脳オルガノイドの見せし夢

KokoRiko

第1話 網

 地球人口の増加により月面基地の建造や火星のテラフォーミングはもはや予想出来ていた。

地球と月を結ぶ軌道エレベーターと十二の宇宙港、それは地球を離れて職と住む家を求めて放浪する者たちの吹き溜まり。

 選ばれた人間だけしか移住させたくない月政府、荒れ果てた地球人を月に押し付けたい地球企業連、その二つの勢力の中心点で中立のステーション。

そしてそのどれもが直接手を汚したくないが故に雇われ、代理戦争を行い潤う傭兵ビジネス。

それを仲介する業者が現れないわけがなく、結果この問題は仲介業者らの裁定によって運命が決まってしまうと気付いたときにはもう遅かった。


 依頼は傭兵らが登録したネットワークサービスのPCや携帯端末に送信される。

その間に生身の人間がかかわってるとは思えないほどの冷たさ、無機質さ、不甲斐無さ。


 いつまでも終わらない戦争特需で工業製品の低価格にでき金を回せ、複雑に絡み合った民族な宗教事情を人民の意識を戦争に向けることで一時的に抑えられる。メリットしかなかった。むしろ企業が余計活気づき、戦争の終結をだれも望まなかった。現状維持が楽だった。


 傭兵各々はアームドスーツ(以下AS)と呼ばれる人型のメカを駆り血の通わない金属でできた大地を血で染める。元々は土木作業用に開発され広く普及されたものを誰が兵器転用したのだか分からないが、抜群の整備性と低価格そして実際の四肢と同じ感覚で動かせるため傭兵にはうってつけだった。そしてその体とともに散っていった。


報告書

日本時間:2048年9月4日 16時40分~19時28分

場所:成田上空-ステーション03”大和撫子”

規模:甲

戦果:AS2機撃退

結果:依頼成功

依頼内容

難民輸送船防衛

___________________________________________

 

新たに入団したいものが1名現れた。出自は不明だが、言われたことができればそれでいい。戦闘をしたことが無いとぬかしていたが、適当におとりにでもなればと同日予定されていた難民輸送にで障害となっていたステーションのガードマン2機の陽動という依頼を出した。はっきり言って使い捨てするために出したものだが、撃退するとは驚いた。

 1機は格闘攻撃によってオイルが溢れた。それに気づかず発砲の後、誘爆して頭部損傷。それに気を取られたもう1機は銃撃を受け脚部損傷。

結果は上々だし、気に食わないわけではないが、一応言われた通りの事以上はやってのけたので入団させたよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

脳オルガノイドの見せし夢 KokoRiko @ness

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ