コバルト色の光

下記詩を受けて作った詩になています。

私に想う心と表現をもたらしてくれたこの詩は、現在アルファポリスに移されました。

ご興味を持たれた方は、是非訪れて見て下さい。



素の詩 僕の詩 作者 小鷹 りく

    第56話 海の精



 どっざーーーん。

 荒れ狂う波。

 雄々おおしく、ごつごつとした岩にいどんでは玉砕ぎょくさいして、飛沫しぶきとなってくうを舞う。

 繰り返し繰り返しいどんではくだり、それでも又いどむ。


 そんな波をき分けき分け、泳いで泳いでやっと浜にたどり着いた。

 そんな事は知るものか、波は容赦ようしゃなくせまり来て、おおかぶさり連れ去ろうとする。


 言葉を無くし、想いは届かなくても、がれる人のそばにいるだけで良い。

 そんな事は知るものか、波は来て、波は来て、連れ去ろうとする。


 砂をつかんでも波は来て、その砂をさらって行く。

 つかんでもつかんでも波は来て、さらって行く。


 波にもてあそばれ、岩に当てられ、ずたぼろになり、その子は泡となって消えた。



 あたたかく、月の明かりもない夜。

 そらにはゆらゆらきらめく、遠い遠い星のともしび


 海はおだやかで、黒々とした鏡の様。

 砂浜に、ざっぱん、ざっぱんと打ち寄せる波の音。


 何も見えない真っ黒な浜にざっぱん、コバルト色の光が、ふわあ~。


 ざっぱん、コバルト色の人形ひとがたが、ふわあ~。


 ざっぱん、コバルト色のあの子が、ふわあ~。


 姿を失い、海のせいとなっても、がれる人のかたわらにいたいと帰って来て、夜光虫やこうちゅうを浴びては、ふわあ~と姿を見せる。


 気付いて欲しいと、そばにいたいと。

 両のほほは、夜光虫やこうちゅうが流れ落ち、黒い一条いちじょうを作る。


 この子の悲しみが和らげばと、只管ひたすらに思う。

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