそにキスをした。2025年2月21日、2010年2月15日生まれの近藤が15歳の時のことである。

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