外話2・鶯色単色


俺の親は5年前に心中した。


理由は何となく察しがついている。原因は母親だろう。

浮気をし、相手との子を身篭みごもり。そして、出産んだ。


しかし、父親は母を許し、その子供も他の子達と同じように愛そうとした。


努力をした。


だが、どうしても『他人の子』という考えが抜けなかったのだろう。


そして、そんな自分が嫌になり精神的に病んでしまった父と、この事に責任を感じていた母。


2人揃って冷静な判断が出来なくなってしまっていたのだろう。


そして、5人の子供を遺して、逝ってしまった。


自分達はとても悲しんだ。


しかし、いつまでも くよくよ はできない。


3ヶ月も経てば、皆立ち直っていた。




気が付くと、もう5年も経っている。


因みに、もうすぐあかりの誕生日だ。


彼女が欲しがっている物は、口に出さないが分かっている。


猫だ。


決して多くは無いお小遣いをコツコツと貯めて、猫の写真集を買っている事は知っている。


当然。今までの自分達の家の状況だと金銭的な問題で飼うことはできなかっただろうが、幸(さいわ)いにも最近100万円を手に入れる事ができた。


彼女の誕生日にサプライズとして買っておこうと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る