第45話 ダンジョンの命運が決まったんですか?

「な、なんなのだこの力の増強は・・・!?漲る、漲るぞぉぉぉぉ!!」

「厨二病かな?」

「仕方ないだろ、本当にパワーアップしてるみたいだし。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次の日。

新しく仲間となったルヴィンとクララは各々の力試しも兼ねて一戦交えていた、勿論試合形式である為殺してはならないという制約付きだが。

ルヴィンの実力は魔界で将軍をしていたというだけあり折り紙付きであったが・・・。


結果はクララの圧勝である。

彼女の身体能力はかえでのテイム能力と特に親和性が高かったらしく、目を見張る程強化されていたのだった。


「ぐぬぬ・・・バニップはラミア族の中でも臆病な非戦闘種ではなかったのか・・・?」

「お戯れを、わたしは幼い頃から奴隷でしたから。最初に買われたご主人様が王族の影を務める特務の方だったので厳しく躾られました結果の戦闘能力です。他にもメイドとしての技術はトップクラスであると僭越ながら自称しております。」

「なんであんなボロボロの状態で売られてたの・・・?」

「・・・前のご主人様との意見の相違です、とだけお伝えします。」


その後は回復してから他のメンバーとも戦ってみたルヴィンであったが結果としては一勝七敗、最後に戦ったかえでが半泣き状態で向かってきた彼女に自分から負けを認めたのみであった。

尚、いつの間にかシルバーとウシオまでもがかえでのテイムを受け入れて存在強化されていたらしい。二人ともあれだけ渋っていたのになにか思うところがあったのだろうか。


「・・・パパ、ルヴィンの死に場所はここなのかも知れません・・・。」

「俺の【治療トリートメント】はちゃんと効いてるんだから死なねぇよ・・・。」

「うう・・・だからといってこの体たらくでは貴方様にも顔向けできません。」

「別に俺は・・・じゃあ手っ取り早く強くなれる手段があるけどやってみるか?」

「ええ、我の操は安くありませんがユースケ殿の好きなように・・・♡」と、モゾモゾしたかと思うとなにか勘違いした様子で・・・


上着を勿体ぶるかのような仕草で俺をチラッチラッと見ながら脱ぎ始めるルヴィン、もしかしてコイツもどっかネジが外れてるのか・・・?クロの教育に悪いのでやめてくれませんかね!?


「脱がんでいいわ!・・・じゃあかえでよろしく。」

「はーい、【従属化テイム】!」


発動したかえで唯一の魔法はピンク色の光となってルヴィンを包み込んでいき、卵形になったあとリボンが解けるかのようにてっぺんから崩壊して胸元に浮かび上がったに吸い込まれていった。


彼女の操る【従属化】は文字通りどんな生き物であろうと・・・いや、恐らくは従う意思さえあれば非生物のゴーレムだろうとテイム出来る凄まじいチートである。

テイムされた者は身体のどこか、普段から露出している場所にハートマークに近い契約紋と呼ばれるタトゥーのようなものが浮かび上がる。この世界での犯罪奴隷にもそういった紋様はあるらしいので気になる場合は戦闘時以外は消すことも出来るんだとか。

そしてテイムされた者は例外なく魔物使いテイマー能力の恩恵を肖り、ステータスは倍化し経験値も倍加するため凄まじく強化されるのだ。

それがもし称号を持つほどの強者であったらどうなることか・・・どれくらい強くなったんですかウシオさん・・・?


「これがかえで殿の力の恩恵か・・・しかも我のステータスもかえで殿に反映されるとあらば一体どれほど強いのか、想像もしたくないほどだ。」

「私より悠介のが強いよ!」

「・・・先程の手合せでは手も足も出なかったからな・・・。」

「俺だってかえでとやり合いたくねぇよ・・・。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後はクララとライラの腕を合わせた素晴らしい昼食を終えて、俺たちは再度のダンジョンへのアタックについての話に移っていた。


「例の帰還の宝珠や腕輪みたいにダンジョンに入るための最低条件のアイテムは全員分買ってきたけど・・・みんな行きたい?」

「ご主人様、わたしもお連れ頂いても構いませんか?」

「おん?いいぞ?」


俺はお嬢様呼びに耐えかねたかえでの入れ知恵によりクララのご主人様となったらしい。

メイドさんか・・・むしろ彼女には露出度の高い今の格好よりもロンスカ系のクラシックなメイド服も似合いそうだな・・・。


「コホン、悠介は妾が頭を読めることをたまには思い出すが良い。」

「そうだった・・・。」

「?・・・聞けばダンジョン内でのお食事などは以前買われた弁当をお食べになったとか、ご主人様の能力で腐らないのは良いとしてもそれではわたしの心が休まりません。是非ともお連れ頂けませんでしょうか?」と俺の両手を取って近づいてくるクララ。近い近い近い!豊満な谷間に俺のハンドが!


無論周りからの視線が痛い・・・突き刺さるようとはこの事だ。


「わかったから、わかったから離れてくれ!」

「ありがたき幸せ、一生ついて参りますご主人様♡」

「それはかえでに、じゃなかったの?」

「勿論お二人にでございます、末はご子息様のご面倒もお任せ下さい。」


呆れる俺と流れ弾を喰らって真っ赤になるかえで。


「まったく見ておれんわ・・・では残るメンバーは無しじゃな?」

「わーい、みんなでダンジョンだ!!」


こうして九人によるダンジョン攻略が決まったのであった。

・・・なるべくダンジョンコアは壊さない方向でいこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る