第三回 始業式を迎えた娘たち、その後は?
――お茶していた。もう帰ってきており、台所で弾み会話の渦中。
お友達が一人。私とも面識のある子で「
娘の
会話の中心は可奈ちゃんだけど、私が真っ先に視線を注いだのは千佳、……屈託のない笑顔。(こんなに笑える子なんだ)と、そう胸に刻まれる。――すると、
「どうしたの?」
と、訊いてみる。できるだけ優しく。梨花は、じっと、私を見ているから。
「梨花、今日お泊りする」
と、言ったのだ。いつもは『僕』が一人称なのに、この時は『梨花』と、名前が一人称になった。それに、いつもと違って……ではなくて、初めて聞く甘えた声。
「ちょっと梨花、いくら何でも急すぎでしょ? おばさんだってご都合があるのよ」
と、可奈ちゃんは言うけど、
「やだやだ、絶対お泊りするんだもん! 千佳にはまだ負けるけど、僕だってママと一緒にゲームしたいんだもん。僕だって、千佳と同じチームの一員なんだよ」
と、梨花はふくれ面。……それで、私は「クスッ」と笑いそうになったけど、
「あのね、あなた幾つよ?
そんなに駄々こねなくても、そんなのOKに決まってるよ。ねえ、お母さん」
少々、呆れたような口調だったけど、
千佳が、そう言ってくれたの。――そう、千佳の言う通りよ。でもね……
「梨花、一旦帰ってパパに相談してみてね。心配するといけないから」
「うん!」
……まあ、この様な出来事があって、梨花は今日、お泊りすることになった。
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