第48話 ダンジョンは無事だったようです。
「魔力でも切らしたみたいに疲れた・・・。」
「お主のスキルなら魔力切れは有り得んだろう、まあ精神的にというならよくわかる。」
スレイプニルからドロップしたのは一振の刀と・・・これは手網と鞍のセットだろうか?ヤバいものからドロップしたのだから普通のものでは無いだろうが・・【
そう唱えた瞬間焼き付く風が通り過ぎたような感覚に思わず後ろを向いてしまった。
最初にジョブに目覚めた時に近い感覚がする・・・。
「ユウスケ?どうかした?」
「いや、大丈夫だよクロ。えっとこの刀は【斬鉄剣】でこのこっちの馬具は【スレイプニルの
「ダンジョンの最上階をクリアしたのじゃ、それくらいは出るであろうな。して、馬具は使い道に困るが刀はお主が持つのか?」
「フレイムタンですら恐ろしいのです、それはユウスケ様にお任せする。」
えーっ、侍はアリスしかいないじゃん?!
「鞍の使い道はダンジョンから出たらな!じゃあどうする?コアは破壊する?」
「それは悪手じゃな、なんせこのダンジョン有りきで成り立つこの里が経ち行かぬようになるであろう。」
「じゃあ、見学だけな。」
「わたくし何か嫌な予感がします・・・。」
さあいよいよサジタリウス城ダンジョンの最後の階層だ!
そうして意気込んで登った先は四方をバルコニーに囲まれたとても風通しのいい部屋だった。されど荘厳な雰囲気は拭いされず大昔は王の間であったようにも感じた。
そんな王の間のど真ん中に静かに佇んでいたのは女性の銅像と我が子を抱くように抱えられた人一人は余裕で入れそうな大きさの魔石だ。あれが噂のダンジョンコアなのだろう。
「アリス、ダンジョンコアの部屋には宝箱やモンスターはいないのか?」
「ええ、コアを守る最後の関門はその前のダンジョンボスの階層が最後というのがセオリーですので。」
「壊さなきゃ触ってもいいの?」
「そうですね、ダンジョンコアに触れて死んだだの呪われただのといった話は聞いたことがありません。」
「ふーん。」
「かえでよ。」
「なにウシオさん。」
「これこそお主らがたまに使う“ふらぐ”と言うやつでは?」
「それ私もちょっと思った。」
「怖い話するなよ・・・ちょこっと触るだけだから!」
・・・結論から言えば、コアに触ってみた結果は古代に存在した魔法についての知識を少々ダウンロードされたくらいだった。
俺も思いつかなかったような便利な物から思いついても実行しなかったようなものまで。それのせいで倒れるということは無かったがあとは一階層まで転送してくれただけだった。
魔法の応用、禁忌、そしてなぜ魔法というものが廃れていったかは少しわかったかもしれない。
「して、ギルドへの報告はどうするのじゃ?」
「それなんだよなぁ・・・完全クリアしました!ってのは俺たちだけのうちに留めないか?」
「・・・ユウスケちゃんらしいと言えばらしいやね。」
「流石はご主人様、名誉など二の次とはお嬢様が焦がれるだけのことはありますね。」
「なーなー、そんなことよりクロはらへったぞー!ラーメン食べたい。」
「よーし、じゃあ今日は俺が作ってやろう!」
久々に食べたいからな、○○の棒ラーメン!
その後ダンジョンはコアを破壊されずに済んだのだが俺たちが旅立ってしばらく経った頃に風の噂で何もいないがズタボロに破壊された六十階層が探索者によって発見され、さらには五十五階層もシェイプシフターこそいるもののまるで巨大な剣で傷つけられたような跡の残る壁も見つかるなどでとても恐ろしい化け物が世に放たれたのでは?という憶測まで飛び交っていたが事の真相は俺たちパーティしか知らないため適当な愛想笑いで済ますということが何回かあった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ぷはーっ、ウマかったぞこれ!おんせんのねーちゃんのラーメンにはかなわないけどうまい!」
「最近はマー油入りなんてのも増えたんだな、やっぱチェックしとかないとわからないもんだ!」
「ほんと好きだね棒ラーメン・・・。」
サジタリウスの里から森へ戻ってきた俺は早速家を【
そしてライラに具を用意してもらうと念願のとんこつラーメンを作って食べたのだ!店のラーメンもたしかに美味い、それでも身体を動かした後に啜るこのラーメンもまた美味いのだ!
「私は醤油のがいいかなぁ・・・。」
「ん?買っとく?」
「それは任せる。」
「わたしは初めて食べましたがあんなに簡単な行程でこれだけの味が出せるのは感嘆の一言でございます。」
「我は好きだぞこの棒ラーメンとやら!高級な料理もいいとは思うがこれくらいわかりやすいのもトッピングで好みの味に変えられるのもな!」
ルヴィンはわかる気もするがクララもお気に入りとは以外だ。インスタント食品なんてこの世界にはないだろうからもしカップ麺なんて作れたらいいお金稼ぎになるんだろうな・・・問屋からでも仕入れられたらいいだろうけど俺に商才なんてあるかすらも分からない。
「商才でチート出来る人間てどんなやつだよ・・・。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます