第59話 ハーピーは魔物娘とは違うようです?
「この短期間でホントに証拠品に加えて証言者まで連れてきちまうなんて、なかなかやるじゃねぇか
あれからバロンさんは国に残し、姫様と
確か山賊退治の時に残したかえで達を襲った街の奴らが逆にやり返されて縛り上げておいたんだっけかな。
「町の連中は首都からやってきた憲兵団に引渡し済みさね、んでそっちの首尾はどうなんだい?」
「ああ、人魚国の王都に乗り込んできた。向こうのお姫様が言うには王が宰相のあやつり人形になってるらしくてな、ジェーンにその証拠を回収してもらったところだ。」
「初めましてギュウマ様?わたくし人魚国ローレライが第一王女ジョアンナ・ダルク・ローレライと申しますわ。」
「・・・まさかお姫様直々にとは、ホント予想の斜め上ばっか攻める奴だねぇ・・・。」
まさかオレ様が頭抱えるなんてな、とか呟きながら膝を折り跪いたギュウマ。
「申し遅れました、私は元はドワーフ国ガルガンの騎士団長ギュウマと申します。国の命によりガルガンよりローレライへの鉱石及び武具の密輸について調査しておりました。」
「まあ!ではギュウマ様にこの証拠となる資料と魔道具をお渡しすれば戦争も回避出来るのかしら?」
「必ずや成し遂げましょう。」
もはや普段と今のどちらが素のギュウマなのか分からないほど堂に入った所作で傅く彼女。最初からこの姿を見ていれば王国の騎士と言われても違和感は感じなかったろうに・・・。
「さて、忙しくなるぞユウスケよ!お前らはオレ様に付いてガルガンに来てもらう!」
「姫様だけじゃないのか?」
「気を許してるのはあんたにだろ?なら付き添ってやんな。それに
「揉め事起きる前提かよ・・・首都までどれくらいかかるんだ?」
「あんたのでっかい馬なら一日とかからないさ!部下は町の面倒見させなきゃだし今回はオレだけ乗せてってくれりゃいいぜ?」
と豪快に笑うハイオーク。
国同士の諍いに巻き込まれるのはゴメンだが乗りかかった船と言うやつだ、さっさと解決して旅を続けよう。
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ドワーフ国首都、鋼鉄の街ガルガン。
鋼鉄の、なんて物騒な呼び名で呼ばれる所以は国の製造業の大半がこの街に集中しているためだ。様々な武具から戦車と呼ばれる魔石駆動の六輪車まで様々なものを世に生み出した発明の街でもある。
ドワーフ国の生業はそういった高い技術を持って質の良い武具や魔道具を輸出することなのだ。
「お、見えてきたな。あのでっかい山がオレ様の産まれたオベリスク山さ!」
「ほお、そうするとあの街がガルガンか。街に入るのは面倒そうだのう。」
今も街の入口には数台の馬車が並んでおり冒険者や商人のような姿もちらほら見える。
「ああ、街には裏から入るぞ?そこなら早いし顔パスで入れるさ!」
「さすが元騎士団長ってことか。」
「今はしがないS級冒険者さァ!!」
馬車から飛び降りたギュウマに先導されたのは山と街の境界にあたる裏門であった。そこには何故かメインの入口よりさらに警戒する衛兵が多かった。
「なんだ?こんなに門番ばっかで。」
「普段からこうじゃないのか?」
「いつもは開けない裏口にこんな兵は置くわきゃねぇだろうが!なんかあったんだろう。」とさっさと門番の元へ行ってしまうギュウマ。
俺もゆっくり馬車を近づけていくと彼女が彼らの一人を張り倒しているのが目に入った。何してんだあの人は・・・。
「なんかあったのか?」
「なんでも山の方から魔物の群れが降りてきちまってるとかでな!オレ様を見た途端に助けを求めてきたから気合を入れてたとこさね。」
「体育会系め・・・。」
「まあ余っ程でもなきゃ街が全滅なんて起きはしねぇよ、このギュウマが育てた騎士団が日和ってなきゃの話だが。」
並んでいる衛兵たちはその言葉を聞いてやる気を取り戻したのかビビったのかわからんけど一様にビシッと並んで気合が入ったようであった。
「そんで魔物ってのは?」
「取るに足らないもんさね、ハーピーの群れさ。」
【ハーピー】
ハルピュイアとも呼ばれる頭から太もものあたりまでは人間で腕と脚からは大型の猛禽類のそれが生えている魔物である。人の言葉を操るものの亜人には分けられていないのは種族揃って人に攻撃し、その肉を喰らう獰猛性からだ。
狩場を糞尿などで汚く荒らすのも人間性の欠漏から魔物判定されている大きな原因とされている。
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