第四回 梨花と一緒にパパが来て、それから?


 ――まずは実行されるお泊り。それは梨花りか


 そして梨花と一緒に訪れた付き添いの男性は、その人こそ梨花のパパ……新一しんいち君。



 昔……の呼び名なら、新ちゃん!

 私の中では、今も昔も変わらず、変わることなく……


「梨花がわがまま言って、急でごめんな、千尋ちひろねえ


「気にしないで、新ちゃん。……本当なら、これが普通の親子の形だから」



 ――そう。私は、梨花の生みの親。そして実の母親。……『千尋』というのが、私の名前。梨花は、千佳ちかの双子の姉。二人は同じ日、同じ病院で生まれた一卵性双生児。


 ……七月六日。


 その日が、彼女たちの誕生日。そして、『二〇二〇年の夏物語』へと綴られる。


 新ちゃん、

 ……星野ほしの新一。それが彼のフルネームで、私の旧姓も同じ『星野』――もう! この期に及んで、まだ遠回しに語る自分がいるの! 具体的には……まだ語れず。この子たち二人にも、未だオブラートに包んでいる状況。ただ、察してくれているだけで……私は、何一つしてあげられなくて、梨花を十三年も放置していた事実は変わることはない。


 ……過ぎた時間は、もう巻き戻せない。


 後悔や、謝っても、もう過ぎた時間は返ってこない。……それは、新ちゃんも同じ。



 過ちだった、若き日の夏。


 どんなに愛しても、許されることのない二人の行為。……なぜなら、


 私たちは『従』の付く姉弟。仮にも血の繋がりもあり……もあって、結ばれてはいけない男女。名乗ることがあってはならない夫婦。……でも、現実に起きたのだ。


 それでもね、千佳と梨花は、私と新ちゃんの間に生まれた、かけがえのない子供だ。



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