第60話 ドラゴンと・・・ハルピュイアですか?
ギュウマ曰く、オベリスク山から
この山には普段から様々な魔物や亜人が住んでいるが特に動きの素早いハーピー達と力の強いオーク族の割合が高く、よく小競り合いが起きるのだという。
亜人ならガルガンの街の方に住むのでは?と聞いたら強いオーク族、中でもハイオークやオークロードといった上位種に進化したものは戦いの中に身を置きたがるものが多く街での暮らしに求めるのは最低限の物資くらいだそうだ。物資を揃えたあとはより戦いに近い場所に身を置きたがるので山に居を構える者も多いのだとか。
「そうでなきゃ冒険者か兵隊になるっきゃねぇな、オレ様は騎士勤めを選んだってこった。悪いが官邸に行く前に魔物退治に付き合ってもらうぜ?」
「特別サービスだな。」
「クロはお腹すいてきたぞー。」
「終わったらたんまり食わせてやるよ!」
「やったー!!」
今回登山に着いてきたのは俺とギュウマ以外はウシオにクロとルヴィンだけだ。他のメンバーは山に登ったこともないジェーンとお留守番である。
すっかりギュウマにも懐いたクロは彼女の肩に座って上機嫌だ。クロは確かに軽くはあるがそれでも人一人だぞ?
ギュウマは意外にも面倒みが良く、馬車の中でクロやルヴィンに遊びを教えたりして暇を潰してくれていたのだ。
一応仲間以外にスマホを見せるのは仲間内の禁止事項だからな。あれから一応ルヴィンとライラにもスマホは渡してある。
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何度か休憩しながら険しい山を登っていくと中腹あたりで大きな羽音を響かせながら大きな鳥の魔物が数匹舞い降りてくる。うわ、お話でよく聞くハーピーそのものだな。
四肢は猛禽類で胴体と頭は人間の女性そのもの・・・股間は羽根で隠れているものの胸元は隠す気も無いのか大小様々なサイズが揺れていた。
・・・おい、男もいねぇかアレ。見たくないんだが。
「なんだなんだ、街の連中にあたい達へ攻め入ってくる度胸持ちなんていやがったのか?・・・なんだ?肝心のドワーフがいねぇで亜人ばっかだな?」
ずいと前に出てきたのは小柄なハーピーであった、低い身長と控えめなスタイルに見合わない気の強さのようだが。
「おい、街を荒らしてるボスはお前か?俺たちもヒマじゃないんだ、そこの鬼みたいなお姉さんとことを構えたくなきゃ退いてくれないかな?」
「オイ。」
「はあ?あたいがなんで人間どもなんかの命令聞かなきゃなんねーんだよ!このハーピークイーンのエモエモ様がそんな事しちゃモンスターの名折れさ!」
そう言い放ったエモエモが笑い出すと他の奴らも口汚く笑い始め、中には酷い臭いのする痰を吐き捨てる者もいた。
なるほど、このチビが群れのボスらしいな。ならコイツさえどうにかすれば殲滅なんてする必要も無さそうだ。
「なら・・・」
「ならお前!クロと勝負だ!」
と、ギュウマの方から飛び降りたのはクロだった。
「ユウスケをバカにしたのはゆるさんぞ!
【
それは最近レベルの上がったクロがかえでの力で
自然に上位進化する魔物と違い、かえでの恩恵を受けたクロは本来存在しえなかった鋼鉄装甲竜へと進化したので
「ユウスケ!全力でやっていい?!」
「・・・ブレス禁止。」
「よーしいくぞー!!【
クロが唱えたのを皮切りにまず身体中が黒銀の鎧のような鱗で覆われていく。頭には竜そのもののヘルムが被さったかと思うと身体が巨大化していきフルメタルドラゴンの名に恥じない二対の翼を生やした巨竜へと姿を変えたのだった。
『どうだあ!カッコイイだろう!?』
ドヤ顔をしてるようだが鋼鉄のその顔は特に変化は無いようだ。
「クッ、ドラゴン族を手懐けたヒューマンなんてアリかよ!?」
「・・・立場が同じなら妾もそう言うであろうな。」
「クソが!ならこっちにも奥の手があるぞ!!」
器用に翼に生えた爪を口に当てると指笛のように大きな音を鳴らすエモエモ。すると山のてっぺん辺りから飛び立った何かが巨大な影をこちらに落とし・・・地響きを鳴らしながらハーピー達の後ろに着陸した。
「・・・お前さん余計な奴を呼んじまったかもしれねぇぞ、ありゃこの山のヌシだ!」
鷲の翼と上半身に獅子の下半身を持つ、有名すぎるこの魔物は。
『KUEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!』
陸と空の王それぞれの特徴を併せ持った魔物、【グリフォン】である。
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